『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その4

9月1日

(4)いざスペインへ

王ドラとドラメッドⅢ世がブラジルに到着した
翌日の昼過ぎ、ドラえもんは目が覚めた。

(連戦による疲労が大分たまっていた結果かな…
思った以上に、眠り込んでしまったな…
さて、のび太くんを起こしにでもいくか)

ドラえもんは、のび太の寝ている部屋のドアを開けた。
だが、のび太は部屋にいなかった。

ふと、部屋の窓をみた。
のび太は、みている方がはずかしくなるぐらい
デレデレとシーリンと話をしていた。

(えっ!? もうすでに起きた!?)

小人閑居とぐうたらを地で行く
のび太が、自分よりもはやく起きたことに
ドラえもんは、驚かざるを得なかった。

のび太が自分よりも、朝早く起きるなんて
雨でも降るのではないかと思いつつも、
ドラえもんは、部屋の窓を開けてのび太に呼びかけた。

「あっ、ドラえもん、起きたの」

「ドラえもんさん、のび太さんにも既に話しているのですが、
実は…」


シーリンは、ドラえもんに話した。

あいさつなしで出発して申し訳ないが、
王ドラとドラメッドⅢ世が、
昨日の夜遅くブラジルへ出発したこと

その2人から、連絡があって
ドラ・ザ・キッドは、手間取ってしまい、
まだ、ドラニコフを救出していないが、
必ず、ドラ・ザ・キッドなら救出してくれるだろうと

「王ドラとドラメッドⅢ世め… 
なかなか小憎らしい真似してくれちゃって…」
シーリンの話を聞いた後、食事をとる為に、食堂へつづく廊下で
ドラえもんは、ぼそっといったが、内心は嬉しかった。

「じゃあ、のび太くん、ボク達も、向かうとしよう!
スペインへ」
一息ついた後、ドラえもんはスペインへ旅立つことをきめた。

「向かうって、どうやって? タケコプターは、
まだ、取り戻せていないよ」

のび太の言う通り、イージーホールのアメリカに
たどり着いた時、ガンマン同士の喧嘩の流れ弾が
ドラえもんの四次元ポケットに命中して
色々なひみつ道具が、飛び出し、紛失したのである。

これまでの闘いを通して、
紛失したひみつ道具の半分ぐらいは
取り戻すことができたが、タケコプターは取り戻せていない。

「それとも、ドラメッドⅢ世に頼んで、空飛ぶタタミで
スペインへ送ってもらうの?」


「いや、ドラメッドⅢ世達には、
ドラリーニョの救出があるから迷惑はかけられない。
これを使うことにしよう」

ドラえもんは風神うちわ(※1)を取り出した。

(※1)このひみつ道具の正式名称は、
「強力うちわ 風神」である。
 

「ああ、なるほど、風神うちわを利用して
スペインまで飛んでいこうというわけだね」

ドラえもんとのび太は、ラオチュウとシーリンにあいさつを
すませた後、風神うちわを利用してスペインへ向かった。

画像


風神うちわが起こす風の力と
イージーホールに流れる上昇気流の力を利用することで
さすがに、空飛ぶタタミの全速力には及ばないが、
まるで、トンビ(※2)やハンググライダー(※3)のごとく空を移動することができた。

(※2)上昇気流にのって、
ほとんど羽ばたかずに空に舞い上がることできる猛禽類


(※3)上昇気流を利用して飛行を楽しむ
スカイスポーツのひとつ



休憩や仮眠をとりながらも、風神うちわを利用しての飛行で
3日後には、スペインのエル・マタドーラがいると
王ドラに教わった場所
「チャンピオンシップの街」にたどり着いた。

「へぇ、こりゃ、なかなか…」

「何とも、チャンピオンシップ(覇権)という名前に似合わず、
素晴らしい景観の街だよ、のび太くん」

2人の目に映ったのは、
確かに覇権の街という名前に似合わない景観だった。

まず、空が雲も少なく、
鮮やかすぎるぐらい青かった。

また、周囲の山々も、鮮やかな感じのする緑色で
くっきりとみえた。

街の大通りを少し歩くと、橋が架かっていて
川が流れているが、その川が、びっくりするぐらい
透明度が高かった。

のび太のいる20世紀の日本では、
滅多にみることのできない景観だった。

大通りの両脇に、
何やらの住宅や店舗等を思わせる建物が建っているが、
その建物の一つ一つに、何らかの芸術的な意匠が
施されていた。 しかも、その芸術的な意匠が、
この街をとりまく自然をより美しく映えさせているのは、
芸術とは縁の薄いのび太でも何となくわかった。

「この街は、美しいよ のび太くん
建物に芸術的な意匠があるが、傲慢さがない。
きちんと自然と人間達に役立っている。 
ボク達ネコ型ロボットも見習うべきものがあるよ」
ドラえもんは、この街の景観に、いたく感銘をうけた様だ。

「ふぅん、そんなものなのかねぇ」
のび太は、大げさな言い方だなと思いつつ、
周囲を見回した。

「ねぇ、ドラえもん、どういうわけだろう
昼間だというのに、全く人の姿がみえないよ」

「今は街そのものが、3時間の休憩時間にはいっているからね
人の姿がみえないのは、当然さ」
ドラえもんが何かを言う前に、誰かが質問に答えた。

2人は、声がした方をみた。
ドラえもんと同じ四次元ポケットをつけていたので、
同じタイプのロボットだろうとのび太には見当がついたが、
ただ、ドラえもんより、体が大きく、その顔は犬だった。
さじずめ、このロボットは、ネコ型ロボットならぬ
イヌ型ロボットなのだろうかとのび太は思った。

「街そのものが休憩時間にはいっているってどういうこと?」
ドラえもんがたずねる。

「この街に限ったことじゃないが、このエリアでは、
例外はあるにせよ、正午から午後3時までの3時間は
学校だろうが、企業だろうが、
昼寝などして休憩するという習慣があるのさ 
だから、今の時間は誰一人も、街を出歩く人はいないのさ」
イヌ型ロボットは、のんびりとした声でこたえた。

「へぇ~ そいつは、いいね」
のんびりと昼寝がするのが好きなのび太には、
うらやましい習慣だ

「その代わり、みんな、朝がとても早いけどね」

「あ、あまりいい習慣じゃないかも…」
のび太のうらやましさが消えた。

「おっと、そういえば、自己紹介が、まだだったね
僕の名はスタント、
人間達の友達をつとめるロボット、いや…
君達には、イヌ型ロボットという通称でいった方がわかりやすいか

君たちはあれだろう? 
最近、このイージーホールで噂になっている
ネコ耳の少年と青いタヌキだろう」

「ボクはタヌキじゃない!」
ドラえもんは、立腹した。

「まぁまぁ、ドラえもん」
のび太はドラえもんをなだめながら、
スタントの顔をみた。

「いかにも、僕達が、噂になっているネコ耳の少年と
青いタヌキだけど、このイージーホールのスペインにまで
僕達の噂はひろまっているの?」
のび太は得意げな様子になっている。

中華一番カンフーコンテストで優勝したあたりからだろうか
詳しい時期はわからないが、ドラえもんとのび太は
悪のチップで操られたドラドラ7達の暴挙から
人々を救うネコ耳の少年と青いタヌキとして噂され
救世主の様に称賛もされていた。
(もっとも、人に称賛されることなど滅多にない
のび太には、とても心地よく
思わず、得意になってしまう様な噂でも、
ドラえもんからすれば、自分がタヌキよばわりされるのは
何とも面白くない噂であったのは言うまでもない)

「まあね、君たちの噂は、このスペインでもひろまっている
それにしても、休憩時間に休まず、待っていてよかったよ
何せ、その噂の当人達が、この街に来てくれたのだから」


「ボク達を待っていたって、どういうこと?」

「僕の主でもあるエル・マタドーラが、君達がくれば、
自分の挨拶を録画した映像でもみせておけと言われていたからね」

「なにっ!? エル・マタドーラ!?」
ドラえもんは、
目の前にいるイヌ型ロボットから
探している親友の名前がでたことに驚く

スタントは、自分の四次元ポケットから
100インチのカラーワイドテレビをとりだし、
スイッチをいれた。


テレビ画面にエル・マタドーラの顔が映し出された。
だが、このエル・マタドーラも、
ドラ・ザ・キッド、王ドラ、ドラメッドⅢ世の時と同じく、
かつての陽気で情にあつい熱血漢の顔ではなく、
すっかり、悪者の顔つきだった。

悪のチップに操られているとはいえ、
この様な親友の顔つきをみるのは、ドラえもんには
辛いことだった。

テレビ画面に映し出されたエル・マタドーラは、
さっと一輪のバラを取り出した。

画像


「確か、貴様達は、メガネザルと青いタヌキといったかな」
エル・マタドーラは、バラの臭いをかぎながら言った。

「誰がメガネザルだよ!」
「ボクはタヌキじゃない!」

「貴様たちが、この僕に、会う為に、必死で
この街まできてくれたのだろうが、申し訳ないなぁ
僕はこれから3時間の昼寝と休憩に入る。 下賤な貴様達には
理解できまいが、この時間は、僕にとっては、とても神聖で
必要不可欠なものなのだよ だから、この時間帯は、
貴様達に姿をみせるつもりなどない。 だから貴様達も
大人しく待っているか、この高貴な僕を見習って
昼寝でもしていたまえ」

テレビ画面に映っているエル・マタドーラの映像がきえた。

「これが、我が主からの伝言だ。
君達はどうする? 昼寝でも待つか?
それとも、所定の時間まで、僕がこの街の観光案内でもしようか?」
スタントは、
カラーワイドテレビを四次元ポケットにしまいながら言った。

「昼寝? 観光案内? ふざけるな!! 
例え、このエリアの習慣だろうが、自分は昼寝しているから
大人しく待ってろだとぉ!!」
ドラえもんは激昂した。

「そうだよ! ボク達をバカにするのも大概にしてほしいね!
ドラえもん、相手が昼寝してようが関係ない! 
今すぐ、エル・マタドーラのところへ乗り込もう!」
のび太のスネオ以上にキザで嫌味な喋り方をする
エル・マタドーラに立腹していた。

「まぁまぁ、落ち着きなさいよ、君達
別にエル・マタドーラは、
君達に決して会わないとは言ってないだろう
だから、大人しくしてほしいのですがね」
スタントが、柔らかく言った。

「ふざけ…」
ふざけるなとドラえもんは言えなかった。

いつの間に、装備していたのだろうか
スタントは、右手に空気砲を装備し、ドラえもんに
その砲口をむけていた。

(は、速い!)
見かけによらぬ相手の早業に、のび太も驚いていた。

「イヌ型ロボットも、ネコ型ロボット同様、
四次元ポケットを持っているのだから、当然、ひみつ道具は
持っているということをお忘れなく」
スタントの口調は柔らかいが、その語気は鋭い。

「ううっ、わかったよ…」
ドラえもんは、怒るのをやめた。

ドラえもんとのび太は、しゃくだったが、
この街の休憩時間がおわる午後3時まで、
近くの高級そうな宿屋のソファで寝ることにした。

2人ともふて寝なのだが、
のび太は、あっという間に、本当に寝てしまった。

(コイツ!? 1秒もかからずに、寝てしまったぞ)
のび太のソファに寝転んで寝るまで時間の短さに
スタントは半ば呆れつつも、驚いた。

ドラえもんは、親友が、あんなふうに変貌したことに
ショックがかくしきれず、本当に寝られるわけなどなかった。

時刻は、午後3時になった。
ドラえもんとのび太は、スタントに、街の中央の大広場まで
案内された。

中央の大広場には、街の住人と思われる
人々がいた。

また、大広場の北側の大通りの両端にも、
街の住人と思われる人々がいた。

さらに、その大通りは、歴史の教科書等でみかける様な
円形の闘技場があった。

「あの闘技場は、エル・マタドーラの居城でね
エル・マタドーラは、いつも、この時間帯に、闘技場から出て
この広場で住人達に挨拶する。 僕も、そのことで準備しなければ
ならないのでね 悪いが、失礼させてもらうよ」
スタントは、闘技場へ向かって歩き出した。

「どうやら、間もなく来るみたいだね、エル・マタドーラ」
のび太は、闘技場をみる。

ドラえもんもうなずきながら、闘技場を凝視する。

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