『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その24

5月31日

(24)勝負にすらならない技術の差

「どうしたのかな? 
既に、2分も経過しているのに、ボールはとれないね」
リフティングしているドラリーニョは、涼しい顔だ。

(な、なぜ、リフティングしているボールが奪えないアル!? 
スピードの差アルか!?)
ドラリーニョとは対照的に、王ドラは息をきらせている。

単純に、スピードの差だけではなかった。
サッカーの素人の王ドラと違い、

ドラリーニョは、ボールのコントロールの技術を
徹底的に磨き上げている

その技術の圧倒的な差もあるのだ。

「どうも、拳法家というのは、バカのひとつ覚えみたいに
1対1で勝負するのが好きらしいが、
近くに、ディフェンシブハーフとオフェンシブハーフが
1人ずついるのだから、3人でかかってきたらどうなの?」
ドラリーニョは、せせら笑う

ドラリーニョの言葉にカチンと来た
ディフェンシブハーフとオフェンシブハーフの
ラオチュウの弟子の2人が、スライディングタックルにでる。

ドラリーニョは、スーチェンの時と同じ様に、
右足で前方にボールを強く蹴ると同時に、

左足でジャンプする。

ドラリーニョの脚力と運動神経をもってすれば、
助走をしなくても、
そこいらの学生の走り幅跳びよりは跳ぶことができる

王ドラチームのエリアのセンターサークルを跳び越えて、

王ドラの約10メートル前方に着地する。

(だが、ボールを強く蹴ってしまったアル!
あれなら、先にサイドバックとセンターバックでとれるアル)

ドラリーニョの強く蹴ったボールは、
サイドバックの爆発 二郎と
センターバックの爆発 四郎の

数メートル手前に、落下しようとしていた

だが、王ドラは、まだまだ甘くみていた 

ドラリーニョの脚力と
ボールのコントロール技術を

ボールの、どの場所を、どの様に、蹴れば、
どの程度のスピードでボールが飛んで、

どの位置に落下するのか

王ドラやドラメッドⅢ世よりは、はるかに、
サッカーというものに、慣れ親しんでいる
ドラリーニョには、わかるのだ。

その様に、わかるから、落ち着いて、次の動きにつなげられる

また、その様に、わかるから、
ボールとの距離が、自分より敵が近くても、慌てない

ドラリーニョは、全速力ではないが、ダッシュする。

本当に、久しぶりに、自分は
サッカーをすることができているのだという喜びが、

自分の想像以上に、わきあがっていることを感じながら、
ドラリーニョは走る。

やはり、脚力において、人間のカンフー使い達では、

ドラドラ7で、随一の運動神経と脚力をほこる

ドラリーニョには遠く及ばない

その差は、距離の差では、うめられるものではなかった

ドラリーニョは、爆発 二郎と爆発四郎よりも早く、
ボールをとった

そのままの勢いでドリブルにはいり、2人の間を通り抜ける。

ドラリーニョは、ペナルティーエリアへと突入する。

ゴールキーパー特有のプレッシャーに加えて、

先程、肩透かしをくらったこともあってか、

ドラメッドⅢ世の中に、恐怖と緊張がわきあがる

ドラリーニョが、約70mの距離から放ったシュート、

わざわざ、サッカーの素人でもある
ドラメッドⅢ世が、受け止めやすい様に、放ったシュート、

その様なシュートだが、大砲の弾を受け止めた様な衝撃がある。

(至近距離で、ゴールを狙って、
あの威力のシュートを放たれると、
ワガハイの技術では無理か!  

それならば、魔法で!?)

ドラメッドⅢ世は、
自分の十八番ともいうべき、魔法を使おうとする

だが、ドラメッドⅢ世の脳裏に、子供達の顔がうかんだ
いつか、必ず「ウォーターランド」を作ると
約束をした砂漠の子供達の顔が

(先ほどは、敵が、あからさまなラフプレーを使用していたから、
魔法を使用した。 しかし、今は敵がフェアプレーで闘っている

あの子供達のことを考えると、
そんな敵に対して、魔法を使用していいわけがないか 

それならば、どんなシュートでも、放たれる前に
ボールをとってしまえば、問題ない!)

ドラメッドⅢ世は、ドラリーニョに突進する様に、前にでる。

(サッカーの素人ゆえの行動かな 
シュートに重要な要素は、威力じゃない、
正確にキーパーがボールを取れない位置を狙って蹴ること

キーパーならば、それを考慮して、ガードするべきなのだが)
ビッグ・ザ・ドラは、自分のヒゲをさわる。

ドラメッドⅢ世の行動の意図を察して、

ドラリーニョはシュートを放った。

先程の超ロングシュートの様な
威力のあるシュートではない
ドラリーニョからみて、左のゴールポスト付近を狙って、
軽く蹴ったシュートだった。

ドラえもん_30c.jpg

(なっ!?)
スピードも、弾道の高さもない、
ボールを転がしている様なシュートだったが、

ドラメッドⅢ世には全く予想外のシュートだったので、

まんまと、ボールは、
ドラメッドⅢ世の右横を通り抜けて、ゴールする。

審判のホイッスルが観客のいない試合会場に響いた。

全く予想外のシュートで、
ゴールをきめられて、ショックが、かくせない
ドラメッドⅢ世は、ふと、ドラリーニョの顔をみる。

(何故、そんな表情しているのだ?)

ゴールをきめて、同点に持ち込んだはずなのに、

ドラリーニョの表情は、
何というか、しらけて、がっかりした様な表情になっているからだ。

そんな表情のまま、
ドラリーニョは自分のチームのエリアに戻っていく

敵陣に入っていたフォワードのジャイチェンと
ミッドフィルダーの王ドラ達も、

自分のチームのエリアに戻っていく

キックオフで試合を再開するわずかの時間の間だったが、
ドラメッドⅢ世のもとに、王ドラ達が集まる。

「やっぱり、サッカーでは、
実力差がありすぎるなんてものじゃない

何ていうか、実力の次元が違いすぎると思えるぐらいの
実力差があると言ってもいいぞ」
悄然とした表情の爆発 一郎は言った。

「確かに、サッカーの正攻法で勝つなんて、
俺達には、できっこねぇ・・・ 

カンフーの技や、
ドラメッドⅢ世の魔法でも使って、
アイツ等をぶっ飛ばさない限り・・・」
これまた、悄然とした表情のジャイチェンが言った。

「ジャイチェン! そんなことを言うのは、やめてよ
カンフー使いとは、自分を律してこそ、カンフー使いでしょ」
ジャイチェンをたしなめるスーチェン 

しかし、その表情は、やっぱり悄然としている。

別に、この3人だけではない 
メンバー全員の表情が悄然としていて、
この3人と同じ様な感想を抱いている。

王ドラも、相手が、悪のチップに操られた親友でなければ、
勝ち負けが、大きく関係なければ、

例え、サッカーの実力の次元が違いすぎると
思えるぐらいの実力差が、
あったとしても、カンフー使いとして、
決められたルール内で、

自分達のベストをつくして、
頑張るアルなんてことが言えたのだろうが

そんな親友を救うには、かつて、ドラえもんとのび太が、
自分やドラメッドⅢ世を救ってくれた様に、

勝負して、勝利しなければならない。

だが、敵がフェアプレーを使用したことで、
試合前に、それなりに対策をたてていたことが、
ほとんど意味を成さなくなっている

そのうえ、自分達のサッカーの実力では、
勝負にすらならない。

だが、カンフー使いの自分が、いくら親友を救う為とはいえ、

フェアプレーで闘っているチームのメンバー達を、
ルール無用で殴って蹴って、
勝っていいのかという葛藤がある。

そんなことをすれば、
大義名分を、笠に着て暴力をふるう輩に
成り果ててしまうと同時に、

カンフー使いとしての自分は、おわりだとも思っている

でも、やっぱり、王ドラには、
正攻法による打開策が、思い浮かばない。

ドラメッドⅢ世も、ジャイチェンの言うとおり、
カンフーや魔法でも使って、
相手を殴り倒すとかでもしない限り、

勝負にもならないことは、痛感している。

しかし、カンフー使いではなく、温厚で、のんびり屋の
ドラメッドⅢ世にも、ある種の矜持はある。

必ず「ウォーターランド」を作ると約束をした砂漠の子供達、

単純に、約束をしただけでなく、

そんな子供達に、
正々堂々とした自分の背中をみてもらいたいとも
思っている。

だからこそ、ルール無用で、魔法を使用して、
勝利できたとしても、

そんなマネをした自分が、
「ウォーターランド」を作っても、

砂漠の子供達が
喜んでくれないだろう。

それは、ドラメッドⅢ世には、とても辛いことだった。

でも、やっぱり、
自分達のサッカーの技術では、負けることは確実だ。

(一体、どうすればいいのだ・・・)
ドラメッドⅢ世の表情が、より悄然としていた。

「苦肉の策にも、ならない様な策なのだが・・・」
メンバーの中では、一番年上の爆発 四郎が
悄然としながらも言った。

他のメンバーが、一斉に、爆発 四郎をみた

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