『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その11

10月29日

(11)頑張れば、為せば成る

イージーホールのスペイン
チャンピオンシップの街の真ん中にある闘技場

世界史の教科書でみかける様な闘技場に比べても、遜色がない
歴史の重みが感じられるが、建物の直径や収容できる観客数など、
規模は、それらに比べると、はるかに小さい。

観客は、満員だったが、その顔は、どれも
どことなく陰鬱だった。

3日前の街の様子から察するに、この観客達は、
この街の人々であり、
エル・マタドーラに、無理やり参加させられていることは
ドラえもんには、容易に理解できた。

そんな闘技場のグラウンドに、ドラえもんとエル・マタドーラが
対峙している。

「君は楽しいのか? 君は満足なのか? 
下らない自己顕示を満たす為だけに、
人々を無理やり従わせる様なマネをして

ボクの知るエル・マタドーラは、
誰よりも、情が厚い熱血漢であり、
闘牛士であることに、誰よりも誇りをもっていた。

決して、そんな程度が低い男ではないはずなのに」

「フッ、タヌキに、
そんな評価をされたくないものだが、その様に、
思いたければ、思えばいい。

まぁ、それはともかく人間であれ、ロボットであれ、
友情の為だろうが、野望の為だろうが、
目的や手段に違いこそあれ、

その行動の根底にあるものは、
所詮は、自己顕示や自己満足なのだよ」
エル・マタドーラは、鼻で笑った。

ドラえもんは、思わず、かちんと来たが、こらえた。
相手の言動に、うかつに腹をたてれば、
3日前と同じ展開になってしまうと思ったからである。

「ほぅ、こらえたのか 偉いな
そうだよな また腹を立ててしまったら、
もはや助けてくれるメガネザルは、いないからなぁ」

エル・マタドーラは、拍手をした。
無論、相手を称賛などしていない。 
相手を馬鹿にしているだけである。

「ボクは、のび太くんにいつも言ってある。
どんな時でも、頑張れば、為せば成ると!
だから、ボクひとりでも、頑張って勝って
友情を取り戻してみせる!」
ドラえもんは、四次元ポケットから名刀電工丸をとりだし、
構える。

「タヌキにしては、なかなか凛々しいぞ
この闘いは、テレビ放映させているからな
あのメガネザルの入院している病院にも放映させている。
お前の頑張る姿とやらも、みせてやれ」
エル・マタドーラがゴムの剣を構える。

「闘牛士でありたい。 闘牛士でおわりたい。
それ以外に道はない。 それをみせてやる以外に何も望まない」
エル・マタドーラの表情がかわる。

その顔つきは、まさに、真剣に闘いに臨む者であった。

先程までの鼻で笑っていた者とは、同一人物とは思えなかった。

「そんな僕が戦うのだ 3日前の様なしらける展開だけは
やめてくれよ」

(エル・マタドーラの闘牛士のスイッチがオンになったな
悪のチップとやらでも、コントロールできないスイッチが)
エル・マタドーラの部下であり、セコンドでもある
スタントがグラウンドから退出する。


グラウンドには、エル・マタドーラとドラえもんの2人となった。

それは、ドラえもんとエル・マタドーラの闘いの
開始の合図を意味していた。

「それでは、はじめるか」
その瞬間、エル・マタドーラは、ダッシュして、
ゴムの剣による突きをくりだした。

ドラえもんは、電工丸でそれをはらいながら、
突きをくりだす。

「なるほど」
エル・マタドーラは、後方にさがることで、突きをかわす。

「そいつが、噂の名刀電工丸か」
エル・マタドーラは、ダッシュして、ゴムの剣による
連続突きをくりだす。

ドラえもんは、電工丸でそれらをはらいのける。

「僕の故郷では、全くと言っていい程、
お目にかかることないので、
単なる駄法螺程度だと思っていたが」
エル・マタドーラは、連続突きのスピードを最高速度まで上げる。

ドラえもんは、電工丸で
最高速度の連続突きをはらいのけながらも、電工丸で攻撃をくりだす。

「すごいじゃないか この僕の最高速度の連続突きをはらいのけながらも、
攻撃をしてくるとはなぁ」
エル・マタドーラは、ドラえもんの攻撃をかわしながらも、
連続突きをくりだす。

「レーダーが組み込まれているので、どんな軟弱者でも
居眠りしながらでも勝てる程の凄腕の剣士に変えるというのも、
決してハッタリの類などではないのだな
武器というのが、弱者の為に、存在すべきだとするのならば、
名刀電工丸というのは、この22世紀に相応しい業物じゃないか」

凡俗の者では、到底、目で追えないスピードでくりだされる
剣の技の応酬の中にいても、額に汗をうかべながらも、
表情に、ゆとりがなくても、エル・マタドーラは、称賛をした。

名刀電工丸は、エル・マタドーラの剣のスピードにも、
十分に対応ができていた。
それなのに、ドラえもんも、額に汗をうかべ、表情にゆとりがなかった。
そのうえ、エル・マタドーラの様に、称賛する余裕がなかった。

(なぜだ? 勇気さえあれば、
大抵は、この名刀電工丸で、瞬く間に、倒せたはずなのに
なぜ? コイツは、これほどまでに、応戦できる? 
そのうえ、なぜ、こんな状況でも、相手を称賛する余裕なんかがあるのだ?)

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名刀電工丸で凄腕の剣士になれても、
ドラえもん自身の心や精神が凄腕の剣士になっているわけではない。
それゆえに、想像以上に応戦する相手の実力と
これまで経験したことのない名刀電工丸がくりだす
想像以上をはるかに上回るスピードの応酬に、
うろたえてはじめていた。

(いや、狼狽するな! どんな時でも頑張る心があれば、
ボクに勝機はおとずれるはずだ!)

ドラえもんは、うろたえる自分を叱咤激励する。

「ほんとうに、大した名刀だよ
この僕の剣のテクニックでは、どうあがいても、名刀電工丸を上回れないか」

数分程、続いた(それでも、ドラえもんには、数時間に感じられた)
剣の技の応酬の末に、エル・マタドーラは、一気に間合いをつめた。

(突き、いや、剣ごとタックル!?)

エル・マタドーラのゴムの剣と
ドラえもんの名刀電工丸が打ち合う音がグラウンドに響く。

「剣のテクニックが駄目なら、パワーで押してやる!」
エル・マタドーラが力をこめつつ、突進する。

(こ、このままでは!?)
ドラえもんは、その突進に、押される。

「くそっ!! 頑張れば、為せば成る!!」
ドラえもんは、自分の馬力を最大限にして、
踏ん張り、エル・マタドーラの突進を止める。

「負けるものか!」
ドラえもんは自分の最大限の馬力で、押し返す。

「なめるなよ! タヌキが!」
当然、エル・マタドーラも押し返す。

まるで、静止画の様に、両者は自分の武器を
打ち合わせたまま、動かなくなった。

いや、正確に言えば、両者は、鬼気迫る表情で
小刻みにふるえていた。

それは、
エル・マタドーラとドラえもんが
激しい鍔迫り合いをしていることを意味していた。

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