『週刊ヤングジャンプについて』(その11)

6月19日

押忍!! 空手部(その8)

(13)英雄への裁き

自分の「拳」と「心」をもって、神雷を諌めて、
救うことで、四国の「赤い稲妻」のチームを倒した高木、

この頃から、「大阪魂」は、単純に、大阪の不良のトップではなく、
関西の不良のトップの様に認識される様になった。

(つまり、大阪魂3代目である高木によって、大阪魂の威容は
ますます発展していったということだと思われる)

それに呼応するかの様に、
大阪では、
高木は、英雄と称えられ、一躍、有名人になった。

大阪の不良達だけではなく、

大阪の普通の学生達の間でさえも、高木の話題で、もちきりだった。

大阪の不良の中には、高木の名を騙る偽者達もいた。
(もっとも、この偽者達は、
高木に、きっちりと、叩きのめされたが)

高木自身、学生達からサインをくださいと言われることもあった。

まぁ、有名人や英雄には、必ずと言っていい程、
よくある出来事だと思う。

これが、少年ヒーローものの、ファンタジーな世界なら、

この程度の出来事で、すむのかもしれない。

また、この程度の出来事なら、
高木も苦笑するだけですんだだろうと思う。

しかし、高木は青年ヒーローで、
現代社会の不良の世界に生きている男である

その現代社会の大人の中には、

高木の、事実上の主治医でもある

福島の様に、不良に理解ある人物もいれば、
全く理解のない人物もいるのだ。

また、大阪の不良達の中にも、

高木を大阪のトップと認めている者もいれば、

内心では、トップと認めていない者や、

高木への嫉妬みたいな感情を
持っている者も、未だいることは確実なのだ。

それは、いかに、高木が強かろうと、

いかに、高木が英雄と称えられようと、

変えようがないことなのだ。

その変えようのないことが、事態を、
高木にとって、深刻な状況にさせていく。

高木は、関五工の校長より退学を言い渡された。

原因は、四国の「赤い稲妻」のチームとの闘いだった。

高木自身は、守る為に闘ったのだが、
校長からすれば、高木は、
大勢の者と喧嘩してケガさせた不良にすぎなかったからだ。

校長に、謝って反省することをしめせば、退学を
取り消してもらう可能性も、なくもなかった。

(また、高木が退学になると聞いて、
大勢の生徒が、学校をやめないでくれと
高木に懇願することもあった)

だが、チームを守る為に、傷つきながらも、
闘ってくれた仲間達のことを考えると、
大阪魂として、先の闘いそのものを否定する様なマネは
できなかったのだろう。

高木は、退学となった。

また、それに前後して、
大阪の不良達から喧嘩を売られることが多くなった

別に、喧嘩を売られることは、珍しいことではないが、
売られる喧嘩の質が、変容していた。

喧嘩を売ってくるのは、名のある猛者たちではなく、

大阪の不良の中で、
名もなき三下と呼んでもいい様な連中ばかりだった。

また、そんな連中でも、
相手の強さは、それなりに把握しているので、

大抵は不意打ちや複数で喧嘩を売ってくる場合が多かった。

しかも、TPO関係なく喧嘩を売ってきたのだった。

そんな連中が喧嘩を売ってくる理由は、たったひとつだった、

どんな手を使ってでも、高木を倒して有名になりたかった。 

名を持つ不良に、なりたかったのだ。
(つまり、不良として、名もないまま、おわりたくなかったのだ)

関五工を退学となった日の夜、
高木は酒を乙生の店で、大いに酔うほど飲んだ

いわゆる、やけ酒だった。 

勉強は嫌いだったが、高木は、学校が好きだったのだ
本当は、学校をやめたくなかった。 
そのことを乙生にもらしていた。

だが、そんな時でも、
高木に喧嘩を売ってくる3人の不良達がいた。
3人とも、名を持つ不良になりたいと望む三下の不良だった。

自分たちは複数、しかも、高木は、大いに酔っている

これなら、勝てると思っていた3人の不良達だったが、
大いに酔っても、高木は強い。 
そのうえ、退学になっていたこともあって、殺気立っていた。

高木も、素面なら、手加減して、軽傷ですますことも
できたのだろうが、

この時は容赦なく、3人とも、ぶちのめした。

だが、喧嘩したことで、
多少は酒の酔いが醒めて、やりすぎたと思ったのだろう。

高木は、3人を福島のところへ担ぎ込んだ。

一通り、3人の手当てがすんだところで、
福島は高木が退学になって、
何をするのかも、はっきりと決まっていないことを、知ると、
高木に提案する

大阪を離れて、東京の高校へ転校してみないかと

福島によると、
どうやら、東京の新宿で
福島の友人である花森という女性が
西新宿学院(だったと思う)という高校の校長をしていて、

高木のことを、その花森に話してみると、
自分の学校に受け入れてもいいとのことだった。

また、この主治医も、神雷や森上同様、
高木の可能性を感じ取っていたからなのだろう。

福島は高木に言った。

大阪という小さな池で、満足しないで、

東京という大海を知って、
いろんなことを知って、一人前の男になってほしいと

もっとも、大阪で育った高木にとって、
この提案は、「はい、そうですか」なんて、
簡単に言える提案ではない。

高木は、やんわりと断った。

もっとも、福島も高木の反応は、
ある程度、予想はついていたのだろう

気が向いたら、いつでもこいと言って、
一旦、話をおわりにした。

高木は、3人の不良の1人を家に送ってやることにした。

だが、この時の高木には
想像すらしていなかったではないだろうか

福島が言った「気が向いたら」が、その日の内にくることに

高木なりの詫びと優しさなのだろう。

高木は、その不良を「さんぴん」と
親しげに、優しく呼んで、
(せめて、名前で呼んであげれば
よかったのではと思うのは、野暮か)

その「さんぴん」を家まで、おぶって、送ってやることにした。

なぜ、大阪のトップに立つ高木が、自分の様な三下に、
そこまでするのかと問う「さんぴん」に、
高木は説く

いつも、喧嘩で相手にケガさせるのは、悪いことだからだと

高木は説いたことは、
大阪のトップに立つ大阪魂としての真意のひとつなのだろう

だが、相手は、どんな手を使ってでも、
大阪中に認められる名を欲して止まない
名もなき不良だった。

高木の説いたことは、この「さんぴん」に通じることはなかった。

「さんぴん」の家の近くまで来た時、

「さんぴん」に、お礼をしたいので、
待っていてくれと高木は言われた。

そんな気を使わなくてもいいとも高木は言ったが、

「さんぴん」が是非にともといった感じだった為、
高木は、待つことにした。

この時は、ある意味、高木は気が緩んでいた。

そんな高木の気の緩みを狙った様に、
「さんぴん」が背後から刃物で襲い掛かった

高木は、とっさに
振り向いたまではよかったが、反応が遅れていた。

高木の腹に、「さんぴん」の刃物が深く刺さった。

「さんぴん」は吠えた
三下の不良の気持ちなど、お前にわかってたまるか
俺は、大阪中を震撼させる名がほしいのだと

ただでさえ、世間から嫌われて、バカにされているのに、
そのうえ、不良の世界でも、三下で、
名もない存在の様に思われている。

そんな「さんぴん」からすれば、
大阪のトップの名を持っている不良の

高木の言動など、理解できない内容だったのだ。

「さんぴん」は、鉄パイプで、高木を、めった打ちにする。

だが、それでは、高木は倒すことはできなかった。

高木は、鬼の形相で、散れと「さんぴん」に静かに言った。

「さんぴん」は、恐れおののいて、逃げた。

高木は座り込んだ。 
それから、関五工での日々を思い出しながら、涙を流した。

その涙は、
もはや、自分は、大阪の名もなき不良達からすれば、

高木 義志という個人ではなく、そんな連中が、
名を持ちたいためのツールに過ぎないこと、

また、関五工を退学になった以上、大阪には、
高木 義志という個人の
居場所がないことへの悲しみの涙だったのだろうか

高木は、福島に、ケガの治療をしてもらった後、
福島の申し出を受けることにした。

それと同時に、
高木は自分を死んだことにして、

大阪魂を辞する決意をする。

もちろん、次の大阪魂及び大阪魂補佐、
次の関五工空手部の主将等、

チームに関わる人事を、
きちんと決めることは、怠らない。

高木が死んだと報せをうけて
福島の診療所にチームの人間達が集まった。

桃千代、松下、斉藤、福間、関五工の後輩達は、大いに泣いた
高木と何かと衝突していた安藤も涙を流した。

高木が決めた人事を、高木の遺言として、
福島はチームの人間達に伝えた。

高木は、関五工空手部の主将は、
現在、副主将である加馬田(※1)とした。

その副主将には、松下と斉藤を就かせることにした
(他の二年生をさしおいて、一年生が、副主将、
ある意味、異例の人事であるが、
それだけ、高木は2人の気合と根性を
買っているということなのだろう)

(※1)高木に比べれば、
到底、空手の実力及び度量はない小心者、

高木の前では大人しいが、後輩に対しては、威張りちらす 
絵に描いた様な器の小さい嫌な奴、

なぜ、そんな男が副主将になれたのかと言うと、
もともと、加馬田は、森上に憧れて、空手部に入部した。
森上の様になりたいと思い、一日も休まずに空手部に通い続けた。

一日も休まず、空手部に通う 
それをやってのけたのは、加馬田だけだった。

その気合を森上に買われて、加馬田は副主将になったのだった


高木は、大阪魂補佐には、佐川、十字郎、安藤、力山の4人として、

大阪魂四代目には、忌羅とした。

かつて、大阪魂になりたいと願い、
大阪魂の座をつかむ為に、敵軍のスパイにもなった忌羅だったが、
喜べなかった。

その大阪魂四代目として、
最初にするべき仕事を考えると、喜べるわけがなかったからだ。

最初にするべき仕事、それは、高木への黙祷だったからだ。
そんなことをすれば、
自分の親友が死んだこと(実際、死んではいないが)を、
認識せざるを得ないからだったのかもしれない

涙を流しながら忌羅は言った。 
高木、お前は残酷な奴だと

その日の午前0時、大阪城公園(だったと思われる)で、

大阪魂四代目の襲名式が執り行われ
高木への黙祷が行われた

その襲名式には、大阪の不良だけでなく、「神戸の三本柱」等、
関西の多くの不良達が集まった。

早朝、高木は準備を整えた。
あとは自分の愛用のバイクで、東京へ行くだけだった。

やはり、高木を大いに慕っている者達や
高木が大いに世話になっている者達に、

高木を死んだことにしておくのは、
福島もしのびなかったのだろう。

福島が、桃千代、松下、斉藤、森上、流雲と共に、
そんな高木の前に姿をあらわす。 死んだと思っていた

高木が生きていることを知って、
後輩達は、泣いて、喜んで、高木に抱きつく

しかし、桃千代は、喜んだ後、
結局は高木と離ればなれになることに、悲しんで、
座り込んでいた

うつむいたままで、
高木に顔もみせないで、拗ねていたが、

高木は、そんな桃千代に、必ず大阪へ戻ると約束した。

森上は、高木がいなくなることを寂しがったが、
高木が東京へ行く理由を、
理解できないわけではないのだろう
多くは語らなかった。 

そんな桃千代と森上とは違い、流雲は、事情が違った。

東京で、万が一にも、高木が、喧嘩した場合になっても、
人に発勁を使わないことを
高木に約束してもらう為に来たのだった(※2)

(※2)高木が、発勁の威力に、おぼれて、
いたずらに、発勁を使うことを、怖れたのだろう
高木をみおくる日よりも前に、流雲は

高木に、発勁の天敵とも言うべき技、「百歩神拳」
(技の詳細は、記事の文章が長くなるので、

この記事では述べないが)のレクチャーもしている



高木は、約束する 発勁を使わないと

もっとも、流雲に、言われなくても、
高木は、発勁を使う気も、喧嘩もする気もないのだろう

高木は、高木個人として、
もう一度、自分の居場所をみつける為に、

東京へ行くのであって、喧嘩しに東京へ
行くわけではないのだ。

高木は、6人に、別れを告げてバイクを走らせた。

(14)関東の不良達

高木は、バイクを走らせる 
バイクで、東京へ向かうつもりなのだろう

東京に、自分の居場所をみつける為に向かうが、
ある予感みたいなものがあった。

大都会、東京には、何かがあると

高木の、
そんな予感みたいなものは、あながち間違ってもいなかった。

(うろ覚えで、間違っている可能性が大いにあるが、)
高木が向かう東京都がある関東地方は、
約数年前、(不良同士の争いの激化が原因なのだろうか)
関東地方の1都6県を、巻き込んで不良同士の大きな戦争が起きた。

その大きな戦争を終わらせる為に、1人の男が立ち上がった
『群馬の虎』の異名を持つ漆原 睦夫だった。

群馬県の谷川岳に住んでいる流雲の兄、陳々の

一番弟子となって、漆原は、神極拳を学んだ。 

その気合と根性もさることながら、

その技量は、陳々をして、拳法の達人と言わしめた。

また、その気合・根性・技量から成る強さは、

まさに、鬼神の如き強さだったらしい。

その強さで以って、漆原は、戦いを終わらせた。

さらに、今後、二度と、
そんな戦いを起きさせない為に、漆原は、
関東に大いにニラミをきかせた。

だが、そのニラミの効果は、
次第に薄くなる 漆原が病にかかり、入院も
余儀なくされたからだった

体が弱り、余命も
半年程度と宣告されるほど、漆原の症状が悪化した。

それに、呼応して、『茨城の春風』の異名を持つ不良、
寺本をはじめとする漆原に反感を持っている者達への
抑えが効かなくなる。

さらに、東京でも、
(いつ頃かは、全くわからないが)ある事態が
起きていた。

東京の不良達のトップにいる組織、大東京連合の総長が、なくなり、

その傘下の6部隊、
新宿部隊、渋谷部隊、墨田部隊、

池袋部隊、銀座部隊、六本木部隊の

頭(かしら)達の会議で大東京連合を
運営することになっていた。

しかし、その6部隊の頭達は、(その思いに差こそあれ)
他の部隊の頭と、仲良く会議で
組織の運営など望んでいなかったのだと思う。

また、かつての大阪同様、
トップという歯止めが、ないからなのかもしれない

その6部隊の頭達は、誰もが、
「シノギ(※3)」を生み出すことに、執着していたらしい

(※3)上手く言えないが、要は、組織で得る金である。 
もちろん、真っ当な手段で得る金ではない 
弱い者を泣かせるなど色々と悪さして得る金である 

大阪とは違い、大東京連合の6部隊の頭には、
単純に、腕力と人柄よりも、この「シノギ」を生み出して、
活かす頭脳を求められるみたいである。

その最たる例が、
銀座部隊の頭であるデビッドである。 デビッドは、
腕力に関しては、そこいらの一般人程度なのだが、

英知は、下手な一流大学の学生より、
はるかにあったので、「シノギ」を
大いに活かしたらしく、

どこかの海外のアクション映画にでてきそうな
高層ビルを建てた。 

しかも、何人かの人間を雇って、酒場を経営していたらしい


やはり、トップという歯止めが、ないことが原因なのか
(そのうえ、当時は景気がいいから、生み出される「シノギ」が、
途方もなく大きいからなのだろうか)

他の部隊に隙さえあれば、

その部隊が持つ「シノギ」を自分の物にしたいと、
思う頭もいた。 

あるいは、いずれは、大東京連合の
新たなトップに立つことを望む頭もいた。

高木は、自分の居場所をみつけたい為に、東京へ向かう

しかし、関東の不良の世界は、戦乱という噴火が
起きる前の休火山みたいなものだったのである。

高木が、望む、望まないにも関わらず、高木は、関東で、
自分の居場所をみつける暇なんてないのではと思えるぐらい
喧嘩三昧の日々をおくることになるのである

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