『ルイージに歴史あり 外伝』その16

8月26日

第3章 〔スーパーマリオランド編〕

(11)侵略の理由(中編)


「そうか そうか 成程な
どうやら、久しぶりに、きちんと戦闘意欲をもって
闘えそうだ」

戦闘開始の合図の代わりとして、俺は波動砲を放つ

ドラゴンザマス(※1)は、体を上下に動かして、
波動砲をかわす。

(※1)『スーパーマリオランド』のミューダ王国のボス
『スーパーマリオランド』では、タマオーに守られつつ、
体を上下させて炎を吐く


「そんな攻撃が、このドラゴンザマスに当たるか!」

さらに、もう一発、波動砲を放つ。

「遅い! 遅い!」
ドラゴンザマスは、上下の動きで、かわす。

みかけによらず、まぁまぁの俊敏さだ。

俺は、ドラゴンザマスを中心に、機体を右に90度程、
動かしながら、波動砲を放つ

体を上昇させて、
ドラゴンザマスは波動砲を避けつつ、
体の向きを変えて、俺と向かい合う形をとる。

「これでもくらえ!」

ドラゴンザマスは口から炎を吐いた。


奴の俊敏性よりも、はるかに速い
まるで、炎は、弾丸のごとく、真っ直ぐに、とんでくる

どうにか、炎を回避できた。

「なるほど、戦闘力に関していえば、
確かに、お前さんは、ヒョイホイとキング・トドメスよりは、
優れているだろう でもな…」
俺は、機体の右のタービンアームから波動砲を放つ

ドラゴンザマスが、体を上昇させはじめる

「頭の程度は、どっこいどっこいだけどな!!」
俺は、機体の左のタービンアームから波動砲を放った。

先程の放った3発の波動砲から確認できている。

ドラゴンザマスは、水棲の生物なのだろうが、
自由自在に、水中を動けるわけではない。

なぜなら、3発目の波動砲の時、
避け方が、他にもあったのに、
何の逡巡もなく、体を上下に動かして避けているからだ。

奴が水中で、できる動きは、
上下に動くことと、
どうにか、浮力で体の向きを変えることぐらいなのだろう。

それならば、1発目の波動砲を奴に避けさせて、
奴の上昇する軌道とスピードを計算して、2発目を放てば
攻撃をヒットさせるのは、容易い。

計算通り、1発目の波動砲を
ドラゴンザマスは、上昇することで、避けた。
続けて放った波動砲が、上昇する奴に、
追尾するかの様に、水中を駆ける。

これは、確実に直撃する。

俺は、確信した。

しかし、ドラゴンザマスの周囲に、
あの2匹のクラゲみたいな生命体があらわれ、
波動砲の前に立ちはだかる。

みかけによらず、健気に奴を守ろうというわけか。

だが、80年代当時の俺の故郷では、
トップクラスの攻撃力をほこる戦闘ロボ パゴスの波動砲である
あんなクラゲみたいな生命体に防げるわけがない。

波動砲は、クラゲみたいな生命体に直撃した。
水中に広がる衝撃に、俺は、ドラゴンザマスも、
あのクラゲみたいな生命体も木っ端微塵だと確信した。

「なっ!?」

だが、次の光景は、俺には、信じがたい光景だった。

波動砲は、確実に、直撃したはずなのに、
あのクラゲみたいな生命体は、全くの無傷だったのである。

「バ、バカな!? 確実に命中したはず…」
俺は、思わず口に出していた。

そんな俺のセリフを聞き取った
ドラゴンザマスは、不敵に大声で笑う。

「このドラゴンザマスの動きの特性を計算してうえでの攻撃なのだろうが、
そんな攻撃などで、倒されることなどない!! なぜなら、
この不死身の生命体、タマオーが、護衛についているからな!!」

「ふ、不死身だぁ!? 寝言を言いやがって!
そんなものが、この世に、存在するわけがなかろうが!!」

俺は、信じなかった。 当然と言えば当然だ。
80年代、不死身なんてものは、俺の故郷では、存在しない。 
故郷でも、何世紀にもわたり、不死身の研究が
おこなわれてきたこともあったが、
実現などできなかった。

もはや、不死身なんて言葉は、
せいぜい、呆れるぐらいタフネスな奴を表現する
比喩程度でしかないのだ。

「まぁ、お前の様な浅学非才の輩に言っても理解できないだろうが
このタマオーは、不死身だ いかなる攻撃をもってしても、
倒すことはできない!!」
ドラゴンザマスは炎を吐く。

「浅学非才だと!? お前さんの様な奴に言われたくはない!」
炎を避けつつ、俺は、タービンアームの出力を上げる

俺の故郷の小型の戦艦なら、一撃で沈められるレベルだ。

出力があげた波動砲を放つ
ドラゴンザマスを狙って、放つが、護衛の生命体である
タマオーが、立ちはだかる。

波動砲は、タマオーに直撃する。
だが、タマオーは、まったくの無傷だった。

「ハハハ、無駄だ!」
ドラゴンザマスは、タマオーに波動砲を防御させながら炎を吐く

画像


「タタンガ様、これは、どういうことなのでしょうか?」
ロケトン1号からの通信が、はいってきた。

既に、護衛機の索敵機能で、
俺の戦いの様子を詳しくみているのだろう。

ロボット特有の抑揚のない声だが、
その声には、理解不能な現象に対処できず、
驚きやら、戸惑いなどが含まれている様に
俺には感じられた。

もっとも、感じられたと言っている俺自身も、
理解不能だ。

既に、波動砲を数発直撃しているのに、
無傷でいられる生物など存在しないはずなのに、
俺の目の前に、存在している。

正直、信じたくはない。

「タタンガ様、コイツは、どうなっているのですか
索敵から取得したデータをいくら解析しても、
コイツらは、間違いなく生物のはずなのに、
なぜ、波動砲に耐えられるのかはわかりません」

ロケトン7号が、少しでも、俺の戦況を有利にもち込もうと、
索敵で取得したタマオーを分析してくれているが、
生物であること以外に、何もわからない。

それは、同時に、タマオーの不死身は、
何らかのトリックではなく、正真正銘のものであることを
俺に、いやが上にも認識させる。

不死身
後に知ることになる地球の魔法文明の大きな産物の一つ、

その存在は、まるで、ジャブの連打となって、
俺とロケトン達の思考を止めさせていた、


そのうえ、
この2匹のタマオーとやらを撃破しない限り、
ドラゴンザマスに攻撃をあてることは
できないということが、
俺を焦らせていた。

ドラゴンザマスが、炎を吐く

「タタンガ様、やはり、コイツの… な、何だ」

「オイッ、ど… うっ!?」
ロケトン6号の様子に、異変を感じ取り、
何があったか、聞こうとしたが、できなかった。

ドラゴンザマスの炎が、機体の左の上腕に被弾したからである。
幸いにも直撃こそ避けられたので、
機体の内部及び装甲には、問題はないものの、

被弾した機体の左の上腕の装甲のダメージは、
思った以上だった。

(あの攻撃、想像以上に厄介かも)

想像以上のドラゴンザマスの攻撃力に、驚いた瞬間、

「タタンガ様、大変です! あの女が…!?」
ロケトン1号からの通信がはいる。

「映像を俺の機体にまわせ」

機体のディスプレイの一つに映像が映る。

「いいわね、みんなで、あの2枚目気取りのバカ達を追っ払えー!!」
何と、デイジー姫が大地に立って、
右手に、テニスのラケット、左手にテニスボールをもって、
軍勢を鼓舞していた。 


「あ、あの女…!? どうやって… いや、それよりも!」
デイジー姫が、あの高さのゴンドラから、
どうやって降りたのかは、気になったが、

それよりも、俺は、自分の迂闊さを悔いた。
あのタマオーの不死身という能力に、俺も、ロケトン達も
デイジー姫の監視と軍勢の動きのことを忘れてしまうぐらい
気をとられすぎてしまったのだ。 

「それ、攻撃するのよ!」
デイジー姫の指令の下、軍勢が、8体の護衛機めがけて、
兵達が石を投げる。 

また、軍勢の中には、
矢を投げつける蜂みたいな恰好をした奴(※2)もいれば、
まるでサメを連想させるような目と口のついた
妙な形の大砲の弾(※3)が、
軍勢の発射台から飛んだ。

(※2)スーパーマリオランドにでてくるブンブンのこと

(※3)スーパーマリオランドにでてくるギラーのこと

ロケトン達も、伊達に俺の護衛機をしているわけではないので、
簡単に、直撃されて撃墜などされないが、
予想外の事態に、浮足立っている。

「フハハハ、聞こえるぞ! さすがは、我らがデイジー姫様だ
お前達の様な侵略者どもに、負けるわけなどないのだ」
こんな水中にいるのに、通信も使用しないで、
ドラゴンザマスは、地上の音を聞きとっている。 

軽視できない、やばい状況だ。
あのドラゴンザマスを倒して、早く地上に戻って
ロケトン達に、加勢したほうがいいのだが、
リーダーの俺がいないまま、浮足立ったままでは、
ロケトン達でも、危うい。

ドラゴンザマスを倒すには、
あの不死身のタマオーをどうにかしないといけない。
しかし、例え最大出力の波動砲でも、
タマオーは撃破できない。

どうすればいいのか

「えーいっ! まどろっこしい! こうしてやるわ!!
ギラーを3発、それぞれ、違う高さに発射して!」

ディスプレイからデイジー姫の声が聞こえる。

あの妙な形の砲弾、
ギラーというらしいが、発射台から
角度を変えながら、3発、発射され
デイジー姫の頭上をすぎる。

ギラーの標的は、ロケトン達ではなかった

なぜなら、一番高い角度から発射されたものでも、
ロケトン達に届かない。

「いくわよ!!」
デイジー姫は、走り出した。
スポーツについては、門外漢の俺がみても、
走り方のフォームがなっていない。

しかし、みかけによらず、並はずれた速さだった。

俺の故郷の超一流のトップアスリート達の速度を
大きく上回っていた。

デイジー姫は、一番低い高さを飛ぶギラーめがけて、
ジャンプした。

「なにっ!?」
俺は、驚いていた。

デイジー姫は、一番低い高さのギラーを飛び越えると同時に、
ギラーを踏み台にして、ジャンプしたのである。

続いて、真ん中の高さのギラーを飛び越えると同時に、
そのギラーも踏み台して、ジャンプする

ついに、一番高さのギラーを飛び越えると同時に、
そのギラーを踏み台して、ジャンプした。


画像


デイジー姫は、ロケトン達の高度を上回った。

「これでも、くらいなさい!!」
デイジー姫は、一番近い距離にいたロケトン3号の頭をめがけて、
あまりフォームのなっていないスマッシュした。

フォームがなっていないくせに、並はずれた
威力とスピードはあった。

テニスボールは、ロケトン3号の頭に、クリーンヒットした。
そのことで、ロケトン3号の護衛機は、バランスを崩して、
墜落しはじめそうになるが、すぐに持ち直した。

「また、3発、ギラーを発射しなさい!」
高度が下がりはじめたデイジー姫が、軍勢に命じる

それぞれ違う角度から発射されたギラーを利用して、
先程のジャンプの要領で、デイジー姫は地上に降りる。

あまりにも不覚すぎたが、
タマオーの不死身に気をとられすぎて、
気が付かなったが、多分、あのギラーを利用して、
ゴンドラから地上へ降りたのだろう。

(ふざけるな! 俺達、補給部隊だって、戦ったのだ!
補給部隊だって突撃部隊と同じ軍人だぞ!
奴らなんかよりも立派な軍人なのだぞ!
スポーツマンが、敵を撃破できるかよ!)

ふと、俺の頭の中に、アイツの言葉がよみがえる。

「さすがは、デイジー姫様だ。 我らの国のアイドルとも言うべきお方だ 超がつくほどの抜群の運動神経で、お前のチンケな護衛どもを圧倒しているぞ」

どうやっているのかは知らないが、
こんな水中のいるのに、ドラゴンザマスは、地上の様子を
把握している。 

「これで、お前達、侵略者共は、終わりだな
どうせ、デイジー姫様の美貌にひかれて、侵略でも
たくらんだのだろうが、このドラゴンザマスがいる
サラサ・ランドを標的に選んだのが、運の尽きだったな」

頭の中によみがえったアイツの言葉が、きっかけで、
俺の怒りの炎が燃え上がり、このドラゴンザマスの
的外れなセリフが、怒りの炎を強くする。

怒りの炎が、俺の中にあった焦りや戸惑いを消していく。

「デイジー姫の美貌にひかれて、侵略?
これで、俺達が、終わりだと? 曲がりなりにも、
どこの誰よりも、戦いを知っている俺達に
何の寝言を言っている」

「寝言だと? お前の攻撃は、タマオーの前には
全くの無力だろうが、そんなお前が、このドラゴンザマスに
どうやって勝てるというのだ?」

「ドラゴンザマスさんよ! 敗北と同時に、
今から言うことを覚えておけ!
戦いというものは、消耗戦だ!」

俺は、コクピットの脇のキーボードを叩く
ロケトン達に、俺の命令を送信する為だ。

「そんな消耗戦を戦うのは、兵士だ!
スポーツマンなんかじゃない!」

俺は入力して、8機の護衛機に、送信する。

入力した内容とは、

「相手を驕らせろ」である。

-(12)侵略の理由(後編)に続く-

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