小説版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を読みました その8

2月2日

(8)クェス・パラヤ(後編)

父親の愛人の存在によって、
求めている理想の「父親」を得る事ができず、

並外れたニュータイプ能力をもっているがゆえに、
同じニュータイプ能力をもつ英雄シャア・アズナブルに、
「父親」を求めた少女
クェス・パラヤ

英雄は、父親の様に接し、少女を愛でた。
少女は、そんな英雄の姿に、自分を許容してくれる父親を
感じ取り、英雄を愛した。

でも、少女は、はき違えて、理解してなかったと思う。
英雄は、少女の能力を愛しているだけで、その少女個人を
愛しているわけではないことを

結局は、英雄の戦争の道具として、いい様に利用された。

さらに、自分のことを一番心配してくれた少年の一撃で
命を落とすことになるという皮肉な結末をむかえた。

その様に考えると、クェス・パラヤという少女は、
哀れな少女だと思う。

しかし、その言動について、考えてみると、
一概に哀れな少女とも完全に言い切れないと思えなくもない。

クェスの父親であるアナデウアーは、
地球連邦政府参謀次官である。

その立場が、そうさせるのか
アナデウアーは自分より立場の低い者に対して傲慢だった。
(そのかわり、政治家としての小心翼々な部分は、
しっかりとあるらしく、自分を庇護してくれるものに対しては、
下手にでた)

傲慢だからなのか
自分の立場がわかっていない部分もあった。

傲慢だからなのか
相手の気持ちや立場を考えない

相手の気持ちに鈍感すぎた

相手に敬意をはらわないこともあった。

それゆえに、

いとも簡単に、相手の不評を買った、
(ついでに言えば、相手をいとも簡単に、呆れさせた)

ひどい時には、相手に本気で殴ってやろうかと
思わせることもあった。

クェスは、父親をとても嫌っていたが、
彼女の言動は、以下の部分で、
そんな父親とほとんど同じだった。

画像


(1)立場の低い者に対して無自覚に傲慢

アナデウアーは、
立場の低い者に対しては、無自覚に傲慢で
下にみていた。

宇宙にあがって、戦艦に収容してもらう際、

宇宙空間には、不慣れなので、下士官に救助されながら
収容されたにも関わらず、自分を救助してくれた下士官に
礼の一言すら言わない程である。

娘のクェスも、同じようなものだった。
彼女は優れたニュータイプだった。

その優れた能力ゆえに、老若男女問わず
無自覚にオールドタイプに対して傲慢で、
下にみていたと思う。

シャアに惹かれて、ネオ・ジオン軍に参加することになった際、

ランチでシャアを出迎えてくれた側近のホルストに対して、

「ごめんなさい、よろしくね?」と髪をなびかせながら、
ランチに入った

別に、クェスは、ホルストの部下ではないにせよ、
小娘のくせに傲慢な言動だと思っていたのだろう
ホルストの気分は多少不愉快だった。

ちなみに、クェスは、メスタを嫌っていた同時に、
メスタのことを想像力のないオールドタイプと
みくだしているのだろう。

シャアに対して、メスタの様な女と付き合うのはやめろ

シャアの格を下げるだけだと言っていた。

メスタが聞けば、不愉快この上なかっただろうと思う。

(2)自分の立場がわかっていない

アナデウアーは、
ネオ・ジオン軍との秘密裏の交渉に参加した際、

地球連邦政府参謀次官という立場にあるにも関わらず、
ネオ・ジオン軍からの賄賂を受け取り、

ネオ・ジオン軍の提案する条件を、ほとんど鵜呑みで
承諾した。

当人は、シャアと交渉した気になって
傲慢で得意になっていたのだろうが、
交渉をしていないうえに、
自分の立場というものを全くわかっていなかった。

娘のクェスも同じようなものだった。

ネオ・ジオン軍のパイロットになったクェス

当人は、軍人ではなく、せいぜい、修学旅行か何かで、
自分の愛する人のお手伝いしている学生気分で
戦っていた。

それでも、並はずれたニュータイプ能力ゆえに、
ルナツーでの戦いで、活躍したクェス

その後、リフレッシュしようと思って、
何と私服で、無遠慮にムサカのブリッジにあがってきた。

ルナツーでの戦いの後は、アクシズを
地球へ落とすというネオ・ジオン軍の本命とも
言うべき作戦があるのである。

その作戦で起こりうるであろう戦闘に備えている為、
艦隊がピリピリしているところへ無遠慮で私服で
ブリッジに上がったのだから、
当然のごとくメスタに平手打ちをくらわされたのである。

軍のパイロットということは、
自分が軍の規律や士気を守るべき立場にあることを
全くわかっていなかったのである。

(3)相手の立場や相手の思いに対して鈍感

ネオ・ジオン軍の武装解除を受け入れる為に、
ルナツーにアナデウアーは出向いた。

ルナツーの戦艦クラップの艦長に、
ネオ・ジオン軍がいなくなれば、敵は本物の宇宙人ぐらい
連邦軍は必要なくなる。

その場合、軍人達に新しい職業はあるかと問われた。

アナデウアーは、あっさりと答えた。
地球には、海岸掃除の仕事が山ほどあると

その答えに、艦長は、半ば本気でアナデウアーの頭を
殴りつけようと思った。

艦長が、その様に思うのも無理はない。

当人には悪気がないにせよ、
艦長には、軍人として地球圏の為に、
生きるか死ぬかの戦いの世界に生きてきた者が、

いきなり畑違いの掃除の仕事してくださいと言われて、
すぐにできるわけがないだろうと思いがあったのだろうと思う。

また、上手く言えないが、
アナデウアーが、軍人という職業の特別な部分や、
軍人の誇りに対して、
全くの鈍感だったことへの怒りがあったのだろうと思う。

娘のクェスも同じようなものだった。

自分の行動が原因だったのだが、

メスタに平手打ちをくらわされ、半ば狂乱しながら、
シャアのところへ行くとグラーブにわめくクェス

平手打ちをくらわせたメスタも、
このまま、ギャーギャー、わめかれるよりも、
シャアの戦力として有効利用した方が、まだマシだと思ったのだろう。

半ば狂乱している状態のままのクェスに出撃許可をだした。

この際、グラーブには出撃許可は、おりていなかったが、
グラーブは、クェスを守る為に出撃した。
半ば狂乱している状態のままでは、周囲に対する注意もはらえない
撃墜される可能性は、極めて高いからだ。

グラーブは、許可なく出撃などすれば、
軍籍を剥奪されても文句は言えない。  
そのことを承知で出撃した。

グラーブは、同じネオ・ジオン軍の強化人間でも、
マシュマーやプルとは違う。

軍籍を剥奪されれば、ネオ・ジオンの軍人でなくなってしまう

そんな状態になれば、何が出来ようかということぐらいは
想像できる。

そんな苦衷を抱えながらも、クェスの為に出撃した。

グラーブの援護のおかげで、クェスはシャアに合流することができた。

もっとも、クェスに、そのことに対して、
申し訳なく思う気持ちもなければ、
そんなグラーブの苦衷を感じ取る事すらもなかった。

シャアとの合流後、

シャアに会ったことで、嬉しくなって、
気分がすっかりと落ち着き、
あっけらかんとグラーブに近づいてきたのだから、

クェスに惹かれているグラーブでも、
さすがに、張り倒したい気分になった。

いくら優れたニュータイプだろうが、
所詮、蛙の子は蛙ということを
簡単には、変えることはできない

あるいは、
いくら優れたニュータイプ能力を、もってしても、
鳶から生まれた鷹を、

心身ともに、
いきなり鷹にはしてくれないということなのだろうか

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック