『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』その9

6月12日

(9)テキサスのバッファローの意地

スーパーウルフの力を解き放ったドラニコフは、
落下するどら焼きを食べる。

わずか一瞬で、どら焼きを食べ終わると、
ドラ・ザ・キッドにとびかかる。

ダメージをほぼ回復させたドラ・ザ・キッドは、
横に飛ぶことで、かわすが、
ドラニコフは、すぐに追撃する。

ドラニコフは、ドラ・ザ・キッドの顔面めがけて、
打ち下ろし気味の右のパンチをくりだす。

ドラ・ザ・キッドは、とっさに、体をひねって、紙一重でかわす。

直撃こそはしなかったが、かすっていたのだろう。
ドラ・ザ・キッドの右ほほのあたりに、スーパーウルフの爪あとが
のこっていた。

ドラニコフの乱れ打ちが、ドラ・ザ・キッドにおそいかかるが、
ドラ・ザ・キッドは、ことごとくかわす。

(格闘家の連打に比べれば、打撃のコンビネーションが、単調なので、
俺でも、何とかよけることはできるが)

ドラ・ザ・キッドは、ことごとくかわすことができても、
反撃に転じる事ができなかった。


動きは単調でも、ドラニコフのパワーとスピードは、変身前より
大幅にアップしていて、格闘家でもないドラ・ザ・キッドが、簡単に、
反撃できる様なものではなかったからである。

(このまま防御の一辺倒では、倒されるのみ やはり、このスピードを
どうにかするしか勝機はないか)

バックステップで、攻撃をかわすと同時に、ドラ・ザ・キッドは、空気砲を
地面にむけてはなつ。

大量の雪と氷がまって、一瞬でドラニコフの視界が真っ白になるが、冷静に
ドラニコフは、状況を把握できた。

スーパーウルフの力を解放したことで、パワーとスピードだけでなく、
感覚も数段アップしていた。
大量の雪と氷で、視界が真っ白になっても、ドラニコフには、
ドラ・ザ・キッドの動きがわかった。

ドラニコフは、躊躇することなく、雪と氷の煙幕の中を駆ける。

ドラ・ザ・キッドは、全力で、
最高速度の129.3km(※1)で走る

(※1)うろ覚えだが、ドラえもんが、ネズミから逃げる時の速度、
苦手なネズミから逃げるので、全力の最高速度だと思う。
同じネコ型ロボットなので、
ドラ・ザ・キッドも全力で走れば、同じ速度になるのではなかろうかと思う。


走りつつ、ドラ・ザ・キッドは、ベストの懐からロープをとりだす。
ドラ・ザ・キッド自慢のグラスファイバー・ロープである。

ドラ・ザ・キッドの目の前に、未踏の新雪地帯がひろがる。
新雪地帯の周囲には、高さ数メートル程の氷塊が、いくつかある。

いくつかある氷塊のひとつに狙いをさだめて、ドラ・ザ・キッドは、
ロープの一部で輪を作ったグラスファイバー・ロープを投げる。

強度と伸縮性に優れ、寒冷地でも使用できる様に、特殊な改良もくわえている
グラスファイバー・ロープの輪は、勢いよく氷塊のひとつにひっかかる。

ドラ・ザ・キッドは、全力でグラスファイバー・ロープを引っ張る。

氷塊の一部は、折られて、新雪地帯の真ん中に落ちて、半分ほど沈んだ。
同時に、ドラ・ザ・キッドは、空気砲を地面にむけてはなつ。

空気砲の威力を推進力がわりに、ドラ・ザ・キッドは、宙を舞い、
氷塊の上に着地する。

ほどなくして、ドラニコフが姿をあらわすが、ドラニコフは新雪地帯の
数メートル手前で、足を止める。

「がさつな割には、よく考えたな」
偵察用の超小型ロボットをとおして闘いをみるビッグ・ザ・ドラは、
ほんの少し感心した。

「確かに、氷塊の沈み具合から、新雪の積雪量を考えると、うかつに、
突っ込みでもすれば、たちまち身動きがとれなくなる。 そうすれば、
空気砲のいい標的になってしまうだけですからな」
同じく偵察用の超小型ロボットをとおして闘いをみる側近は、感心した。

「例え、新雪地帯に踏み込まなくても、
距離をとられていたままでは、射撃の名手である
ドラ・ザ・キッドの優位は動かないのだろうが、あの新雪の積雪量では、
スーパーウルフの足を止めるには、いたらない。」

ドラニコフは、両手を地に着け、
まるで、獲物に、どの様にとびかかろうかと考えているオオカミの様な
姿勢をとる。

ほんの一瞬の思考の後、ドラニコフは、そのままの姿勢で、新雪地帯に突っ込む。

人間なら、歩くことすら、まともにできぬ新雪地帯を、
平地を駆けるオオカミのごとく、ドラニコフは駆ける。

(新雪地帯のうえを、ほとんど沈むことなく、駆けている!?
しかも、ほとんどスピードが落ちていない!?)
想像以上のスーパーウルフの運動能力に、ドラ・ザ・キッドは
驚かざるを得ない。


ドラ・ザ・キッドめがけて、ドラニコフは、とびかかり、
スーパーウルフの爪をくりだす。

ドラ・ザ・キッドは、何とかかわすも、ドラニコフは着地と同時に、体の向きを
かえて、ドラ・ザ・キッドめがけて、とびかかり、
スーパーウルフの爪をくりだす。

寄せては返す波の如く、単調なうごきとはいえ、単純にスピードが
大幅にアップしているのである。

まだ、ドラ・ザ・キッドは、そのスピードに目が慣れていないので、
スーパーウルフの爪の波状攻撃に、致命傷こそはなかったが、
既に、いくつものカスリ傷をおっていた。

単調な攻撃でも、いつかは、致命の一撃をくらうのではないかという思いが、
ドラ・ザ・キッドの脳裏をよぎる。

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(くそっ、ひるむな! 前に出ろ!)
ドラ・ザ・キッドは、自分自身に叱咤激励をする。

スーパーウルフの爪が、ドラ・ザ・キッドめがけてくりだされる。

ドラニコフの攻撃は、空をきる。
すぐに、ドラニコフは、上へ目をむける。

ドラニコフの、ほんの数センチだが、上空に、ドラ・ザ・キッドがいる。

全くの勘に頼った行動だが、
空気砲の威力を推進力がわりに、飛び上がることで、
ドラ・ザ・キッドは、攻撃をかわしたのである。

後ろ向きになったドラ・ザ・キッドを背中に乗せたような形で、
ドラニコフは、新雪に、ほとんど沈むことなく着地する。

ドラニコフは、すぐさま、体を動かして、ドラ・ザ・キッドをふりおとそうとするが、
ドラ・ザ・キッドは、全くふりおとされない。

「甘いぜ! ドラニコフ! このテキサスのバッファローことドラ・ザ・キッドは、
すぐには、ふりおとされないぜ!」

それならば、これはどうだと言わんばかりに、
ドラニコフは、まるでロデオマシーンのごとく、体を激しく動かす。

しかし、地面に根を生やした大木のごとく、ドラ・ザ・キッドは、
ふりおとされない。 

それどころか、激しく動くドラニコフの背中の上で、巧みにバランスを
とりながらも、ドラ・ザ・キッドは、スーパーウルフのシッポに、
手をのばそうとしていた。

(このシッポは、ネコ型ロボットのシッポと同じだ 
コイツをひっぱりさえできれば!!)
ドラ・ザ・キッドの手が、あと少しで、スーパーウルフのシッポに、
届こうとしていた時だった。

ふいに、ドラ・ザ・キッドは、何か強力な力の様なものに、引っ張られる様な
感覚を味わった。 

業を煮やしたドラニコフが、フルパワーで、ドラ・ザ・キッドを
ふりおとしにかかったのである。

(暴れ馬どころのレベルじゃないぞ! 
何なのだ!? このスピードとパワーは!?)

ドラニコフは、フルパワーで、走って、飛び跳ねまくる。

ドラ・ザ・キッドの体が、すごい勢いで、揺さぶられる
それでも、ふりおとされまいと、ふんばっているが、それ以外の動きが
全くとれない。

(ふんばるのが、精一杯で何もできない しかも、長くはもたない!
ふりおとされれば、俺では、瞬く間に、新雪に深く沈んで、
身動きがとれなくなって、アウトだ! 何とか活路を
みいださなければ!)

ドラ・ザ・キッドは、活路を必死で考える。

(何の変哲もない平地ならば、ドラニコフは、俺をふりおとしたければ、
俺の足をつかんで、ぶん投げるとかすればいい。 しかし、この新雪地帯では、
そんなことをすれば、瞬く間に、俺とともに、深く沈んでしまう。 だから、
この様に、飛び跳ねたりすることで、俺をふりおとそうとするのだが、
待てよ!?)

ふと、ドラ・ザ・キッドの脳裏に、ある活路が瞬間的にうかぶ。
その方法を行うことに、ためらいがあったが、一刻の猶予がないことを
考えると、即座に実行することをきめた。

「なぁ、ドラニコフよ お前は、そのスーパーウルフの能力のおかげで、
ハリウッドで俳優をやっているが」
ふんばることに精一杯なので、ほとんど小声になっているが、
スーパーウルフの耳は、しっかりと聞き取っている

「結局は、お前は、逃げて、友達の俺たちだけでなく、
ガールフレンドのモモちゃんを悲しませているだけだよな」

ドラニコフの表情に苦悶がうかんだ

「スーパーウルフは、ハリウッドで一押しのヒーローだろう
そのヒーローを演じる役者が、いくら超過酷スケジュールを
強いられたとはいえ、俺達やモモちゃんに、相談せずに、逃げるのは
いかがなものかな」

ドラニコフの表情に苦悶と悲しみがうかんだ。

(やはり、ビッグ・ザ・ドラの悪のチップに操られた時の俺と同じだ 
あの時は、キャサリンの名すら、記憶になかったが、ドラえもんのギターで
キャサリンのことを思い出しはじめた時に、何やら苦悶や悲しみが、
俺の胸中で、うずまきはじめていた。)
ドラ・ザ・キッドは、ドラニコフの苦悶と悲しみを感じ取っていた。

「ドラえもんは、色々あったが、俺達の友情に支えられて頑張ってきた。
俺や王ドラ、ドラメッドⅢ世も、アイツの友情のおかげで、自分をとりもどせた。
だからこそ、お前も友情や愛情に、思いっきりよりかかれよ そうすれば」

ドラニコフの表情に苦悶と悲しみが深くなる。

(惑わされるな! ドラニコフ!)
ビッグ・ザ・ドラが悪のチップを介して、ドラニコフに再び語りかける。

(そいつの言葉は、友情や愛情を万能の存在とはきちがえている奴の戯言だ
いくら友情によりかかろうが、人間達は、お前の才能を、映画の演出の為の
使い勝手がいい道具にしか思わなかっただろう 実際に、人間達は、お前が
ネコ型ロボットであることに、あぐらをかいて、超過酷なスケジュールを
押し付けていただろうが)

ドラニコフの怒りが強くあらわれる。

(そうだ、ドラニコフよ、
お前の心を惑わした礼を、そいつにたっぷりとしれやれ)

ドラニコフは、フルパワーでジャンプした。

ドラ・ザ・キッドを背負った状態で、高さ100メートル近くの放物線をえがいて、
着地する。

着地と同時に、再び、フルパワーのジャンプで、
高さ100メートル近くの放物線をえがいて、
着地する。

ドラニコフは、そのジャンプをくりかえす。

「ただ、ジャンプをくりかえしているだけでは、
ドラ・ザ・キッドは、倒せないのではないですか?」

「普通の敵なら、倒せないだろう だが、忘れたか
あのドラ・ザ・キッドは、高所恐怖症であることを」

「なるほど、確かに高所恐怖症のドラ・ザ・キッドにとって、
あのジャンプの繰り返しは、生半可な武器で攻撃されるよりも、
はるかに恐ろしい攻撃になりますな」

側近の言うとおり、ドラ・ザ・キッドにとって
このジャンプのくりかえしは、
スーパーウルフの爪よりも恐ろしい攻撃だった。

何度も、100メートル近くの高さから、
一気に落下するのを味わななければならないからだ。

高所恐怖症であるドラ・ザ・キッドは、その恐怖で、
コンピューターが、オーバーヒート寸前であった。

(泣き出して、ごめんなさいと言いたいほど怖ぇよ
だが、こらえろ! このジャンプのわずかな緩みを利用しろ! )

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涙をうかべながらドラ・ザ・キッドが、いくら必死にこらえても、
このジャンプのくりかえしが、確実に、ドラ・ザ・キッドを弱らせていることを
ふんばりも確実に、きかなくなっていることも、
スーパーウルフの感覚は、感じ取っていた。

次のジャンプで、ドラ・ザ・キッドをふりおとすことができる確信が、
ドラニコフにはあった。

ドラニコフが、フルパワーでジャンプする。
そのジャンプが、放物線の頂点にさしかかった時、
ついに、ドラ・ザ・キッドは、ドラニコフの背中から落ちた。

着地した後、落下したドラ・ザ・キッドに、とどめをさすだけだ。

ドラニコフが、勝利を確信したときだった。

ドラニコフの右足に、グラスファイバー・ロープが巻きついたのである。

ドラニコフは、驚愕した。

「こらえられるかどうかは、ほとんど賭けだったが、なんとかこらえたぜ」
ドラ・ザ・キッドの声は、弱々しかったが、闘志は未だ燃え尽きていない。

「どんなジャンプでも、程度の差こそあれ、とびあがりきった瞬間から
落下し始めるまでの時間という緩みがある。 その間は、無意識的にだが、
どんな奴でも、パワーをオフにするものでね  さすがのお前も、怒りで
気づかなかっただろうが、その緩みの時間を利用して、ロープをお前に
まきつける為の準備と空気砲の出力を最大にためていたのさ」

ドラ・ザ・キッドは、空気砲を上空のドラニコフに向けた。

「さすがのスーパーウルフでも、空中では、
ましてや、ロープを巻きつけられては、自由自在に動けるなど、
決して、できないだろう! これで、フィニッシュだ!」

ドラ・ザ・キッドの最大出力の空気砲が放たれた。

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