『ルイージに歴史あり 外伝』その18

8月24日

第3章 〔スーパーマリオランド編〕

(13)サラサ・ランドに降り立つ救世主

戦局は、俺達の勝利で終結した。

サラサ・ランド軍の指揮官ともいうべき、
ドラゴンザマスは倒して、デイジー姫は捕らた。

残るは、サラサ・ランドの軍勢のみだったが、
奴らは、疲弊しているうえに、指揮官がいなかった。

そんな軍勢など、もはや俺達の敵などではなかった。

ロケトン達の威嚇射撃だけで、軍勢は、
混乱して、退却
いや、逃げ出した。

追撃して兵士達を、一人残らず捕えてやろうかと思ったが、

疲弊して混乱して、
指揮官のことなど考えずに真っ先に逃げ出したのだ 

すくなくとも、数時間は、負け戦の混乱から回復できないだろう。

つまりは、サラサ・ランドを守るべき軍勢は
機能しないということだ

それならば、その数時間の内に、
とっとと、このサラサ・ランドを
征服する行動をするべきだと

俺は自分自身に言い聞かせた。

だが、自分自身に言い聞かせるということは、

自分が、本心から、その様に思っていないからだ。

俺もロケトン達も口にはださなかったが、
勝利しても、あのタマオーの不死身という能力、
最新鋭の機体の一撃すら、ものともしない能力に対する
ショックが、尾を引いていたからだ。

もし、あの様な生命体が、他にいたら、
俺とロケトン達で、
勝てるかどうかわからないという不安があった。

また、サラサ・ランドの軍勢の指揮官には、
ドラゴンザマスとの闘いの前に、
デイジー姫が言っていたパオキントン(※1)とやらもいる。

(※1)スーパーマリオランドのチャイ王国のボス
度が過ぎた恥ずかしがり屋らしく、いつも雲の中に
姿を隠しているので、誰もその姿をみたものはいないらしい。


そいつが、どんな奴で、どんな能力を使って、
どんな行動をするのかが、わからない。

そのことに対する不安もある。

長期戦を要しない。 緻密な作戦も要らない
とても楽な侵略はずだったのだ。

戦いの様相は、自分の予想とは、全く違うものに変わりつつある。
そのことへの不安が大いにあった。

今となっては、あんな啖呵をきらねばよかったなどと
思っていないと言えば、嘘になるが、

俺の啖呵で、軍勢が動いたのだ。

そのことに対して、周囲の住民や、警察等が
何も気づかぬわけがないのだ。

そいつ等が、
俺の予想外の行動にでられたらという不安もある。

「ロケトン1号とロケトン6号よ、
宇宙催眠の連続使用を強行する 
ドリンクを数本ほど用意しておいてくれ」

俺は、サラサ・ランドの全ての住民達、兵士達に、
宇宙催眠をかけることにした。

俺達が地球に降りてから、1日が経過した。

俺にとって、はじめての地球の早朝だ。
こんな科学力の低い惑星でも、早朝の空気は心地いい

戦いに勝利してから、数時間かけて、宇宙催眠による連続使用で
サラサ・ランドの全ての住民達、兵士達にかけることができた。

つまりは、サラサ・ランドを完全に乗っ取ることができたのだ。

だが、宇宙催眠を連続使用すれば、
当然、強烈な疲労が、何度かあった。

そのたびに、即効性の疲労回復効果があるドリンクを飲んだ。

宇宙催眠に対する副作用に対する苦肉の策だ。

しかし、そのドリンクのおかげで、
何とか宇宙催眠を連続使用はできた

しかし、即効性があるといっても、
疲労を即効で完全に回復してくれるわけではないので、

俺は、しゃべるのが億劫だと思えるぐらいの
疲労感に、未だ、つつまれていた。

だが、早朝の空気を心地よいと感じるぐらいの充実感がある。

だが、充実感はあるが、懸念事項もある。

パオキントンとやらが、全く姿をみせない。
自分の主君ともいうべき姫君が、捕えられたのに

やはり、サラサ・ランドを乗っ取ることができても、
タマオーの不死身という能力に対するショックが
まだまだ、尾を引いているのだろう。

まだ、地球征服をしたわけではない
これから敵対するだろう未知なる生命体と戦うことを
考えると、どうしても不安になる。

「時間だ 時間をかけて、作戦をたてさえすれば、
地球征服ができるはずだ」
俺は、自分に言い聞かせるように、つぶやくと、
数時間、寝ることにした。

数時間、寝ることで、疲労は、かなり軽減された。
だが、完全回復とはいかない。
懸念事項も解決したわけではないから、
不安と苛立ちが残っている。

その不安と苛立ちを、どうにか解消したい為に、
何か行動したいという欲求みたいなものがある。

俺は、ロケトン達1号を引き連れて、
デイジー姫を幽閉している城の地下牢まで来た。

もはや、アンタの国は俺が、完全に乗っ取った。
だが、俺の地球征服に協力すれば、宇宙催眠をかけずに、
地下牢から、だしてやろうと交渉する為だ。

だが、国を乗っ取られても、頭に、たんこぶを作っても、
大国の姫君のプライドと闘志は、折れなかった。
交渉は、ちょっとした修羅場となって決裂した

その時のことは、どんな経緯で、ちょっとした修羅場となったかは
詳細は覚えていないが、
きっかけだけは、当時から約18年経過しても、
はっきりと覚えている。

「アンタみたいなチンケな雑魚が、こんなマネして
絶対に、タダでは済まさないわ! 雑魚は雑魚らしく分相応に
しとけばよかったと後悔させてやるから!」

きっかけは、鉄格子を両手でつかみながら、
柳眉を逆立てたデイジー姫の、このセリフだった。

まだ、疲れているのだから、
鼻で笑って、相手にしなければよいだけだったはずだ。

だが、雑魚は雑魚らしく分相応という言葉が、

一度よみがえった過去の最も苦い記憶を
再び、よみがえると同時に、
不安と苛立ちを爆発させた。

怒りのボルテージが頂点に達した。

断片的にしか覚えていなかったが、

デイジー姫の表情が固まっていた
自分ではわからないが、憤怒の形相になっていたのだと思う。

俺は、屈んで、右足の靴を脱ぐと同時に、

ひっくり返して、靴のアウトソールを
右手でつかんで、立ち上がる。

左手で、デイジー姫の右手をつかむと同時に、

右手の靴を、デイジー姫の鼻に押し当てた。

対決_14a.jpg

政敵との争いが絶えなかった俺だ
靴など、ここ数年、一度も洗ってなどいない。

靴の中敷きから臭ってくる臭いは、相当臭い

俺の表情と予想外の行動に、
デイジー姫は、固まってしまった為に、
まともに、その臭いを嗅いでしまった

「く、臭い!!」
デイジー姫は、顔をゆがめて、のけぞり、
涙と鼻水を流す。

異臭_1a.jpg

もっとも、俺に右手をつかまれているので、
のけぞっても、後ろに下がることはできない。
つまり、臭いをだしている俺の靴から
距離をとれないので、
ますます臭いを嗅いでしまうわけだ。

「お姫様よ 俺の前で、雑魚は雑魚らしく分相応になどと
言うのは、やめていただきたい 雑魚が雑魚らしく生きれば、
先にあるのは、拭えない後悔と苦痛だけだからな」
俺は、デイジー姫の右手を離した

「せいぜい、反省して俺の地球征服に協力することだな」
俺は地下牢を後にした

俺の背後に、デイジー姫が、何やら罵詈雑言をなげかけているが、
鼻をつまみながら、言っている為、
よく聞き取れなかった。

1時間ほどすると、ロケトン2号が報告に来た。
どうやら、城内に潜んで、

うろついていた妙な生物をつかまえたので、
どの様に処理すべきかと指示をあおいできた。

地球の生命体ならば、どんな奴だろうが、知っておけば、
今後の地球征服の活動に、少しは役立つかもしれないと思った
俺は、その妙な生物を、俺の前に連れてくる様に
ロケトン2号に命令した

デイジー姫が、携帯電話を部下達に自慢していた部屋で、
俺は、その生物に会うことにした。

確かに妙な生物だ

その生物は、上手く形容できないが、
安物のキノコを凝らずにシンプル擬人化したら、
こんな感じになるのではいった様な生物だ。

妙な生物はチビボー(※2)のキャストと名乗った

(※2)スーパーマリオランドの敵キャラの1人、
クリボーに似ている 気が弱く、
地面をちょこちょこと歩くのが特徴である


チビボー、
その生物の名前を
デイジー姫が、俺をチンケな雑魚を形容するのに使っていたが、
確かにチンケな雑魚っぽい
(同時に、俺は、こんな雑魚っぽくは、ないという思いがあったが)

俺は、一体お前は何者で、
なぜ、城内をうろついているのかと訊ねた。

キャストは、チンケな雑魚っぽいだけでなく、気も弱いらしい

少し、すごんでやっただけで、あらいざらいしゃべる。

だが、その内容は、
思わぬカウンターパンチでもあり、思わぬ引き金だった。

簡単に言ってしまえば、このチビボーのキャストは、
秤にかけていたのだ

この俺に取り入るか、マリオブラザーズとやらに知らせて
俺を退治してもらうかを

予想外だった。
俺は、てっきりコイツを
小心者ながら愛国心のあるサラサ・ランドの住人だと
思っていたからだ。

俺は思わず訊ねていた
なぜ、取り入ると考えた、
俺は異星人で、地球侵略を考えているのだぞと

その問いに対するキャストの答えは、予想外、
いや、こんな科学力の低い惑星で、
聞くとは思ってもみなかったというべき内容だった。

コイツの内容を簡単にまとめると、

コイツは、裏切り者である。
どうやら、4年前の1985年、
同じ種族に属して、
キノコ王国に住むクリボーとやらが、キノコ王国を裏切り、

敵対しているクッパ軍団に取り入って、クッパ軍団に、
キノコ王国を侵略してもらおうとした。

それに便乗してコイツも、サラサ・ランドを裏切った。 
理由は、全く言わなかったが、大体の想像はつく。

自分の弱者であるがゆえの境遇に、
どうしようもない不満と怒り、
苦痛があるが、

自分の力では変えられないので、裏切ったのだろう。
そのクッパ軍団がキノコ王国を侵略すれば、クリボーに頼んで
サラサ・ランドも侵略してもらうつもりだったのだろう。

ところが、マリオブラザーズとかいう奴等が、
キノコ王国に、あらわれ、

そのクッパ軍団を退かせたことで、
コイツの計画は頓挫して、
クッパ軍団にもいれてもらえず、
自分の居場所がなくなったのだろう

自業自得といえば、それまでだが、
コイツは、潜んで俺とマリオブラザーズを秤にかけて、
どうにか居場所をつくろうとしているのだろう。

哀れな奴、
そんなふうに思えるようになったには、
この戦いから、数年後のことだ

だが、当時は、何とも言えない怒りしかなかった。
俺の過去の最も苦い記憶、
同じ補給部隊として、同じ弱者として、

同じ雑魚として、

何とか耐えながら、分相応に生きて、
懸命に戦ってきた

唯一無二の親友のことを
思い出させるからだ。

学生時代からの親友だった。
だが、あのバカの勇者気取りの御曹司が、補給部隊もろとも、
敵軍を攻撃したために、俺は事なきを得たが、

親友はケガをして、軍を退役せざるを得なかった。

幸いにも、ケガは、何とか完治することはできたが、
補給部隊の人間達は、民間にも蔑まれている。
民間企業に転職などできるはずもない。
退役した補給部隊員のとれる道はふたつしかない。

軍の(大したみかえりもない)スパイになるか、
裏切って敵対勢力につくかだ。

当たり前といえば、当たり前なのだが、
親友は後者を選んだ。
だが、軍の弱者は、敵対勢力でも軍の弱者だった。

何の運命のいたずらだったのだろうか
ある戦いで、俺は敵として親友と再会した。

敵対勢力の本隊は、親友を囮に使って、
奇襲攻撃をかけた。 囮に使った親友もろともだ。

その奇襲攻撃で、補給部隊をみすてて、
突撃部隊は、真っ先に退却した

補給部隊は、自力で戦場を脱出せねばならなかった。
ただただ、命を落としたくなかったので、
俺は、武器を手に取り、戦った。

どうにか、戦場からは、俺は脱出できた。
だが、大勢の補給部隊の仲間は、命を落とした。
親友は、仲間の撃った弾で、命を落とした。


はっきり言って、痛すぎる記憶だ。

だからこそ、ノコボンを囮にして不意打ちをしようとした
ドラゴンザマスに、怒りを覚えたのだろう。

人の過去も知らないくせに、
雑魚は雑魚らしく分相応に生きればいいものなどと言う
デイジー姫に怒りを覚えたのだろう。

誇りなど捨てて、侵略者の異星人に、
取り入れることも考えていた

このチビボーにも、怒りを覚えたのだろう。

だが、コイツに怒りの矛先をむけても、
意味がないことぐらいわかっている。

もっと、怒りをぶつけるに相応しい相手に、
俺の怒りをぶつけたいという衝動があったのだろう。

「そんな秤にかけたいのなら、
お前さんが、とてもわかりやすく、
秤にかけられるようにしてやろう」

俺は、このチビボーに、言ってやる。

「お前さん、今から、そのマリオブラザーズとやらを
サラサ・ランドに呼んで来い
そうだな、お前さんの話から察するに
侵略者がサラサ・ランドを乗っ取って、デイジー姫を自分の妃に
しようとしているとでも、言ってやれば、駆けつけてくるだろう

俺が、そのマリオブラザーズを、叩きのめしてやれば、
誰に取り入れるべきか、よくわかるだろうよ」

怒りの衝動が、俺に再び啖呵をきらせた。

だが、この行動が、ある意味、痛恨のミスになろうとは、
この時の俺は思いもよらなかった。

気の弱い裏切り者は、俺の言う通りにした。

数日後、サラサ・ランドに、奴が降り立った。

この俺にとって生涯最大の敵と呼べる男、

マリオブラザーズのマリオが

-(14)かつてない天賦の才に続く-

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