『ルイージに歴史あり 外伝』その15

8月11日

第3章 〔スーパーマリオランド編〕

(10)侵略の理由(前編)

「タタンガ様、あと15分です」
ロケトン1号の声に目を覚ました。

「軍勢は城からどれくらいの距離にいる?」
俺は、コクピットでストレッチをはじめる。

目覚めたら、すぐにでも行動できる様に、
軍隊で叩き込まれた習慣だ。

「歩兵らしき軍勢が5千
城から2キロメートル程まできております。
あと10分ほどで、城に、到着するでしょう。」

「へぇ、思った以上に、軍勢は多いな」
ストレッチを終えた俺は、機体を起動させる。

「ロケトン3号とロケトン8号よ 
城門を開いて、その軍勢を中庭へ誘い込め

それから、ロケトン1号よ、姫様もお連れしてやれ
無論、特等席に座っていただくことも忘れずに」

「了解しました タタンガ様
些細ことですが、念の為に
報告させていただきたいことがあります。」

「なんだ?」

「タタンガ様が、寝ている間に、
チッキン達を散歩で放ったのですが、
まだ、戻っていません。 それから、
タタンガ様が睡眠に入る直前ですが、
何やら妙なものの、反応がありました。」

「わかった」
傍からみれば、ロケトン達が、これから戦う者に対して、
愚かにも、戦いに、全く関係のない情報を持ち込んでいる様にみえるだろうが、何かと敵が増えてからは、内容や重要性を問わず、
どんな情報でもロケトン達に報告させている。

それから、約10分後、

半径が30数メートルは優にある噴水がある中庭で、
5千の軍勢と、俺達は対峙した。

「時間内に来ていただいて痛み入る
それで、この軍勢で一番強い奴は誰だ?」
機体の外部スピーカーを通して、軍勢に語りかける。

「こ、こ、この僕だよ」
軍勢の中から一匹のカメが進み出た。

「へぇ、お前さんが? 一番強いのか?」

「そ、そ、そ、そうだ。 お、お前なんか、
このノコボンのハードが相手してやる」

ノコボンのハードと名乗るこのカメ

よくみると、普通のカメが背負っているとでもいうべきか
背負っているのは甲羅ではなく、
何か爆弾みたいなものを背負っていた。

だが、それよりも、よっぽど気になるのは、
コイツの表情と口調だ。

あきらかに、このノコボンのハードとやらは怯えていて、
誰かに、命令されて嘘を言わされている可能性が極めて高い。

「はぁ!? アンタなんかが、一番強いわけがないでしょ!
ドラゴンザマスは!? パオキントンは!? 
どうしたの!? 主人が捕えられているのに、何しているの!!」

俺が聞きたいことを言う前に、
2体のロケトンの護衛機からの
ワイヤーでつりさげられたゴンドラに乗せられたデイジー姫が
ノコボンのハードにわめいた。

「おい、姫様が、あの様に、仰っているが、
本当のところ、どうなのだ?」

「そ、そんなことより、勝負しないのか ど、ど、どっちだ!?」

「人の質問には、答えてほしいものだが、その答えがないということは、あの姫様の言葉は、本当だと肯定しているも同然だろう」
ノコボンのハードの顔は、思いっきりひきつる。

「う、う、うるさい! さ、さっさと、ぼ、僕と闘え!
この中庭の噴水で、あ、あ、相手してやる!」

顔面蒼白になりながらも、ノコボンのハードは虚勢をはっている。

(コイツも、所詮は、軍の弱者か 
こんな辺境の星でみかけようとは)

異なる惑星の地で、既視感を感じる相手の様子に、
かつての苦い記憶の断片が、頭の中をよぎる。

当時は、自覚はなかったが、
後年になって、ふりかえると、あの苦い記憶の断片が、
俺の怒りを発火させるきっかけになったのだろう。

また、後年になって、ふりかえることで、
はじめて、理解できたことなのだが、

発火してしまった俺の怒りは、鎮火することもできずに、
負け戦の遠因となることを当時の俺は知る由もなかった。

「まぁいい、そこまで言うのならば、相手してやろう」

「つ、ついてこい!」
ノコボンのハードは、中庭の噴水へ歩き出す。

俺は、機体を噴水へ向けて動かす。
それと同時に、機体のセンサーで索敵を行う。

(ヒョイホイという例があるからな。
奴ら特有のアホな手段だと思ったので、
索敵をしてみたら、思った通りか…)

センサーが噴水の中に、1つの巨大な生体反応と
2つの生命体の反応を映していた。

さらに、俺は、機体の索敵機能で、噴水の中に潜む
生命体の映像をディスプレイに映し出す。

21世紀の最新型の機体の索敵機能に比べれば、

大したことはない80年代の索敵機能だが、
半径1キロメートル程度なら
敵の映像を鮮明に映し出すことはできた。

「へぇ、こりゃまた、奇妙な生物達が、お出ましで」

まるで、タツノオトシゴを連想させる様な形の巨大生物と
何やらクラゲみたいな生命体が2匹

このタツノオトシゴみたいな生物が、
おそらく、デイジー姫が言っていたドラゴンザマスなのだろう

「オイッ! は、早く来いよ!」
ノコボンのハードが、急かす。

作戦は完全に読めた。

あのノコボンは、囮で、俺が、あの巨大生物の真上に
通りかかったところを、あの巨大生物が、
なんらかの攻撃をするのだろう。

あのヒョイホイ同様、チンケな発想だ。

俺は、機体のタービンアームを起動させる。
タービンが動き、エネルギーが溜まりはじめる。

「ノコボンのハードとやら 
小心翼々なのに、囮を強要させられる
敵ながら哀れな奴よ お前さんなんぞの命などはいらないから
とっとと逃げろ」

俺は、機体の右のタービンアームをノコボンのハードに
見せつける様に挙げた

画像


「な、な、な、なっ!?」
右のタービンアームのタービンから作りだされているエネルギー弾にノコボンのハードは、真っ青になっている。

「な、何なのよ… 
あんな奴に、何で!? あんな魔法の力など
感じられない奴に!?」

さすがのデイジー姫も、驚いている。

サラサ・ランドの軍勢が、どよめく

しかし、これから戦おうとするデイジー姫の声や軍勢のどよめきなど
俺の耳に入っていない。

「地球の者達よ! これが、戦闘ロボ パゴスの波動砲だ!!」

俺は、噴水の中に、潜んでいる巨大生物めがけて、
波動砲を放った。

10数メートルは超える水柱立つと同時に、
機体を急降下させる。

あの巨大生物が、みかけに反して、素早い動きで、
波動砲の直撃を避けたからだ。

波動砲に、驚き、混乱しはじめる兵士達と
それを静めようとする指揮官らしき者達の大声が聞こえる
喧噪の中、波動砲が放つと同時に、無我夢中で
逃げているノコボンのハードの後ろ姿がみえた。

(どうやら、素直に逃げたか…)

ほんの一瞬だが、安堵の様な気持ちがあった。

機体を降下させ、噴水の中へ入る。

(ほぅ、これは)

噴水の中をくぐると、幅が、200メートルは、優に超えて、
高さは、500メートルは、優に超える。
水路らしき場所だった。

「下賤な輩が!! このドラゴンザマスの水路が
ぶっ壊れでもしたらどうするつもりか!!」

タツノオトシゴを連想させる巨大生物が、
俺の前方にあらわれた。

その距離は、およそ300メートルといったところか

予想通り、
どうやら、このタツノオトシゴを連想させる巨大生物が
ドラゴンザマスというわけか

機体のスピーカーを水中用に切り替える

「おいおい、俺は、侵略しにきたのだぞ
お前さんの水路なんぞ知ったことではないな!」

「うぬぬ… 減らず口を
どうやら、ヒョイホイとキング・トドメスを
倒したみたいだそうだが、このドラゴンザマスは違うぞ!」

「フッ、あんな小心翼々のカメに、囮なんぞさせて
俺に不意打ちをしようって輩が、根性あるなら
かかってこいといっておきながら、
武器で騙し討ちしようとする
ヒョイホイと、何の違いがある?」

「違う! 奴とこのドラゴンザマスでは、実力が違う!
それに、お前の様なチンケな侵略者から、我らがデイジー姫様を
守るのに、不意打ちだろうが、騙し討ちだろうが何の問題はない!」

画像


「ほぅ、ところでさ、
もしも、俺が、お前さんの作戦を見抜いた時に、
あのカメとお前さんに同時に波動砲を放って、あのカメが
命を落としたら、お前さんはどう思う?」

あの記憶の断片がよぎったからなのか
原因は、後年になっても、よくわからないが、
無自覚に当時の俺は、敵に、
文明や価値観、地位等、色々な面で全く異なる敵に、
こともあろうに、こんな質問していた。

「別に、これといって何も思わん!
奴らノコボンなぞ、どいつもこいつも小心翼々で、
踏まれて背中の爆弾を爆発させる以外、
攻撃方法を知らない様な奴らだ 使い捨ての囮として
姫様の役に立つ以外、何の価値もないからだ」

ドラゴンザマスは、半ば予想通りの答えをだした。

「そうか そうか 成程な
どうやら、久しぶりに、きちんと戦闘意欲をもって
闘えそうだ」

-(11)侵略の理由(中編)に続く-

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック