『吼えろペン』について その6

11月2日

(8)真の主人公

前杉 英雄(マエスギ ヒロ)
通称「ヒーロー」、

炎尾 燃の3人の常勤アシスタントの1人、

3人の中では、業界の経験が最も浅い新人でもある。

『吼えろペン』の主人公は、
月刊や週刊の連載を抱えている中堅の人気マンガ家の炎尾 燃だが、

『吼えろペン』の真の主人公は、この新人の「ヒーロー」である。

若いからなのか、この「ヒーロー」、
炎尾 燃以上に熱血漢、

炎尾 燃以上に正義感が強く、

炎尾 燃以上にポリシーがある。

「ヒーロー」は、必ず自分の愛用の自転車で通勤する。
天候が雨だろうが、雪だろうが関係ない

仕事場まで長距離だろうが、関係ない

その為に、出勤時間ぎりぎりの
すべり込みの出勤になっても関係ない。

必ず自分の愛用の自転車で通勤する

背中に「土星のイラスト」を描いた上着を愛用しているが、

その「土星のイラスト」は、
わざわざ自分で手描きしたものである。

男気あふれるロボットものに、傾倒しまくっている。

友人や弱者が、
こまっていることに対して、
何もしないなんてことができる様な男ではない。

その者達を助ける為に、全力で行動する
(ときには、暴走することもあったが)

公私関係なく、漫画を描く時も、漫画を描かない時も、
「ヒーロー」は、ポリシーと正義感にあふれる熱血漢である。

そんな「ヒーロー」だから、(いろいろと共鳴するのだろう)
炎尾 燃のファンでもある

また、炎尾 燃の様な漫画家に
なりたいと思ってもいたと思われる。

(炎尾 燃が、講師をつとめたこともある)
マンガ専門学校の在学中、

自分と常勤アシスタント達だけでは
原稿ができそうになかったので、

生徒の手もかりたいと思って、
炎尾 燃が、専門学校に電話したことが、きっかけで、

「ヒーロー」は、炎尾 燃の常勤アシスタントとなり、
炎尾 燃が原稿を完成させることを、大いに助けることになった

「ヒーロー」の「マンガを描くことに」関しては、
炎尾 燃や

かつてニセ炎尾 燃だった
非常勤アシスタントである萌以上かもしれない
成長があった。

その成長は、仕事場の人間だけでなく、
炎尾 燃が連載を抱える月刊「シャイニング」のデスクである
仮面デスクも認めていたのだと思う。

認めていたからこそ、「ヒーロー」に、仮面デスクは、
他のマンガ家のアシスタントや原作つき(※1)の仕事を
依頼していた

(まぁ、もっとも、依頼してくる相手が相手だけに、
「ヒーロー」も変な苦労が、たえなかったが)

(※1)作品のグレードをあげる為に、
シナリオをその道のプロにまかせて、
マンガ家は、作画だけを担当する作品のこと

新人マンガ家の場合、編集部が、
この「原作つき」の仕事をさせることで、
「マンガを描く力」を養わせることもあるらしい


しかし、その成長する才能に比例でもするかの様に、

あるいは、その正義感やポリシーに
反比例でもするかの様にとも言うべきか

(本人に自覚はなかったと思うが)
「ヒーロー」の野心は、次第に強くなっていく

炎尾 燃を完全に超えて、自分のマンガを描くという野心

自分のマンガで、炎尾 燃の時代をおわらせ、

自分の時代をもたらしたいという野心が


仲が悪いというわけでもなかったが、
「ヒーロー」は、萌と仕事のことでよく衝突したらしい。

既に連載を抱えている身でありながら、
まずは、頑張って炎尾 燃に近づいて、追いついて、
将来的に、自分のオリジナリティを
強くした漫画を描きたいと思っている萌に、

もしかしたら、
その野心ゆえに、何かしらの歯がゆさをおぼえていたことも
原因の一つだったのかもしれない。

「ヒーロー」は、専門学校の同期の売れっ子のマンガ家から
自分は、連載を落としそうなので、
それをうめる「代原」を描くチャンスがあるといわれた時、

そのマンガ家のマンガの掲載している週刊誌のジャンルが
ラブコメ、つまり、自分の描きたい
マンガのジャンルではなかったが、
その野心ゆえに、そのチャンスに飛びついた
(もっとも、そのチャンスは、
そのマンガ家の気まぐれで、ふいになったが)

炎尾 燃が同じ雑誌に連載を抱えているマンガ家の仲間達と
2週間ほど、海外旅行にでかけた時、

その間に、「ヒーロー」は自分の原稿を完成させて、
出版社に持ち込もうとした

だが、自分の描く原稿が、
炎尾 燃の「マンガ」の特色に完全に染まっていることに

きづいた「ヒーロー」は、

その野心ゆえに、まずは自分の持ち味を取り戻すべく

休暇期間のほとんどを、リフレッシュに使用した。
それだけでは、足りなかったのか
炎尾 燃の単行本を破るという行動にすらでていた

そんな次第に強くなる野心と若さゆえの著しい成長性で、
「ヒーロー」の「マンガの描く力」は、めきめきと成長する。

そんな「ヒーロー」の成長に、まるで呼応するかの様に、
月刊「シャイニング」も成長した。

他の出版社からの引き抜きを
色々と苦慮せねばならぬほどの人気作品を
幾つか抱えるほどのメジャー誌に

さて、
月刊「シャイニング」をメジャー誌に引き揚げた
幾つかの人気作品には、全て仮面デスクが関わっていた

仮面デスクにとって、その全ての人気作品は、
ある意味、マンガ家と一緒に作り上げた可愛い子供も同然、

他社からの引き抜きに対処するにも、限界がある。

でも、他社に移ったほうが、
その作品とマンガ家の為にもなる場合もある

そんな場合もあるが、やっぱり赤の他人の手に渡したくない。

そこで、仮面デスクは、自分と自分が関わった人気マンガ家を
人気作品ごと大手出版社の雑誌に移ることにしたのである。

(そんなことをすれば、人気マンガ家と人気作品のいなくなった
月刊「シャイニング」は、遠からず、廃刊になることは、百も承知で
移ることにしたのである)

さらに、自分が関わった人気マンガ家ではないが、
著しい成長をみせる「ヒーロー」に、
炎尾 燃から独立して、
その新雑誌でデビューすることをもちかける

そんな話をもちかけられても、

正義感の強い「ヒーロー」に「はい、そうですか」などと
すんなりと頷けるわけがなかった。

デビューはしたい。
だが、仮面デスクの話を承諾すれば、
自分は月刊「シャイニング」を廃刊に追い込むことに
加担することになってしまう

今まで、世話になった炎尾 燃にも、
大いに迷惑をかけることになるからだ

だが、そのことで、
炎尾 燃の親友でもある流れ星 超一郎に相談した際、

流れ星 超一郎は「ヒーロー」に言った

「マンガ家とは所詮ひとり、自分の力だけで生きて抜いていく戦いだ
そんな戦いに、きれいごとなど言っていられない

きれいごとは、マンガの中だけだ」と

「マンガの中と外は同じわけがないだろう」と

この言葉が「ヒーロー」に決意を与え、変化を遂げさせる。

「ヒーロー」は、独立する決意をした。

このとき、「ヒーロー」は、
ポリシーと正義感にあふれるだけの
マンガを描くことに秀でた熱血漢から

自分の野心と、きちんと向き合い、
戦い抜くマンガ家へと変化を遂げた。

結局、月刊「シャイニング」の
人気マンガ家と人気作品は、その他社の雑誌に移ったが、
仮面デスクは、その他社の編集部との折り合いが悪く、

一旦、その他社に移ったが、
また、月刊「シャイニング」の編集部に戻った

月刊「シャイニング」も、炎尾 燃とマンガ家仲間達の奮闘で、
廃刊になることはなかった。

Character_59a.jpg
〔↑前杉 英雄と飛鳥 響香(※2)


(※2)前杉 英雄(イラスト左)と
専門学校時代の同級生である飛鳥 響香(イラスト右)
彼女の夢は、有名なマンガ家と結婚して
幸せを手にすることである。

それならば、専門学校に通う必要があるのかと思われるが、
(多分だけど)専門学校でマンガに
関する知識を身につけることで、
より確実に夢を叶えたいのかもしれない

「ヒーロー」の独立後、
押しかける様に、「ヒーロー」のアシスタントになる


その後も、「ヒーロー」は、ひとりのマンガ家として、

その他社の雑誌で描き続けた。

決意と変化が、(おそらく、これまでに感じたこともない)
絶好調と勢いを与えてくれたのだろう。

6ヶ月ほどで、「ヒーロー」の漫画は、人気作品を押さえて、
その雑誌で1位となった。

編集部から、
「人気作品の人気が低くて、君の作品が1位になるようでは、
雑誌としての体裁が悪いので、君の連載は終了して、

(他人が考えた)大人気ゲームのコミカライズを、
メーカーが要望したペンネームで連載してほしい」と
言われようが、

「ヒーロー」は絶好調と勢いは、とまることはなかった。

何の根拠もなかったが、
確実に、時代の波に、のっている手ごたえと、

これから、自分の時代がくることを感じながら、

その大人気ゲームのコミカライズを
メーカーが要望したペンネームで描いた。

-『吼えろペン』について 完―

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