『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その6

1月28日


(6)それぞれの決戦前夜

「3日後に、ワガハイ達と
ドラリーニョ、ドラニコフ、エル・マタドーラとの対決が
一斉に開始されるということだろう」

「えっ!? 知っていたのか ドラメッドⅢ世」
ドラえもんが驚く

「ああ、少し前だけど、
そのドラリーニョ当人から、君達が
エル・マタドーラに言われた内容と似た様なことを
言われたよ」
ドラメッドⅢ世は天井をみる。

王ドラとドラメッドⅢ世は、
時差ボケから回復したラオチュウの弟子達と共に
ドラリーニョのチームとのサッカーの試合に備えて
サッカーの練習をしていた。
(もっとも、王ドラが時差ボケで倒れたラオチュウの弟子達を
詰ったことで、時差ボケからの回復直後、険悪な空気になったが、
ドラメッドⅢ世の仲介で、なんとか治まったのはいうまでもない)

目的は、サッカーの試合で勝つことがではなく、ドラリーニョを
救うことなのだが、ドラリーニョの警戒をうすめる為にも、
ある程度は、サッカーができているほうがいいだろうと
試合をセッティングしてくれたキャッサーバ監督が
ドラメッドⅢ世達に提案したのである。

今後の戦いを考えると、ドラメッドⅢ世達も、
いたずらに、消耗することを避けたいので、
その提案をうけいれたのである。

そんなサッカーの練習をしていた時に、
何とドラリーニョ本人が、護衛を連れてきて、
王ドラとドラメッドⅢ世の前に、あらわれたのである。

(これが、悪のチップをうめこまれた奴の顔つきか)
ドラメッドⅢ世は、沈鬱な気持ちでドラリーニョの顔をみた。

久しぶりに再会した親友は、幼稚なところもあったが、
純真で心の底からサッカーが好きな
聖ネコ型ロボ学園のエースストライカーではなかった
すっかり、悪者の顔つきだった。

(きっと、ドラえもん達も、悪のチップを埋め込まれた時の
ワガハイ達をみた時も、こんな気分だったのだろうか)

ドラメッドⅢ世の内心を知っているのか、知らないのか
そんなドラリーニョが、話しかけてきた。

「君達が、3日後に、身の程知らずにも、おっと失礼、
勇敢にも、僕達のチームと試合をしてくれる
ドラメッドⅢ世と王ドラ、その仲間達かね」

話し方も、ドラメッドⅢ世がよく知る純真で明るい
ドラリーニョの喋り方ではなかった。 
傲岸不遜な喋り方そのものだった。

「ドラリーニョ、何だ、敵の様子でも視察でもきたアルか?」

ドラメッドⅢ世と同様の事を感じ取っていたのだろう
王ドラも、苦々しい表情で訊ねた。

「敵の様子を視察? フフフ、馬鹿を言っては困るな、旦那方
君達が、敵と呼べるレベルかな それに、僕は、サッカーの試合を
するつもりは毛頭ない だって、そうだろう? 君達は、
サッカーの試合にかこつけて、そこのラオチュウの弟子達とともに、
僕を倒そうとしている。だったら、僕は、3日後の試合では、
サッカーなどしない。 君達を、ただ殲滅するだけだ。」
凡俗な者なら、
凄絶な寒さを覚える様な笑いをドラリーニョはうかべる。

「殲滅するだけだと? 果たして、君にできるアルか? 
君に殲滅される程、王ドラは、甘くはないアルヨ」
王ドラは、真っ向から受け止める。

「ふん、この僕を、かつての
あんな僕と同じと、いや、まぁいい
今日は、伝えに来ただけだ。 3日後、僕達の対決だけではない
君達の仲間達とドラニコフ、エル・マタドーラの対決も
行われることを」

ドラリーニョとその護衛達は、練習場を去ろうとする。

「ドラリーニョよ ワガハイ達は、お前を倒すとは思っていない
ワガハイ達は、親友として、お前を救いたいだけだ。」

ドラリーニョは、一旦たちどまり、振り返った。
凡俗の者なら、腰をぬかしかねないぐらいの怒りの形相だ。

「倒すことを、救うだと? 
闘って、救って、みんなで、たたえようとでもいうのか 
フンッ! 傲慢も甚だしくて虫酸が走る!」

ドラリーニョとその護衛達は、練習場を去った。

「あのサッカーに対して、誰よりも、ひたむきで、
明るかったドラリーニョが、あの様なことを言うなんて」
ドラえもんは、嘆いた。

「でも、君達のところにも、来ているという事は」

「そうだ 俺のところにも、ドラニコフ本人が来たよ」
ドラ・ザ・キッドが親友テレカでわってはいってきた。

ドラ・ザ・キッドは、ことの経緯を話した。

ドラ・ザ・キッドは、ダイバーと共に、
フローズン・スポットの最寄りの村に
たどり着いた。


何せ、マイナス70度を下回ることが、ざらにあるエリアだからなのか
この最寄りの村には、人間は、住んでいなかった。
数体の防寒の処置がほどこされたロボットだけだった。

早速、ドラ・ザ・キッドは、この村の駐在所を訪ねた。 
駐在所の警官は、ロボット警官が、一体だけだったが、
この様なロボットしかいない地域では、それでも十分だった。

ロボット警官は、保安官代理とタイムパトロール隊員を兼任している
ドラ・ザ・キッドの顔をみるなり、とてもホッとした様子だった。

ロボット警官の話によると、ドラニコフは、本能のままに
手負いの猛獣のごとく、このエリアで暴れていた。
例え、このエリアには、人間は住んでいないにせよ、
このエリアに住む動物たちは、そんなドラニコフに怯えてしまい、
逃げてしまう始末だった。

とても、このロボット警官だけでは、対応などできなかった。
しかも、応援を頼もうにも、このエリアでは、援軍など
簡単に駆け付けることができるはずもなかった。

このエリアの状況について、さらに詳しく聞き出そうとしている時に、
何かが、雪原に降り立つ様な音が聞こえた。

気になったドラ・ザ・キッドとロボット警官は、外にでてみると、
そのドラニコフ当人が、いたのである。

(これが、悪のチップの効果なのか)
ドラ・ザ・キッドは、沈鬱な表情となった。

その顔は、極端に無口だったにせよ、
質実剛健と優しさのあふれる親友の顔ではなかった。
完全に、いかなるものだろうと、触れるものは、全て倒しかねない
危険極まりない雰囲気を醸し出している猛獣の顔だった。


ロボット警官は、完全にふるえあがっていた。

ドラニコフは、一言もしゃべらずに、ふところから
紙を一枚取り出して、ドラ・ザ・キッドにみせた。

その紙には、
3日後、フローズン・スポットにて決闘を申し込む
尚、この3日後には、貴様の仲間達とエル・マタドーラ
ドラリーニョとの戦いも行われるとあった。

「お前は、サムライやガンマンじゃあるまいし、
決闘とはなぁ いいだろう その決闘をうけてやる。
その様子じゃあ、話し合いなどできないだろうからな」

相手の承諾を聞き取ると、ドラニコフは、まさに野獣のごとく、
その場を去った。

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「相変わらずの無口だけど、あのドラニコフが
そんなことになぁ」
ドラえもんは、嘆いた。

「でもまぁ、あれだ とにかく、探し求めていた当人たちが
自分から俺達のところにでてきてくれたのだ!
だから、闘って、勝ってアイツらとの友情を取り戻そう!」
ドラ・ザ・キッドは、皆を励ますように言った。

「ドラ・ザ・キッドの言う通りアル 友情を取り戻す為に
今の王ドラ達に、できることは、3日後の闘いに備えて、
万全の準備をすることだけアルヨ」

「そうだね ボク達が、頑張って、エル・マタドーラ達を救おう!」

「で、どうアルか? のび太くんの様子は?」
連絡がおわった後、王ドラがドラメッドⅢ世に訊ねた。

友情テレカで、ドラえもんからドラメッドⅢ世へ
連絡がはいった時、最初に、
ドラえもんは、のび太が、エル・マタドーラの攻撃から
自分をかばって、倒れて病院に担ぎ込まれたことを
おもいっきり取り乱しながら説明してきたのだった。

ドラメッドⅢ世は、ドラえもんを落ち着かせながらも、
のび太の容態を確かめたのだった。

「どうやら、現地の病院での説明によると、
のび太くんは、ドラえもんをかばう際、
エル・マタドーラの経絡突きをくらったらしい。
幸い、命には別条はないものの、痛みと熱で、まともに動けないらしい
しかも、経絡に詳しい医者も現地にはいない。 
並々ならぬものを秘めているとはいえ、のび太くんは、まだ少年だ。
下手に痛み止めの薬等をうつわけにもいかない。 ただ、経絡突きも
数日経過すれば、大抵は、治まる場合が多いので、
とりあえず安静にする以外に術はないそうだ」

「数日は安静ってことは、3日後の闘いには」

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「当然、間に合わない、ドラえもんは、一人で闘わねばならない」

「そんな、あのエル・マタドーラ相手に、ひとりで」
王ドラの顔に不安がうかぶ

「そういや、王ドラよ、
お前は、エル・マタドーラとは、何かと衝突していたが、
アイツの能力の高さは、誰よりも、
お前が一番知っているのだったな」

「アイツは、いつも、なんでも避けてみせるといっていたアル
その言葉は、単なる口癖ではない アイツが闘牛を行ううえでの座右の銘
しかも、それは決して、大言壮語や駄法螺の類などではないアルネ
それにしても」

王ドラは、ふいに沈んだ表情となった

「アイツが、闘牛を救う為に、王ドラと一緒に開発した
経絡突きが、人々を苦しめるものになっているアル」

ドラメッドⅢ世も沈んだ表情になる。

「あっ、そういえば、現地には経絡に詳しい
医者はいないのだったアルね
それならば、王ドラがスペインまで飛んでいって、
のび太くんを治療するアルヨ!」

「それは、断られたよ」

「断られた?」

「ドラえもんが連絡をいれた際に、ワガハイもそのことを
提案したのだが、のび太くんは、安静にさえしていれば
確実に治るのだし、君達には、ドラリーニョを救うという
重大な仕事もある。 このことで、
君達に迷惑をかけるわけにもいかない ボクの事なら心配無用
ひとりでも、エル・マタドーラを救ってみせると」

「ドラメッドⅢ世、お前は、それをやすやすと呑んだアルカ!?」

「ワガハイも食い下がろうかと思ったよ だが、あのドラリーニョが
連れてきた護衛達のことも考えると、呑まざるを得なかったよ
お前もみただろう? あの護衛達を
アレは、プロレス用のロボットの強化型だぞ
ドラリーニョにこっちの意図が知られている以上、
アイツは、アレを必ず3日後の闘いに投入するぞ
しかも、アイツらは、試合の日程を変更してくれる様な奴らでもあるまい
それに、いくら空飛ぶタタミで、大した時間をかけずに、
イージーホールのスペインに、
到着したとしても、経絡の治療など10分やそこらですむものじゃないだろう」


王ドラは黙った。
ドラメッドⅢ世の言う通りだったからだ。
イージーホールのブラジルからスペインまでの往復時間、
治療の時間を考えると、さすがに、3日間では足りなかった。


「それでは、ドラミちゃんに頼んで、
のび太くんの代わりをつとめてもらうのは、どうアルか?」

「ドラえもんの意地を考えれば、それは、無理だろう
なんだかんだ言って、妹に助けてもらうことなど、
彼の兄として意地がゆるさないだろう」
ドラメッドⅢ世は、頭を振る

「…エル・マタドーラは、掛け値なしに強いアルヨ」

「確かに、ひみつ道具があっても、すんなりと倒せる様な相手ではない
だから、ここは一つ賭けてみるしかないな 彼のガッツと気持ちに」
ドラメッドⅢ世は、部屋をでようと立ち上がった。

宿泊しているホテルの会議室をかりて、ジャイチェンやスーチェン達
メンバーとの試合に向けてミーティングをする為だ。

会議室に向かう途中、ドラメッドⅢ世は思った。

(ドラえもんは、のび太くんのことを、いつも自分に頼ってばかりだと
言っていた。 人間は、誰かに頼らず、自分の人生を歩ければ、
それがベストだ。 だが、誰かに頼らないことと、頼り下手になるとは
全くの別物だ。 ああ、ドラえもんが、のび太くんの様に、誰かに
頼ってばかりだったら、苦労しないのになぁ…)

一方、イージーホールのロシアにいる
ドラ・ザ・キッドの表情もくもっていた。

ドラ・ザ・キッドは、ロボット警官より、駐在所の一室をかりて
ロボット馬のダイバーと共に、強行軍の疲れを癒す為に、
くつろいではいた。

ドラ・ザ・キッドは、外の景色をみた
外は、ブリザードだった。

ドラ・ザ・キッドは、机の上にあるマップと写真をみた。
ドラニコフとの決戦の場となる
フローズン・スポットのマップと写真である。

(このマップと写真から察するにフローズン・スポットの地形は
ある意味、いたってシンプルだな
超極寒の海に、幾千もの大小様々な氷のかたまりが浮いているだけだ。
尚、その氷のかたまりには、上面が極めて平坦な巨大な氷山もあれば、
1mにも満たない氷のかたまりもあるな 
もし観光で来たら、なかなか楽しめる景色だろうが、闘いとなると
これは、とても厄介な舞台だな 
敵はドラニコフだけじゃない、
自然という極めて厄介な敵も立ちはだかるということか)

イージーホールのスペイン
チャンピオンシップの街にある病院に、
ドラえもんとのび太はいた。


のび太は、エル・マタドーラの経絡突きをくらい
病院に運び込まれた時も、痛みで七転八倒していた。

応急処置として、
患部に塗ることで、痛みを和らげる塗り薬を塗ることで、
多少は、痛みはおさまってはいた。

のび太は、眠ってはいたものの、痛みが完全に
消えたわけではないので、汗をにじませながら
うなってはいた。

病室には、ドラえもんはいなかった。

ドラえもんは、診察室にいた。
診察室には、ドラえもん以外に、医者とスタントがいた。

「まぁ、あの子は、とりあえず経絡の治療の専門医がくるまで
安静にして、痛みを和らげる塗り薬を塗っておけば、
とりあえずは、問題はない」
医者はドラえもんをみる。

「それにしても、君は、一度メンテナンスを受けたほうが
いいのではないのかな
私は、ロボットに関しては、門外漢だが、どうみても
君は、色々とダメージをうけている様にしかみえない。
そんな状態で、エル・マタドーラと闘うことなど
無謀すぎると思うが」

「先生、確かに先生の言う通りかもしれません
しかし、ボクには、親友達との大事な友情を取り戻す目的が
あるのです。 しかも、本来なら何の関わり合いもないのに、
のび太くんは…」
ドラえもんは涙ぐむ

「のび太くんのくせに、ぐうたらの分際で、
生意気にも、身を呈して、ボクを守ってくれた
ならば、尚更、ボク一人でも、闘わなければならないのです!」

スタントと医者は、同時に思った

(照れ隠しか? マジで言っているのか? コイツ)

「まぁ、そこまでいうのなら、別に止めはしないよ。
とりあえず、君も、3日後の闘いにそなえて、休みを多くとりなさいよ」

ドラえもんは、礼を言って、診察室をでた。

診察室には、医者とスタントしかいない。

「キミ達は、いつまでこんなことを続けるつもりかね?」

「さあ、わかりません しいていえば、彼らが僕達の苦痛を
わかってもらえるまでと言えばいいでしょうか
それとも、誰かが、僕達の行動を止めてくれるまでとも
言えばいいでしょうか」

「私個人の感想をいえば、君達の気持ちがわからんでもない
彼らは、君達の天職ともいうべき、闘牛をうばった。
しかし、こんなことをしても…」

「全く意味などないでしょう しかし、さっきも言った通り
僕達の苦痛を彼らが分かるか、誰かが、僕達の行動を
止めてくれるまで、行動し続けるのみですよ」

「あの青いタヌキは、君達の行動を止めてくれると思うかね?」
少し間をおいてから、医者がたずねた。

「はっきり言って、あの状態のドラえもんひとりでは、無理でしょう
あのネコ耳の少年と2人で闘えるのならば、まだ可能性はあったのですが」

医者とスタントが、そんな会話などしているなどとは、
全く知らないドラえもんは、夜空をみながら
闘志を燃やしていた。

(のび太くん、すまなかった。
ボクが取り乱したせいで、
でも、君の行動は、決して無駄にしない
今度こそ必ず、エル・マタドーラを救ってみせる!)

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