『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その3

8月23日

(3)ゴールはみえても、その道のりは容易ならず

古今東西、当人達の自覚の有無に関わらず、
事態を速く解決行う為の強行軍というのは、思わぬところで
弊害がうまれるものであった。

王ドラとドラメッドⅢ世達が、それにあてはまった。
彼等2人とラオチュウの弟子達9人は、
キャッサーバ監督の嘆きを聞き、
事態の迅速な解決の為に、空飛ぶタタミの
全速力をもって、わずか1時間半でブラジルの
キャッサーバ監督の邸宅がある町に到着した。

だが、イージーホールとはいえ、
ラオチュウ達のいるチャイナタウンとブラジルでは
約8時間の時差があるのである。

それを短時間で移動したのである。

ジャイチェンとスーチェンをはじめとする
ラオチュウの弟子達9人は、案の定
時差ボケによる心身不調に陥った。


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一刻も早く、ドラリーニョを元に戻したいという焦りが
うっかり、王ドラに言わせてしまったのだろう

「時差ボケ程度で苦しむなど、それでも君たちは
ラオチュウ老師の弟子アルか!?
カンフー修業が足らないアルヨ!!」

(ケッ、お前らの急な頼みを聞いてやったのに、
何て言い草だ! コノヤロー!!)

時差ボケになることなどない
ネコ型ロボットに、カンフーの修業とは
関係ないことが原因で起きる時差ボケを
なじられたからだろう。

時差ボケで文句を言えないぐらい、
ぐったりとしていた
ラオチュウの弟子達は、心の中で、悪態をついた。

「王ドラよ、ワガハイ達の急な頼みを聞いてくれた方々に
その言い方は、あまり感心せんな 時差ボケは、
決して克服できぬわけではない。 それに10℃以上もあるチャイナタウンと
ブラジルの気温の差にも慣れてもらったほうがいい。
この町にも、病院や薬局もある。 この方々なら3日程度あれば、
完全回復できるさ」

1週間後には、サッカーの試合に臨む仲間達と
険悪な雰囲気になるのを防ぐ為にも、
ドラメッドⅢ世が、王ドラをなだめたのは言うまでもない。

ラオチュウの弟子達をキャッサーバ監督に手配してもらった
ホテルに泊めた後、時差ボケに効果をある薬を買いに、
王ドラは薬局へ行った。

ドラメッドⅢ世は、キャッサーバ監督に挨拶を兼ねて
メンバーを連れてきたことを報告した。

キャッサーバ監督に変に不安にさせない為、
メンバー達が時差ボケに倒れていることも伝えたが、
彼等は、名うての拳法の使い手の弟子達なので、
すぐに回復するので心配しないでくださいと
力強く言うことも忘れなかった。

時刻は、夕方になっていた。
ドラメッドⅢ世と王ドラは、一旦、ホテルのロビーで
休憩をとっていた。

「そういえば・・・」

「王ドラよ どうした?」

王ドラは、ドラ・ザ・キッドのことを思い出した。

「そういえば、ドラ・ザ・キッドの奴…
ドラえもん達が、アラビアに渡る頃に、ドラニコフの居場所を
伝えたので、ドラニコフとの対決は、もう決着がついていても
おかしくないのに、連絡をよこさないアルな・・・
一体、どうしたというアルか」

「ドラ・ザ・キッドのことだから、
決して下手をうつことはないと思うが
確かに、気になる。 
一度、親友テレカで連絡をいれてはどうか?」

王ドラは、うなずくと、親友テレカで連絡をとる。

「おっ 王ドラか!?」
すぐに、嬉しそうなドラ・ザ・キッドの声がきこえた。

「ドラ・ザ・キッド
その声の様子からすると無事そうなのだが、
ドラニコフを救い出せたのか!?」

ドラ・ザ・キッドが無事であることに
王ドラは、とりあえずホッとした。

「いや、それが…
ドラニコフを救いだせてなくて…
未だ、奴がいる場所
えっと、フローズン・スポットだったか…
そこへ向けて、移動中さ…」
ドラ・ザ・キッドの声は、どこか決まりが悪そうだ。

「どういうことだ ドラ・ザ・キッド!?」
王ドラが言う前に、ドラメッドⅢ世がたずねた。

「えっ!? その声は、ドラメッドⅢ世か!?
お前も、ドラえもんとのび太に助けられたのか!?」
ドラ・ザ・キッドの声がより一層嬉しそうだった。

「おかげ様で それよりも、移動中って
どういうことなのだ」

「それがさ、王ドラにドラニコフの居場所を聞いて
ロシアにはいることはできたのだが…
ここで、厄介な問題が発覚してな」

「厄介な問題?」

「俺達の生活している22世紀の世界の各国には、
天気局ってあるよな」

天気局、
それは、各国にとって、予定通りの天気を作りだす機関である。
おかげで、22世紀では天候に、いたずらにふりまわされることなく
人々は生活することができている。

「どうやら、このイージーホールには、天気局はないみたいだ
いやぁ、キャッシュマシーンは、いたるところにあるのに、
天気局は、ないとくるのだから、
いやぇ、本気でまいった、まいった」

「まいった、まいったって、お前、
イージーホールのロシアも、雪と氷に覆われたところなのだろう
天気局がなければ、その自然に立ち向かわねばならないアル!
そんな、陽気に言っている場合アルか!?」
王ドラは、怒ったと同時に、心配になった。

天気局がないと、雪と氷におおわれ、
氷点下の気温になることなど、しょっちゅうのエリアでは、
いくらネコ型ロボットといえども、油断していると危ない

「なぁに、心配するなよ 王ドラ
天気局がないので、予定通りに物事は進まないかもしれない。
また、気温はマイナス10℃を余裕で下回る道中だが、
人間であれ、ロボットであれ、
それなりの知恵と勇気とガッツがあれば、
自然にも、真っ向からたちむかえるさ!
まぁ、とにかく、お前達と話ができて嬉しいよ
何せ、道中、ロボット馬しか話し相手がいないからな
俺は、必ずドラニコフを救出するから、お前達は
ドラリーニョを救出してくれよ!」
ドラ・ザ・キッドは、通信をきった。

「ああ、天気局のことを、考えていなかったとは、
不覚だったアル…」
王ドラは落ち込んだ。

「心配するな 王ドラよ
あのドラ・ザ・キッドは、決してヤワではないよ」
ドラメッドⅢ世は励ます。

「でも、アイツ、短気でがさつなところもアルね…」

「その代わり、
ドラ・ザ・キッドはドラドラ7の中では一番の正義漢だ
アイツの正義のパワーなら
きっとドラニコフを救い出しせるよ」
ドラメッドⅢ世は天井をみる。


「ドラ・ザ・キッドはん えらい嬉しそうに、
しゃべっていましたけど、親友の方でっか?」
ドラ・ザ・キッドがイージーホールのアメリカで
知り合ったロボット馬のダイバーがドラ・ザ・キッドを
背に乗せながら、雪道を歩きながら話しかけてきた。

「ああ、堅物、のんびり屋、口が悪いといった様に、
何かと性格に問題がある奴等だが、こんな俺を
傷つきながらも助けてくれる 俺には過ぎた親友達さ」
ドラ・ザ・キッドは、明るい声で言った。

「ところで、ロボット馬しか話し相手がいないと
言っていましたけど、あれでっか? 
やっぱり、ワイの話は飽きまっか?」

「そんな訳ないだろう ダイバーよ
お前がいなけりゃ、冬の厳しさとは、あまり縁のない
生活をしてきた俺が、ここまで、スムーズに旅などできなかったさ」

このドラ・ザ・キッドの言葉には、嘘偽りはない。

実際、ドラ・ザ・キッドの当初の予定としては、
保安官代理とタイムパトロール隊員も兼任している自分のコネで
このエリアの天気局に頼んで、気候をコントロールして
ドラニコフのいるフローズン・スポットまで、
楽々と歩を進めるつもりだった。
しかし、イージーホールには、天気局がなかった。

いくら、がさつなドラ・ザ・キッドでも、
イージーホールのロシアにはいって以来、
このロシアの
自然環境の厳しさぐらいは、何となくわかっていた。

この自然環境に対してどの様にしようかと
悩んでいるところへ
ダイバーがアドバイスをしてくれたのである。

ダイバーのアドバイスにしたがい、
まずは、ドラ・ザ・キッドはダイバーに
寒冷地でも行動できるオプションパーツを
購入して装着させた。

この寒冷地仕様のオプションパーツで、
動力源等が凍り付くのを防止しつつ、

寒冷地における余計なエネルギーの消費を抑えて、
ロボット馬のダイバーは寒冷地を移動できるというわけである。

ドラ・ザ・キッドは、自分が寒さに
凍り付いてしまうことがない様に、
あべこべクリームを使うことにした。

あべこべクリームは体に塗ることで、熱さと寒さを逆転できる
つまり、冬の季節に、このあべこべクリームを使えば、
寒さに悩まされることはなく暖かくすごせるのである。

ただ、このあべこべクリームには、難点があった。

それは、安定した暖かさや涼しさを得ることができない
あべこべクリームを使用すれば、
その地域が寒ければ寒い程、その分、暑さも増す(※1)


(※1)ドラえもんとのび太は、あべこべクリームをつけたまま
沸かしすぎた風呂にはいってしまい、凍ってしまった。



ましてや、ドラニコフがいるフローズン・スポットは
イージーホールの北極にも近い地域でもあるらしく
年間の気温がマイナス70℃を下回ることもざらであるらしい。

そんな地域で、あべこべクリームを使えば、
どうなるかは想像に難くないのだが、
ダイバーが、ある提案をしてくれた。

それは、イージーホールのロシアの気候区分の資料を
参考にして、フローズン・スポットまでのルートを
3つの区間に分け、それぞれの区間に応じた
効能をもつあべこべクリームを作ることだった。

「いや、作るって言っても、
俺は、薬剤師じゃないから、そんなことできないぜ」

「別に、あんたが、作らなあかんわけやない
このロシアの寒さには、現地の人々も悩んでいるはずや
だとすれば、あんたの肩書きを利用して、薬剤師さんに
頼めば、意外と簡単に作ってもらえるはずや」

ダイバーの言葉の意味を理解したドラ・ザ・キッドは
早速、行動にうつした。

ダイバーの予想通り、このイージーホールのロシアでは、
それぞれの地域の寒さに適応したあべこべクリームが
薬局で販売されていた。

ドラ・ザ・キッドは、立ち寄った薬局の薬剤師に

自分の肩書きを利用して、3つの区間に応じた
効能をもつあべこべクリームを製造してもらう事を依頼した。

その結果、それぞれの区間に適応したあべこべクリームを
手に入れることができたのである。

「よおし、これで、寒さと雪道に対する対策はバッチリだぜ!」

多少、回り道をしたが、ドラ・ザ・キッドと
ロボット馬のダイバーは、フローズン・スポットに向けて
歩を進めることができる様になったのである。


「ドラ・ザ・キッドはん 前にも言った様に、
いくら寒さと雪道への対策ができても、
フローズン・スポットへの道のりは容易なものではありまへん
とりあえずは、フローズン・スポットの最寄りの村をめざして
気張っていきまっせ!」

親友達の声を聞いた喜色満面の笑顔から一変して
真剣な表情でドラ・ザ・キッドは力強くうなずいた。

ダイバーの言う通り、いくら寒さと雪道の対策が万全でも、
その道のりは、容易ではない。
それは同時に、いくら寒さと雪道の対策が万全でも、自然の力は
決して侮れないことを意味していた。

歩を進めるにつれて、立ち寄る場所が少なくなっていく。
また、風も強くなってくる。 その風には雪がまじっているので、
視界が悪くなり、先がみとおせない場合もあった。

雪道に対する装備が万全でも、道のり自体は遠い
また、絶え間なく雪が降るので、
ルートが、わからなくなる場合もあったので、
迷いかけることもあった。

いくら、エネルギーの浪費を抑えても、
ドラ・ザ・キッドとダイバーの
エネルギーの消費と疲労はさけられなかった。

しかも、そのルートには、街灯もない
半ば、獣道みたいな雪道を通る事もあったので、
ドラ・ザ・キッドとダイバーのエネルギーの消費と
疲労に拍車をかけることもあった。

さらに、このことが自他ともに認める陽気な性格である
ドラ・ザ・キッドには辛いことなのだが、
歩を進めるにつれて、気温が下がり、
静けさが、どんどん増していくのである。

道のりが遠い分、その静けさで、
ふと不安になることもあるのである。
それを紛らわせるかの様に、
ダイバーと手短に話をするのである。

(そういや、いくら強大な権力者になっても、
自然の力は、どうこうできないと言っていた人間がいたが、
今なら、その言葉の意味が、よくわかるよ。)
特注のあべこべクリームのおかげで、寒くはないにせよ、
強い風がドラ・ザ・キッドとダイバーに吹き付ける。

(それでも、俺は駆けなければならぬ)

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ドラ・ザ・キッドも、友達を救い、
事態を速く解決行う為の強行軍である。
風さえ強くなければ、夜でも歩を進めた。

普通の人間なら、何かと危険極まりない行動なのだろうが、
夜でも目がきき、遠くの物をさぐるレーダーの役割をもつひげ、
人間の200倍のにおいをかげるネコ型ロボットの特性を
ドラ・ザ・キッドはフル活用して、歩を進めることにした。

もっとも、ネコ型ロボットにとっても、
やはり、この行動は、
危険の部類にはいる行動であることは

ドラ・ザ・キッドとダイバーは百も承知であるが、
ドラドラ7達には、悠長に構えてはいられないのである。

「そういえば、ドラ・ザ・キッドはんは、親友の
ドラニコフはんでしたか… フローズン・スポットにいる親友を救うのが
目的でしたけど、そもそもドラニコフはんって、どんな方ですの?」

「度がすぎた無口な奴だが、そこいらのおしゃべりよりかは
はるかに頼りになる さらに、どうやったのかは知らんが、
あの無口な奴がハリウッドで映画俳優、しかも主演をしているのは
さすがに、驚いたよ」

「へぇ~ あのハリウッドでっか!? そりゃスゴイでんな…」

そんな会話もかわしながら、
強行軍で歩を進めた結果、
王ドラとドラメッドⅢ世がブラジルに到着後の
翌々日には、フローズン・スポットの最寄りの村に
到着できたのである。



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