『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その20

3月24日

(20)カンフー使いの領分

試合開始のホイッスルが鳴った。

フォワードのジャイチェンが、畑違いの人間にしては、
上出来の部類にはいるドリブルで、
センターサークルを超えようとする。

敵チームのフォワード、
強化プロレスロボ10号が、迎え撃つ


(これは…!?)
ジャイチェンの拳法家としての直感が、

ジャイチェンに警笛を鳴らして告げる。

強化プロレスロボ10号が、
ジャイチェンからボールを奪いつつ、
ダメージを与える為に、ホールディングをしかける体勢に
はいろうとしていることを

(早速、しかけるのかよ!)

ジャイチェンは、ホールディングに体勢にはいりきるまえに、
スピードを上げることで、相手の脇をすりぬける。

格闘技とは違い、サッカーは、集団で行うスポーツである。

1人抜いても、敵軍のMF(ミッドフィルダー)の
強化プロレスロボ達が、立ちはだかる。

(コイツらも、しかける!)
ジャイチェンの拳法家の勘が冴える。

だが、その勘が冴えているのは、
ジャイチェンだけではない。

自軍のMF、
スーチェンとラオチュウの弟子3人、王ドラが
ジャイチェンのサポートの為に、敵軍のMF達を
それぞれマークする。

相手をマークしつつも、相手の動きに、
王ドラ達は、感じとっていた。

前もって、映像で確認しているとはいえ、
こいつらの動きには、油断できない。

うかつに油断すれば、相手の一瞬の隙を狙って、
喉笛にかみつく獣のごとくしかけてくるだろうと

そんな獣のごとく、
先程、すりぬけられた強化プロレスロボ10号が、
ジャイチェンに背後からボールを奪おうと、

いや、正確に言えば、ボールを奪いつつ、
ジャイチェンに倒そうと、キッキングで
襲い掛かろうとしていた。

(敵の強烈な殺気! 王ドラにパス!)

一種の反射運動のごとく、相手の攻撃の気を読み、
キッキングをかわし、ジャイチェンは、
王ドラにパスをする。

敵MFをマンツーマンで、マークしていた効果もあってか
強化プロレスロボ9号に、阻まれる事なく、

ジャイチェンのパスをうけた
王ドラが、ドリブルを開始する。

王ドラのドリブルも、
スポーツ専門ではないロボットにしては、
上出来の部類にはいるドリブルだった。

スポーツ専門のロボットではないにせよ、
最高時速129.3kmのネコ型ロボットがおこなう
ドリブルだけあって、

そのスピードも、人間であるジャイチェンの
ドリブルのスピードを大きく上回っていた。

瞬く間に、王ドラは、
センターバックのドラリーニョの
少し手前まで、移動していた。

「ジャイチェンとやらといい、MF陣の者達といい、
とてもサッカーの素人とは思えないね 
アマチュアでも十分に通用するレベルだね」

ドラリーニョが口笛をふく。

「でも、僕のところまでたどりつけるかな」

王ドラとドラリーニョの間を阻むかの様に、
もう1体のセンターバックである
強化プロレスロボ2号と

2体のサイドバックである
強化プロレスロボ3号と4号が

王ドラに、襲い掛かる。

強化プロレスロボ2号のスライディングを
(あきらかに、ボールではなく、王ドラの足を狙っていたが)

強化プロレスロボの3号と4号のショルダーチャージを
(あきらかに、王ドラを体当たりで、弾き飛ばそうとしていたが)

王ドラは、次々とかわした。

「おやおや、もはや一流のサッカー選手のつもりかな」
ドラリーニョが、
王ドラに体当たりで弾き飛ばす為に、飛びかかる。

学生時代、学園随一の俊足をほこっただけあって、
そのダッシュ力は、強化プロレスロボよりも、
上回っていた。

格闘技の選手でも、なかなか、
このレベルのダッシュ力をもつ
選手はいないと王ドラに思わせるほどだ。

「ドラリーニョ、お前は、
カンフー使いを舐めすぎアル!」

王ドラは、ボールを自分の頭上
十数cm上に蹴り上げつつ、上体を少し後ろにそらす

ボールがとびかかるドラリーニョの顔と一直線になろうとする

その瞬間を狙って、王ドラは、ボールめがけ
ジャンピングのヘディングをくりだす。

(ヘディングで、ボールを僕の顔面にぶちあてつつ、
はじき飛ばし返すつもりか!?)

王ドラの攻撃の意図を察したドラリーニョも、
とっさにジャンピングのヘディングをくりだした。

王ドラとドラリーニョ
両者のヘディングがぶつかりあった。

画像


だが、どちらかが、弾き飛ばされる事なく、
まるで、ボールを両者の頭ではさんだ状態のまま、
両者は地面に着地する。

「へぇ・・・ 思った以上の力量じゃないか
確かに舐めすぎだったね」
ドラリーニョは、ニヤリと笑う。

「お前も、相変わらずの運動神経の冴えだな」
王ドラも、ニヤリと笑い返してやる。

お互い、ニヤリと笑っているが、

内心では、お互いの力量が、
決して半端な力量の類ではないことを
お互いが、あらためて思い知っていた。

「でも、あくまでも、思った以上であって、
決して、脅威に値しないけどね!」
ドラリーニョは、上体を少し後ろにそらすことで、
ボールが地面に落ちようとする。

ボールが地面に落下する瞬間を狙って、
王ドラは、ドラリーニョをぬく為にドリブルの体勢にはいる。

(バカな奴! これは、撒き餌だよ)
王ドラが、ドリブルの体勢にはいろうとする瞬間を
狙って、ドラリーニョは、王ドラをつまずかせようとする。

「王ドラ達も、お前達のラフプレーの鋭さは、
あくまでも、思った以上で、
決して油断ができないレベルであって、

カンフー使いの領分からすれば、
決して、脅威に値しないアル!」
王ドラは、ドラリーニョの足をかわしつつ、
ドラリーニョをぬいて、ドリブルにはいった。

瞬く間に、ドラリーニョとの距離をひろげる。

ドラリーニョの表情が、ほんの一瞬だが、
呆気にとられた様な表情になる。

「…調子に乗るなよ! サッカー選手ではない、
素人相手の1対1の対決も制することもできないで、
センターバックなんて、務まらないよ!」
ドラリーニョは、呆気にとられた表情から一変して、
険しい表情になる。

まるで、王ドラという標的を撃墜せんとする
ホーミングミサイルのごとく、

ドラリーニョはダッシュした。

画像

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