『ルイージに歴史あり 外伝』その1

2月13日

〔序章〕

平成18年(2006年)の年末
俺は自分の部屋の掃除をしていた。

どっかの国では年末になると、色々な店舗が
やれ買い物にでかけよう的な告知を
色んな年末向けの特番をテレビ等でするが、

現在、俺が住んでいる場所は、そんな都市部から
数百キロは離れた「超」がつくほどのド田舎の村、
いや、俺の家以外の家屋や店はあるにはあるが、
誰も住んでいない(無論経営している店舗などもない)ので、

ド田舎の村というより、過疎化で廃村になった地帯というのが
適切である。

もっとも、俺には、重力のある空間だろうが、
宇宙空間だろうが飛行はできる宇宙戦闘用ロボがあるので、
都市部から数百キロ離れていようが、都市部にでかけようと
思えば、簡単にできるが、俺はそれをしなかった。

ついでにいえば、この様な地域に住んでいれば、
何の行動もしなければ、
情報の受信などできようはずもなかったが、
俺は全くと言っていいほど頓着しなかった。

あのマリオブラザーズのマリオとの2度にわたる闘いを経て、
あのワリオが平成6年(1994年)にブラックシュガー団から
財宝を横取りして自分の城を建てたことを知ってから
情報というか外界に積極的にふれたい気持ちが
すっかりうせていたからである。

あれから12年の歳月がながれていた。
こんな地帯での生活が、客観的にみても
とても裕福で刺激的などではなく、
大抵は自給自足に時間を費やす日々だったが
宇宙怪人タタンガなどという二つ名で呼ばれていた頃に
くらべれば、心は穏やかだった。

とにかく年末なのだが、とくにどこかでかけようなどとは思わず、
最近、部屋の掃除も本格的にしていなかったので、
とりあえず部屋の掃除をしようかなと思ったのである。

(おっ、これは!?)
部屋の押入れの掃除をしようと、部屋の押入れを開けると、
パスワード形式で開閉するケースがあった。
俺はケースを手に取る。

(懐かしいな、このケース…
今から17年前、俺はマリオに
サラサ・ランドで敗北した
それから約3年間、俺は奴への復讐に生きた)

俺はケースのパスワードを入力する
もう12年以上も使用していないが、
パスワードは、しっかりと暗記している。

(奴への復讐の炎を消さぬ為に
奴に復讐を果たした時に、この俺が味わった苦しみ、
この俺が積んだ研鑽、俺の勝利、ついでにいえば、
あの女、デイジー姫のあることないことを
無理やりにでも世にひろめてやろうと思って
回想録などと、ご大層な表題の日記帳を作っていたなぁ)

パスワードの数字を入力すると、
ケースが開いた。

ケースの中には、
「宇宙怪人タタンガ回想録」と書かれた日記帳と
「宇宙戦闘ロボのパワーアップツール」と書かれた
カードケースがあった。

俺は日記帳をとった。

この日記帳には、もう約12年以上ふれてはいないが、
描いた日にちは、しっかりと覚えている。

平成元年(1989年)の4月21日から平成6年(1994年)1月21日
つまり、サラサ・ランドで俺が敗北した日から
ワリオが自分の城を建てた日までである。

(この日記帳は、宇宙怪人タタンガと怖れられ、嫌われていた俺が
本当に求めてやまないものを、おぼろげながらも
知る事ができるまでの記録でもあるな)

俺は日記帳をめくってみる。
日記帳の平成3年(1991年)までの内容は、
ごく簡単に言ってしまうと、大抵は「マリオが憎いから、
絶対マリオを倒してやる マリオ打倒の為に、俺は
色々と研鑽を積んだぞ」といった内容のオンパレードと
いったところである。

さらに、俺は日記帳をめくってみる。

日記帳の日付が平成4年(1992年)にかわる。

(忘れもしない この年の10月に俺達はマリオランドを乗っ取り、
マリオと闘った。 闘った結果は俺達の敗北に終わった…)

日記帳の日付が平成4年(1992年)10月にかわる。

(そういや、マリオランド乗っ取り計画を遂行する2日前、
サバーサとブーポンと俺で、ワリオのアジトで暇つぶしと
気分転換を兼ねて牛乳を飲みながら駄弁っていた。
その時に俺はマリオとクッパ、ピーチ姫、マリオの仲間達の
生い立ちや過去等を知ったのだったな…)

画像


日記帳を手にする俺の脳裏に、その時の記憶がよみがえる。

-平成4年(1992年)10月 ワリオのアジト-

いかにも洋風の内装である家の中で、演歌が流れている。

我らが大将であるワリオは、日々の日課として
演歌を聞きながら腕立て伏せをする。

その後、風呂や歯磨きもせずに、午後10時に寝て、
午前7時に起床するのが、彼の日課である。

午後11時を過ぎても、演歌が流れているが、
別にワリオがマリオランドの乗っ取ることに備えて
就寝時間を過ぎてもトレーニングしているわけではない。

単に音楽を消し忘れたまま、寝ているだけだと思う。

2日後のマリオランドを乗っ取り計画の準備は
完全にできている。

あとは計画を遂行する日までの間は、
俺達はリラックスすることにした。

俺自身は、当日ギリギリまでマリオ打倒のトレーニングをしたかったが、
下手に気負いすぎて、オーバーワークを起こして、
計画に支障がでたらどうすると
ブーポン(※1)にいわれ、
それは一理あるなと思い、リラックスすることにした。

(※1)『スーパーマリオランド2 6つの金貨』にて
マリオゾーンのボスになるブタの3兄弟の末っ子、
ちなみに長男の名前はブーロ、
次男の名前はブーチョである。


だが、いざリラックスしようと思っても、
当時の俺の目的は寝ても覚めても、
マリオへの復讐しか頭になかった。

そんな男にリラックスをする様にといわれても
ほとほと困るばかりだったが、
ブーポンが察してくれたのか

奴とサバーサ(※2)と俺でアジトの一室で
牛乳でも飲みながら、たわいのない世間話でもしようかと
いうことになった。

(※2)『スーパーマリオランド2 6つの金貨』にて
パンプキンゾーンのボスになる魔法使いのばあさん


この時の時刻は午後11時を過ぎていた。
そんな時間なら牛乳ではなく酒だろうと思う人もいるだろうが、
どういうわけか、ワリオのアジトの飲み物は牛乳しかなかった。
しかも、ワリオのアジトの周囲には、午後11時を過ぎても
営業している店舗などなかった。

とにかく、俺、ブーポン、サバーサの3人で
牛乳を飲みながら、世間話でもすることにした。

でも、ワリオの下に集まった連中は、俺を含め、
どいつもこいつも、世間話に花を咲かせられる様な
連中ではないので、ものの3分で会話のネタが尽きた。

それから3分ぐらい沈黙の時間が流れた。

どうにも、この沈黙の時間に耐えきれなくなった俺は、
とっさにこんなことを彼等に聞いてみた。
「お前さん達、マリオランドを乗っ取れば、
あのマリオとその仲間達が出張ってくるだろう。
ピーチ姫、ルイージ、ヨッシー等といった奴の仲間はともかく
あのマリオは、間違いなくマジで強い
そんな奴に、まともに闘えるのかい?」

あれから14年後の今にして思えば、

彼等だってマリオとその仲間達の強さを全く認識しないで
マリオランドを乗っ取るつもりなど毛頭ないのに

これ以上ないぐらいの愚問であったと思うが、
当時の俺としては、つい何とか会話を続けようと
とっさにでた質問だった。

だが、そんな愚問に対して、
彼等は、特に露骨に嫌な顔をするわけでもなかった。

「ああ、よく知っているさ あのマリオの強さ
ついでにいえば、マリオ達の現在までの経歴をね」
ブーポンは言った。

「へぇ、あのマリオの経歴をね
へぇ~面白い 是非とも聞かせてもらおうじゃないか」

内心、マリオの経歴など、知りたいとは思わなかった。
当時の俺にとって、マリオは敵でしかないが、
周囲の人間達からすれば、
奴は英雄である。

俺にとって、英雄の経歴などというのは、
ある一定の「真実」に、
過剰な「見栄」と「これ見よがし」、
「大衆及び為政者の自分勝手な都合のいい理解」が
トッピングされたものにしかすぎないので、
聞いても、単純にムカつくだけだからである。

だからと言って、このままだと、3人とも
沈黙の状態が続くだけである。
それに、どうせマリオの経歴など
俺をムカつかせるものにしかならないだろうから、
そのムカつく気持ちを、マリオとの闘いの糧にでもすればいいかと
俺にしては、ポジティブに思い、
「是非とも聞かせてもらおうじゃないか」と俺は言ったのである。

「では、まずは…」

「ちょいと、お待ち」
ブーポンが言おうとしたのを、サバーサが止める。

「タタンガや、今からブーポンがマリオの経歴を述べるけど、
これだけは言っておくよ よくも悪くも奴の経歴には、
宇宙人のお前からみれば、
たちの悪い冗談にしか思えぬ真実しかないよ」

「わかったよ」
おいおい、このばあさん、大げさにも程があるだろうと
思っていたが、実際マリオの過去は、俺みたいな者から
すれば、ある意味たちの悪い冗談にしか思えない様な内容だった。

-第1章 マリオ 幼年編へ続く-

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