『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その17

10月15日

(17)燃え上がるヒーロー性

のび太は、名刀電工丸による攻撃がはじまった。

のび太の上段からの一の太刀を、
エル・マタドーラはバックステップでかわす。

(やっぱり、タヌキの太刀筋と、同じか… 
いや、同じで当たり前か そもそも名刀電工丸は、
剣術を知らない奴なら、誰でも達人になれるように
つくられた 正に弱者の為の業物だ。)

続いて、のび太の下段からの斬り上げる様な攻撃を
再び、エル・マタドーラは、バックステップでかわす。

(別に、タヌキだろうが、メガネザルだろうが
剣の動作とリズムは、全く同じだ
僕は、その動作とリズムを完全に把握している)

のび太のエル・マタドーラの右のわき腹めがけて、
斬り上げる様な横からの切りはらいも、
動作とリズムを
把握しているエル・マタドーラには、
よけるのは容易かった。

のび太の攻撃のリズムを完全に把握していても、
エル・マタドーラは、攻撃しない。 
まずは、のび太の状態を観察することにした。

(コイツの右のわき腹のダメージは、致命傷じゃないにせよ、
かなりのダメージだ。 コイツの顔つきをみると、
僕を倒そうとする意気だけは、十二分に感じられるが、
ケガによる高熱も発しはじめているとみたな 

また、意識も朦朧としはじめているな
それならば、タヌキの様に、

ウィークポイントを攻めるよりも、
避けることだけに専念して、
高熱と疲労で、太刀筋が鈍ったところに、
パワーチャージアタックで止めをさせばいい

それが確実だ!)

背中にダメージを負っているとはいえ、
まだまだ衰えていない巧みなフットワークで、
エル・マタドーラは、のび太の攻撃をかわす。

(子供のくせに、ドラ・ザ・キッドに
匹敵する射撃の腕を持っていることに、驚いたが、
その射撃を攻略してしまえば、ただの子供だな 
僕が攻略済の業物で攻撃をしかけてくるとは)

のび太の上段から攻撃をエル・マタドーラは、
右へ回り込んでかわして、のび太の背後に回り込む

朦朧とし始めた意識で、背後をとられまいと
のび太は左足を軸に、右足をうかせ、
腰を、上体を、ひねりながら、体の向きを変える。

「おりゃああああ!」
のび太は右足でダッシュして、裂帛の気合いを発する。

その気合いに呼応するかのごとく、
能力いただきリングが、にぶく光る。

その能力いただきリングに呼応するかのごとく、
名刀電工丸が、にぶく光る。

のび太は、バットをフルスイングでもするかの様に、
エル・マタドーラの右のわき腹めがけ、名刀電工丸を
右のわき腹から左の肩へ斬り上げる様に、横に切りはらう

(にぶく光っているが、何だ?
いや、太刀筋とリズムは、変わっていないから
戸惑わずに、冷静に対処すればいい!)

エル・マタドーラは、バックステップで、
のび太の切りはらいをかわした。

「あわれだ。 お前の攻撃は、とっくに、みっ!?」

エル・マタドーラは、
みきったと言えず、非常に驚いた。

避けたはずなのに、
エル・マタドーラの上着の右のわき腹から

エル・マタドーラの胸、

エル・マタドーラの上着の左の肩にかけて
きれていた。

「バ、バカな!? よ、避けたはず…」
きられたといっても、上着がきられただけであり、
エル・マタドーラ胸の傷も、非常に浅いので、
ダメージなどないに等しい。

それでも、エル・マタドーラのショックは大きかった。

だが、攻撃を続けるのび太に、そんなことは関係ない。

全力で、踏み込み、エル・マタドーラを左肩から
袈裟懸けに斬りさげようとする。

「く、くそっ!? 調子に乗るな!」
ショックが大きくても、止まるわけにはいかない
エル・マタドーラの視界に
鈍く光る名刀電工丸の刀身が映る

(こ、これは、ゆ、夢か幻か!?)
一瞬だが、エル・マタドーラの目の前の光景を信じられなかった

伸縮性のある物質ではないはずの
名刀電工丸の刀身が、いつの間にか
長刀と呼べるぐらい長くなっていた。

(どうなっている!? 何で刀身が長くなる!?
攻撃範囲が変化しはじめたから、きられたのか!?
どうする!? )

エル・マタドーラに悠長に考えている時間などない

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エル・マタドーラも踏み込み、エル・マタドーラ専用ひらりマントを
斬りさげられる刀身めがけ、振り上げる。

振り下ろされた名刀電工丸の刀身は、振り上げた
エル・マタドーラ専用ひらりマントの数cm手前で、止まっていた。

いや、のび太自身が、全身の力を使って
名刀電工丸の降り下ろしを止めたのだ。

(メ、メガネザルが、名刀電工丸を寸止め!? 
ど、どうして、そんなことができる!?)

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脂汗を流しながら、のび太は、左足を軸に、
足を、腰を、胸を、ひねりながら、

右のわき腹の痛みをこらえながら、
体を回転させる。

体を一回転させて、
エル・マタドーラの左頬めがけ、
名刀電工丸で、きり払いをしかけようとする。

(あの長刀の形態では、バックステップできない!
振り上げてしまったひらりマントは、間に合わない!
それならば!?)

「フルスロットルでタックルだ!」
エル・マタドーラは、頭を下げて、姿勢を低くして
129.3馬力を全開にして、ダッシュした。

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エル・マタドーラは、半回転しているのび太の
左わき腹めがけてタックルした。

のび太の体が浮いた。

(確かな手ごたえだ!)

エル・マタドーラは、左手で、名刀電工丸の柄をつかむ
のび太に名刀電工丸を使わせない為だ。

(このまま、メガネザルを倒して、渾身の右パンチを
くらわせて、おわらせる!)

(や、やっと…思ったとおりのチャンスがきた)

ただでさえ、病み上がりである。
そのうえ、右のわき腹のダメージにより、
意識は半ば朦朧としていたが、
のび太は、闘志を燃え上がらせる


能力いただきリングが、強く光る

名刀電工丸の刀身が、もとの長さにもどる。
のび太は、左手を名刀電工丸の柄から放して、
刀身をつかむ

(この最後の一撃に、残された全力を注ぐ!!)

のび太の思いに呼応するかの様に、
能力いただきリングが、一段と強く光る。

その光が、のび太の全身を光らせて、
ろうそくの消える際の強く燃え上がる火のごとく、
力をみなぎらせる。

名刀電工丸の刀身が、紫がかった炎の様なオーラに包まれる。

のび太が、浮いた両足を地面に着けて、エル・マタドーラの
タックルを止めると同時に、左手で、名刀電工丸の刀身を
一気に引き抜くことで柄から外した。

(な、なっ!?)
人間の少年が、それもダメ少年が、
129.3馬力、体重129.3kgの
ネコ型ロボットのフルパワーのタックルを止めたことに、

名刀電工丸の刀身を柄から一気に外したことで、
のび太の1メートル程の後方の地面へ落下する鍔に、
ほんの一瞬だが、目がうつってしまったこと

それらのことが、エル・マタドーラの行動を遅らせた

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その時間は、1秒にもみたないが、
のび太が、名刀電工丸の刀身の切っ先を
エル・マタドーラのがら空きの背中へ向けることと

その切っ先を、エル・マタドーラの背中へ
降り下ろすには、十分すぎる時間だった。

「グオオオォー!!」
エル・マタドーラの背中に衝撃と共に、名刀電工丸の刀身が
深く突き刺さる。

「アガァァ!!」
エル・マタドーラは、手負いの獣のごとく咆哮する
名刀電工丸の柄をつかんでいた左手をはなす。
のび太の左わき腹に組み付いていた力が緩む、

「これが…」
のび太は、右手を振り上げながら体を半回転させる。
右腕を反時計回りに、ひねることで柄の縁を下にむける。

「最後の攻撃だぁー!!」
のび太は、涙を流しながら、
裂帛の気合いを発して、柄を刀身にはめる。

のび太は、全体重を、自分にある力を
名刀電工丸にかける。

のび太の気合いに呼応するかのごとく、名刀電工丸と
能力いただきリングが、強く光る

名刀電工丸の刀身が、エル・マタドーラの体を貫いた

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「グハァ!!」
エル・マタドーラは、何かを吐き出した。

しかし、のび太には、
それを確認する様な余裕などない。

右のわき腹のダメージにより、
意識が朦朧としていただけでなく
全身全霊の攻撃を放ち、
もはや精根尽き果てていたからだ。

そんなのび太の状態に呼応するかのごとく

能力いただきリングと名刀電工丸の輝きも
消えていた。

エル・マタドーラは、右膝を地につける。
のび太も、それにつられて、姿勢が低くなる。

エル・マタドーラの両手が、だらりとさがる。

闘技場を静寂が包んでいた。

エル・マタドーラに、無理やり参加させられた
もともと闘牛バッシングの観客達であり、格闘技も
野蛮人がするものだと思って、
全くみることもない様な観客達は、

使えない奴と思っていたダメ少年の
闘いぶりに呆然とするだけだった。

「こ、これは、一体どういう… 
名刀電工丸の刀身の伸縮といい、
非力なダメ少年が、ネコ型ロボットのタックルを
とめるなどと…」

偵察用の小型ロボットを通して、闘いをみている
ビッグ・ザ・ドラの側近は、驚いていた。

「うろたえる程、驚くことではなかろう」
ビッグ・ザ・ドラは、冷静だ。

「能力いただきリングとは、
使用する者と友情がある者達の能力を
使うことができるものだ あの小僧が、
冒険がどうとか言っていたことから
察するに、その冒険とやらを通して友情を結んだ奴らの中には、
ネコ型ロボットの馬力を上回る者やドラメッドⅢ世の様に、
魔法を使える者でもいれば、
決して不可能なことではなかろう」

「しかし、あの小僧は、まだまだ能力いただきリングは
使いこなせていないので、使える能力は、
一人だけのはずではないのですか?
しかも、あのタヌキを助けた為に、
能力を使ってしまったはずでは?」


「フッ、人間というのは、良くも悪くも成長するのだろう。
それならば、答えは簡単だ。あの小僧は、能力いただきリングを
使いこなしつつあるということだ」

「なるほど、そういうことでございますか」
側近は、とりあえず納得しておくことにした。

ビッグ・ザ・ドラは、
笑みをうかべているが、目は笑っていなかったからだ
こういう時のビッグ・ザ・ドラに、あれこれと
話しかけないほうがいいと側近は、心得ているからだ。

(形勢逆転できたのは、単純に能力いただきリングを
使いこなしつつあるからだけじゃない

とっさの思いつきかどうかはわからないが、
刀身を柄から外して使う方法といい、
あの射撃の技術といい、
みかけによらず、あの小僧は、優れた資質を持っているからだ。 

また、あの様な病み上がりの手負いの状態からでも
形勢を逆転させた。

どんな時でも、やる時はやる 
いわゆるヒーロー性というものも、
しっかりと持っているからだ。

ひょっとしたら、あの小僧、あのタヌキよりも、
はるかに厄介な存在かもしれない・・・)

ビッグ・ザ・ドラは、偵察用の小型ロボットを通して、
のび太をみる

(しかし、お人よしすぎるからなのか。
頭で友情を考えず、捨て去っていたつもりでも、
心では、友情を捨て去れなかった。
だからこそ、形勢逆転もできたのだろうが、
結局は、エル・マタドーラに止めをさせなかったようだ)

だらりと下がっていたエル・マタドーラの両腕が
動き出す。

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