『ルイージに歴史あり 外伝』その10

11月28日

第3章 〔スーパーマリオランド編〕

(5)俺は何をしようが獅子身中の虫なのか!?(後編)

「奴らが あの連合軍が、宣戦布告をしてきました。
しかも、敵は総力戦の構えです」

「な、な、な、何だと!!?」
ロケトン1号の報告は、
俺の眠気などいとも簡単に吹き飛ばし、
十二分に戦慄させる程の内容だった。

「議員達は、どの様に決定した? どうせ俺など
蚊帳の外で決めているのだろうが、迎撃をするのか?」

「いえ、議会は、まだ開会していません。
それから上院の議長から招集の案内がきております」

「へぇ、こりゃ嵐でもきそうなぐらい珍しいな」
俺は、言わずにはいられなかった。

「わかった、招集の案内の内容を
俺の宇宙船の端末に送信してくれ」

俺は、通信を終えた後、自分の机から議員バッジを
とりだした。

「ヘヘッ、乱入なしで、やっとコイツが使えるな」

俺の故郷には議会はある。
頭取が最高権力者ではあるが、頭取がひとりで
何でも決めるわけではなく、必ずこの議会で
内容の可否を決定するわけである。

地球での議会の仕組みは、よくわからないが、
俺の故郷の議会は、二院制である。
上流の階級の出身者からなる上院と
下流の階級の出身者からなる下院にわかれる。

上院も下院も議員達は、専門職ではない
必ず何らかの職を兼業している。
普段は、自分の職業に就いているが、故郷にとって
何か重要なことを決めるときは、議員のバッジをつけて
参加するという仕組みである。

そんな仕組みで議会の運営や政治などをスムーズに
進めることができるのかと思う奴もいるかと
思うが、どういうわけか、この仕組みで議会は運営できて
政治もスムーズに行われている。

上院の議員は、故郷の要職に就いていて、
その要職と議員の地位はワンセット且つ世襲制である
つまり、研究施設の最高顧問になった俺は、
自動的に上院の議員の地位に就いたのである。

ちなみに、下院の議員は、選挙で選ばれる。
選挙、つまり選挙権を有する者達が、投票して
議員を選出するのである。 

また、俺の故郷の議会が二院制になっているのは、
下院の利害を上院の視点から調整して、
過誤なく反映させる為であるらしい。

さて、俺は研究施設の最高顧問と同時に、
上院の議員になったわけだが、
一度も正式に選挙に招集されたことはない。

理由は、きわめて簡単だ。
上院だろうが、下院だろうが、この俺を認めていないからだ。

これは、はっきり言って、業腹であり、
できることなら、俺も俺を認めぬ議会になど参加したくはない。

俺の利害に直接かかわらない様なことは、捨て置く。

しかし、俺の利害に直接かかわる場合は、
招集されてなくても、宇宙催眠で得たコネクションを活用して
議会に乱入して、俺の都合のいい様に、法案などを可決させた。

そんなことだから、議会の連中は、いや故郷の連中はというべきか
俺を認めぬばかりか、俺への嫌悪を募らせるばかりだった。

当時の俺は、そのことに関して罪悪感など微塵もなかった。
それどころか、連中が俺を認めないのがいけないからだと
思っていた。

だが、はじめて招集の案内がきた。

おせじにも、ほめられた行動ではないが
故郷の連中も俺を認めだしたのだ。

数年ぶりに、ちょっぴりうれしい気分になった俺は
宇宙船に乗り込んだ。 自分では運転しない
ロケトン2号に運転させた。

「あの連合軍でも、宣戦布告してきた以上、
迎撃しないわけにはいかないが、いかにして総力戦に、
持ち込まず、さらにいえば消耗戦を避けて、
なるべく早く、講和条約を結ぶかに限るな」
俺はつぶやいた。

連合軍、
それは、2つの一族からなる軍隊である。

その一族とは、
スラッガー・ファミリーとフォーム・アーミーである。

相手は、小国で、国力は俺の故郷の国力には、
到底及ばないはずなのだが、決して侮れなかった。

その2つの一族は、それぞれ、軍事的に、
すごく厄介な技術を所有していた。

まずは、スラッガー・ファミリーだが、
彼らの使う遠距離用の武器は、射程距離、威力等
あらゆる面で、俺の故郷の軍隊よりも優れていて、
しかも俺の故郷のある宙域では、トップクラスだった。

フォーム・アーミー
正直、この一族は、スラッガー・ファミリーよりも
厄介な一族だ。

彼らも、俺の故郷の軍隊と同じく
戦闘ロボを使用する。

しかし、フォーム・アーミーの使用する戦闘ロボは、
変形ロボだった。

変形ロボ、
80年代の地球で放映されていたロボットアニメでは
車や飛行機等が、ロボットに変形していたと思うが、

あのロボット達の同類みたいなものと言えば
わかりやすいだろうか。

ただ、俺個人の感想を述べると、彼らの変形ロボは、
地球のロボットアニメの変形ロボに比べて
そのデザインは、おせじにもカッコいいとは言えないが
その性能は、驚異の一言につきた。

彼らの使用する変形ロボは、主に飛行機からロボットへ
変形するタイプだ。 飛行機形態もロボット形態も
あのロボットアニメの様にでてくる武器など所有していない。


飛行機形態でとる行動といえば、相手の攻撃を避けることだった。
また、ロボット形態でとる攻撃といえば、格闘攻撃のみだった。

だが、この飛行機形態のスピードが
俺の故郷にあるどの戦闘ロボよりも、はるかに優れていた。
しかも、ものすごく小回りがきいた。

さらに、厄介なことに、彼らの変形ロボの
ロボット形態に変形する時間は、0.1秒にも満たない時間だった。
また、ロボット形態も、とれる攻撃方法は格闘攻撃だけだったが、
地味に、その攻撃には、俺の故郷の戦闘ロボよりも、
はるかに器用さがあった。

これが、一番厄介なことなのだろうが、
彼らは、自分たちの国力が、俺の故郷には遠く及ばないことを
誰よりも、彼ら自身が一番理解していたと思う。

あれだけの優れた機体を持ちながらも、
俺の故郷の軍隊の突撃部隊や支援攻撃部隊との
真っ向勝負は、あまりしなかった。
主に、輸送・補給部隊に攻撃をしかけた。

輸送・補給部隊に所属した俺は、最前線にたつことはないので
命を落とす可能性は低いことは低かったが、
彼ら連合軍が相手の時は、命を落とすことに、何度も怯えた。

輸送・補給部隊に攻撃をしかけることで、
物資の補給を断ってから、
スピードと細やかな身のこなしで
俺の故郷の軍隊を、攪乱する。 
攪乱されている内に、スラッガー・ファミリーの
遠距離用の武器でことごとく狙い撃ちにして、退却させる

枚挙にいとまがないぐらい、俺の故郷の軍隊は、
この様な退却を余儀なくされた。


そんな連合軍が、総力戦をしかけるのだから、
議論の主題は、なんとか小競り合いでおさめて、
すばやく講和条約を結ぶことに焦点があてられるのだろう。

俺は、そんなことを思いつつも、宇宙船の中で
ひと眠りすることにした。

だが、議員バッジをつけて、議会にはいってみると、
実際の議論の焦点は、俺の予想とは、
全く違っていた。

ついでにいえば、議会の様子も違っていた。

まず、通常なら
戦争など有事の際は、臨時議会として
上院のみで諸々の内容を決めるはずであるのに、
なぜか、下院の議員達もいた。

しかも、議論は、消耗戦をさけて、いかに
迅速に講和条約を結ぶどころか、
相手が総力戦を挑むなら、真っ向勝負で
総力戦で挑むという意見が圧倒的多数、
いや、正確に言えば、
真っ向勝負に反対していたのは、俺一人だけだった。

つまり、
俺以外の議員は、真っ向勝負で、堂々と殲滅させるのが
賛成しているが、理由は、国力が、相手よりも、
圧倒的に上だという奢りと俺に対する憎しみから
来ているからなのだろう。

もっとも、こんなことは初めてではない。
俺以外が反対していることは、何度もあった。
しかし、この議会の議長でもあった頭取を宇宙催眠に
かけているので、地球でいうところの
鶴の一声で、何とか意見をとおしてきた。

だが、宇宙催眠同様、気づかぬうちに、
この手法を濫用してきたのだろう。
最近では、頭取を亡き者にしようと、過激派の連中が
テロまがいのことをしてきたのである。
また、その他の宇宙催眠にかけた連中も、
この様な過激派の連中の標的になっていた。


さすがに、まずいと思った俺は、
宇宙催眠をかけた連中には、
表向きは、体調不良を理由に、休ませた。
(ちなみに、今の議長は頭取の弟が勤めているが
ある意味、超がつくほど俺は多忙なために、
頭取の弟は、宇宙催眠にかけることができなかったが)

宇宙催眠も、使える状態ではなく、鶴の一声もない。

また、宇宙催眠で手に入れたコネクションも
満足に機能していない。

そんな状況のなかで、
俺は、奴らに、真っ向勝負の愚を説かねばならなかった。

だが、奴らの意見は変わらなかった。
奴らが真っ向勝負に賛成するのは、主な理由は、
俺の予想通り、自分たちの国の国力が圧倒的に上なので、
自分達の勝ちはゆるがない。

また、枚挙にいとまがない程、
退却を余儀なくされているといっても、
それは、小規模な敗北にしか過ぎない。 

さらにいえば、俺以外の議員は、
小競り合いでも、一度自分達は勝利している事実がある。
尚更、自分達の勝利は、ゆるがないという意見だ。

奴らの言う通り、確かに、一度、
あの御曹司が指揮する軍が連合軍に勝利はしている。

だが、俺に言わせれば、
あれは勝利と呼んでいいものかどうか
どうしても疑問に思うものだった。


フォーム・アーミーでも、スラッガー・ファミリーでも
兵器の性能は、優れていた。
だが、連合軍の兵器のエネルギーとて、無尽蔵ではない。

そこで、御曹司は、いくらダメージをうけようが、
連合軍の兵器のエネルギーが尽きるまで、
追い続ける作戦をとった。

兵器の数も圧倒的に、こちらが上なので、
作戦の結果、この作戦で、勝利をおさめ
連合軍の一部隊だが殲滅はできた。

だが、その際にかかった費用は、通常の戦闘の
数倍の費用がかかった。
その作戦の為に破損した兵器の数も
通常の戦闘の数倍だった。

どうやら、奴らは、その作戦を総力戦でも行うというのだ。

そんなことをすれば、その戦闘にかかる費用で、
余裕で国が傾いてしまう。 その傾きをなおす為に、
民にかかる税金も、半端ないものになってしまう。
もっと下手をすれば、
それでも、国の傾きすらもどせない状況に陥ってしまう。


それどころか、下院の議員の中には、
「お前の様な獅子身中の虫で
蚊トンボの部隊の出身者の意見は、
どんな意見だろうが、我ら誇り高き強き国の民は
聞かないのだ」などと、あからさまに、はっきりして
わかりやすく、いう奴さえもいた。

結局、議論は、真っ向勝負の総力戦で
迎え撃つことで終結した。

俺は、精神的に憔悴して、うなだれた。
はっきりいって、業腹だった。
真っ向勝負に議論が終結したからだけではない。
そんな俺への他の議員達のもっさりした笑いも
正直、我慢がならない程腹立たしかった。

だが、何とか消耗戦に陥ることが確実な
総力戦だけは避けたかった。

その理由は、別に民の為などではなかった。
消耗戦の様な総力戦の結果、
せっかく手に入れた地位に余計な亀裂が入るのは
防ぎたかったからだ。

この亀裂は、宇宙催眠でも修復できないからだ。
いくら権力があっても、自然現象は、完全に
御することができないのと同じだ。

議会の閉会後、俺は、軍の上層部に頼み込んだ。
俺に斥候を兼ねて先陣をきらせてほしいと

軍にも嫌われている俺が、
簡単に了承してもらえるはずはないと思っていたが、
俺の予想に反して、びっくりするぐらい
あっさりと俺の頼みを聞き入れてもらえた。

もはや俺が、とれる作戦はひとつだった。

最前線で連合軍の先陣と交渉、いや正確にいえば、
先陣にいる敵将を宇宙催眠にかける
その敵将を利用して、主だった連合軍の首脳部達も
宇宙催眠にかけて、総力戦を回避することだった。

確実な作戦とは言えない部分もあるが、
これにかけるしかなかった。

研究施設に戻った後、
早速、連合軍の先陣がいると思われるエリアに向けて
俺は戦闘ロボ パゴスに乗って出陣した。 

出陣といっても、軍で完全に嫌われてしまっている俺に
ついてくる奇特な者などいない。
僚機として、ついてきたのは、俺が設計した
全8体のロケトンだけだった。

そのことで、あれこれとセンチメンタルになっている暇など
俺には、微塵もなかった。

研究施設から
連合軍の先陣がいると思われるエリアまでには、
数日はかかる。

その数日間、俺はひたすら寝ることにした。
超がつくほど多忙な日々による疲れを少しでも
回復させて、宇宙催眠をある程度は使える状態に
戻しておきたかったからだ。

(とりあえず、俺自身が直接戦うことをさけねばならないな
何せ、もとは戦闘ロボのパイロット特性のない人間だ
歴戦の勇者の様に戦いなどできるわけなどないのだから)

出陣してから3日目
そんなことを思いつつ、
眠りに入ろうとした時だった。

「タタンガ様、敵機の反応ありです!」

ロケトン3号の通信がはいった。

「なっ!? て、て、敵襲!?
そ、そんな馬鹿な!?」
俺は言わずにいられなかった。

まだ、敵のいるエリアには、まだ入っていない。

しかも、
現在、俺がいるエリアは、軍の管轄内である。
いくら連合軍とはいえども、容易に侵入できないはずだ。

だが、現実には、連合軍の姿があった。

「タタンガ様、我々には、厄介極まりない部隊が相手ですね」
ロケトン3号の言葉の意味がすぐに理解できた。

連合軍の部隊の先頭を駆ける黄色の機体
奴こそは、フォーム・アーミー
新鋭の最速戦士の異名を持つ戦士クイックだ。

その異名通り、軍に入隊してからわずか半年も経たない
新兵はずなのに、驚異のパイロット能力で、
軍を幾度も退却させた。

確かに、パイロット特性がなく
輸送・補給部隊の経験しかない奴には、
厄介極まりない相手だ。

「者ども、止まれ!!」
黄色の機体から号令がかかる。

部隊の機体たちは進軍を止めて、
黄色のクイックの機体のみが、俺達に向けて一気に加速する。

加速しつつ、黄色の機体は、飛行機形態からロボット形態へと
変形して、俺の数メートル手前で止まった。

画像



-(6)弱者が強者に勝つ常套手段へ続く-

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ガッツ(がんばれ!)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック