小説版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を読みました その10

5月26日

(10)シャアが求める証

グリプス戦役で、シャアは、
地球にいる地球連邦政府の人間達の本性は、
所詮、自分の権利しか考えず、
地球を汚染している様な奴等でしかないと確信した。

エゥーゴに参画し始めた頃は、
地球を救う為に、

地球にいる人類を、穏便に、どうにか宇宙に
住まわせようという程度にしか考えていなかったのかもしれないが、

ダカール宣言前後からか、
地球にいる人類を粛清することが、

地球を救う唯一の道だと信じて疑わなくなったのだろう。

だからこそ、地球寒冷化作戦を行うことにした。

地球を一旦、誰も住めない惑星にして、地球を救う。

その様にすれば、
人類は、例外なく宇宙へ住まざるを得なくなると考えた。

しかし、小説版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でも
メスタにも、はっきりと言われた
「かつて、どんな独裁者がやったことがない悪行だ」と

別に、メスタにも言われなくても、シャアは、
自分の行動が悪行だとわかっている。
だが、誰かが、やらねば、地球は救われないと
信じて疑わない。

でも、頭で信じていても、
シャアの心は、逡巡していたと思う。
逡巡の理由は、大勢の人間を死に追いやることではなく、

全く、たいしたことのないニュータイプが、
大勢の人間を死に追いやる様な真似を
していいのかということに、あったと思う。

グリプス戦役で、
シャアが、アムロやカミーユに言っていたことから察するに、

シャアは、
一流のニュータイプの才能をもつ人間は、
人類の為、地球のため、
行動し続けるべきだと考えていたと思う。

(上手く言えないが)
人類の為、地球の為に、
いかなる行動も認められる資格があるのは、
一流のニュータイプの才能をもつ人間だと
強く信じていたと思う。

だからこそ、一流のニュータイプの才能をもちながら、
人類の為、地球の為に、何の行動もしないで
連邦軍による7年間の軟禁生活を、
甘んじてうけていただけのアムロを
苦々しく思っていた。

人類の為、地球の為に、
地球を汚染する俗物共を粛清するなどと体裁よく言おうが、
やっていることは、大勢の人間を死に追いやるという悪行だ。

人類の為、地球の為に、
いかなる行動も認められる資格がある
一流のニュータイプならば、

そんな悪行も、
許されるとシャアは考えていたのだと思う。

自分こそが、一流のニュータイプであるという証

それを、自分を支持してくれる人々の為でなく、
自分自身の為に、手に入れねばならないと
シャアは考えていたと思う。

その証さえあれば、何の逡巡もなく、

地球寒冷化作戦を行うことができる。

根っからの戦士で軍人であるシャアにとって、
その証は、アムロに勝利すること以外になかったと思う。

アムロに勝利する

だが、勝利するといっても、
かつて、ガルマ・ザビを謀殺した様な手段は使えない。

また、ア・バオア・クーの戦いのように、
マグネットコーティングしていたとはいえ、
サイコミュ兵器を持っていなかったガンダムに、

サイコミュ兵器を持つジオングで戦いを挑んだ様な
真似もできない。

それらの行動で、アムロを倒したとしても、
アムロに勝ったことになどならない。

それどころか、それらの行動をすれば、
自分はアムロより劣ったニュータイプ、

自分は、ララァにも選ばれなかった
たいしたことのない
ニュータイプだと、

自分から完全に、
認めてしまうことになると同時に、
地球寒冷化という悪行に対する苦しみと重責を、

塗炭の苦しみを味わいながら、
死ぬまで背負わねばならなくなる

それが、シャアには、耐えられないのだろうと思う

互角の条件で勝負をして、アムロに勝つ以外、
一流のニュータイプである証を得ることができない。

だからこそ、リ・ガズィで出撃したアムロを、

たやすく撃墜はできたが、撃墜しなかった。

サイコ・フレーム(※1)をアムロに提供する為に、
撃墜されたサイコ・ドーガを、わざと捕獲させた。

画像

〔↑サイコフレームの構造図のイメージ〕

(※1)劇場版でも、小説版でも、
重要なファクターであるサイコ・フレーム

『評伝 シャア・アズナブル』によると、
サイコ・フレームとは、親機として存在するサイコミュを
サポートする子機にあたるチップ(まぁ、チップというより、
生物の細胞みたいな感じだが)である。

つまり、サイコ・フレーム単体では、機能しないのである。

ただ、この子機の存在のおかげで、
親機であるサイコミュは、従来のサイコミュよりも、
大幅に小型化される。

(間違っている可能性もあるので、おそらくだけど)
従来のサイコミュよりも、
単純に、サイコミュそのもの性能が、
アップして、サイコミュ兵器の制御も
よりスムーズとなり、

小型化された分だけ、MSやパイロットに
かかる負担も軽減されたのだろうと
思われる。

尚、この記事に掲載している
サイコフレームの構造図のイメージは、
タイトル通りとでも言えばいいのか
『評伝 シャア・アズナブル』に掲載されていた
サイコ・フレームの構造図を参考に作成した
イメージみたいなものなので、
正確性において、色々と間違っている可能性も
大いにあるのでご了承ください。


はっきり言って、メスタやグラーブが察していた様に、
危険な行為である。

無論、シャアも自分の行動の危険さは理解していると思う。

相手が、アムロではなく、
ハマーンやシロッコ、カミーユならば、
互角の条件で勝負して、勝って、
一流のニュータイプの証を得たいと
シャアは、思わないだろうから、
サイコ・ドーガを、わざと捕獲させるなど、決して、しないと思う。

自分のライバルであり、
ニュータイプとして、ララァ・スンに選ばれたアムロだからこそ、
危険だが、互角の条件で勝負せねばならないと、シャアは、
考えていたのだと思う。

シャアの、一流のニュータイプである証を求める姿勢は、
単純に、男の意地、美学、誇りとかによるものではなく、

上手く言えないが、互角の条件で勝負を挑む以外、
自分の尊厳が救われないと思っている様な姿勢、

ある意味、
男の意地、美学、誇りよりも、もっと悲愴なものを、
感じられる姿勢だと思われる。

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