『ルイージに歴史あり』その34

6月11日

第二部(ルイージ 起死回生、そして決意)


(6)〔マリオVSエルガンダーZ〕前編

「エルガンダーZ!!!」
鋼鉄の兄弟エルガンダーZと一体化したミスターLの声が空間に響いた。

「いくぞー!! 歪んだ正義に酔いつぶれた者よ!!」
いきなりエルガンダーZは目の部分から強力なレーザービームをだす。

(!?)
相手のいきなりの攻撃に驚くマリオだが、咄嗟に横へステップすることで
レーザービームをかわした。

「これはどうだ!!」
エルガンダーZの鼻がまるで、ふたの開いたポットの様に開き、ミサイルが飛び出した。

「ぬおおおっ!!」
ミサイル攻撃を彼の十八番のジャンプでかわした。

「へッ、全身タイツの次は、センスの悪い色のロボットに変身かい」
息をきらせながら、マリオは着地した瞬間、ファイティングポーズをとる。

「センスの悪いだと、まだ俺を愚弄するのか・・・」
エルガンダーZは唸るように言ったが、攻撃をしかけず、
マリオ同様、何やらファイティングポーズらしいポーズをとる。



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肩で息をしながら、エルガンダーZを見上げるマリオ
ロボットとはいえ、ミスターLと一体化している為か、
オーラを発しながら、マリオをみるエルガンダーZ

互いに相手を睨む両者の間に静寂だが緊迫した空気が流れ始める。

そんな両者を遠くからみる者達がいる。

上空からみているノワール伯爵とナスタシアである。

「フッ、そうだった、あの緑のオッサンには、
必死で、マリオに復讐してやるだの何だのと言いながら、
頑張って作った、あの変なロボットがあったな」
ノワール伯爵はエルガンダーZをみながら言ったが、
その声や表情からは、何らかの感情は感じられない。

「だが、あんな変なロボットで、あの勇者を果たして倒せるものかな」
続いてノワール伯爵はマリオをみる。

「大丈夫でございます 伯爵様」
ナスタシアは、はっきりと言った。

「はっきり言って、作った人間同様、冴えないロボットですが、
あのエルガンダーZなら、例え勇者の力がいかほどであろうとも、
これから起きる闘いがどういう経緯をたどろうとも、結局は
勇者をたおしてくれましょう。」
ナスタシアはノワール伯爵にむかって力強く言った。

「・・・・・・・・・・そういう事か」
ほんの数秒の沈黙のあと、ノワール伯爵は、ナスタシアをみた。


「だったら、長居は無用だな」
次の瞬間、ノワール伯爵とナスタシアは空間から姿を消した。

ノワール伯爵とナスタシアが去ったことにより、
この空間にいるのは、エルガンダーZとマリオ、
そして倒れているルイージの3人だけになったと思いきや、

実はノワール伯爵とナスタシア以外にも、
遠くから姿を潜めつつ
エルガンダーZとマリオをみている者が2人いた・・・

「おい、いってもうたな、アイツ等」

「ああ、何やら会話していたふうだが、できれば聞き取りたかったが、
ここからでは聞き取れなかったな・・・」

「それにしても、敵も何や知らんが、けったいな奴等やで、
変な全身タイツ野朗が退治されたと思いきや、
今度は変なロボットがでてきよったが、どうせあのロボットも
所詮マリオの敵にはならんやろ」

「それはどうかな」

「何?」

「とにかく、お前の社長の極秘ミッションを達成する為に、
俺もお前もエンジンに最大限の気合をいれる準備はしておけってことだよ」

(マリオよ、目の前のロボットが、俺の想像通りの代物だとしたら、
鈍感且つ傲慢のままのお前では、おそらく億に一つも勝ち目はないぞ・・・)
マリオを遠くからみるギャラリーの一人は、静かにマリオをみていた。


マリオとエルガンダーZのにらみ合いが続く。

「こうして、ずっと、にらめっこしているつもりか。
こないなら、俺から攻撃させてもらうぞ!」
数分間のにらみ合いの後、しびれをきらしたエルガンダーZが左の拳を
マリオにめがけ繰り出した

マリオはその左パンチを横ステップでかわし、
エルガンダーZのふところへ飛び込み、右の掌底を
エルガンダーZに叩き込んだ。

金属が打撃される音が空間にひびいた。

「クッ」
マリオの顔が痛さに少しだけゆがむ。

だが、掌底を叩き込まれたエルガンダーZは、
全く効いてないぞと言わんばかりに右の振り下ろしのパンチを
マリオにはなった。

マリオはバックステップでその右のパンチをかわす。

しかし、逃さんとばかりに、エルガンダーZも前進し、
今度はマリオめがけ左のジャブを2発、
右ストレートを1発はなつ。

マリオは、上体の動きでそれらのパンチをかわす。

まるで『まだまだ俺の攻撃はおわらないぞ』と
言わんばかりにエルガンダーZは左右フックを1発ずつ、
放つも、マリオは上体の動きでそれらをかわし、
カウンター気味に再び掌底をはなとうとするが、

エルガンダーZはそれを阻止するかの様に、
左のジャブを3発ほど繰り出す。

だが、マリオは上体の動きでそれらのジャブをかわし、
ふたたびバックステップでエルガンダーZとの距離をとる。

エルガンダーZも再び、マリオとの距離をつめるのかと思ったが、
前進しなかった。

両者、再び睨み合いのかたちとなった。


「ほう、流石はマリオや 予想通り、あの変てこロボットの攻撃を
巧みにかわいているわ。」
マリオとエルガンダーZをみている2人のギャラリーの内の一人が、
感心した様にいった。

だが、もう一人のギャラリーと
倒れている自分の精神の世界からみているルイージは
別の事に驚いていた。

(あのエルガンダーZいや、正確にはエルガンダーZと合体した
ミスターLか、あんな体型のくせに、あれほどの動きができるのか・・・)
ルイージは思った。

(全然違う。 あのエルガンダーZいや、エルガンダーZと合体した
ミスターLの動きがといったほうがいいのか。
とにかく、先ほどの感情むき出し無駄の多すぎる動きとは、全然違う
動きがスピーディで正確だ)
もう一人のギャラリーは思った。

そして、予想外のエルガンダーZの動きの良さを
マリオは2人以上に実感していた。

(くそ~、コイツの動き、想像以上に鋭い、
そして、先ほどの掌底で、はっきりすぎるぐらいわかったが、
想像以上に頑丈だ。 通常攻撃では、コイツを倒すのははっきりいって難しい・・・)
肩で息をしながら、マリオは
エルガンダーZの帽子パーツの真ん中の窓みたいな部分をみた。

窓みたいな部分から何らかのレバーやコンピューター等と思われる装置が
みえていた。

(だが、いかに高性能だろうが、頑強だろうが、所詮はロボット
操縦を司る部分を破壊してしまえば、一発で終わりだ。
そうだ、僕のマリオファイナルを奴の操縦系統にはなってやる。
そうすれば、この僕の勝ちだ。)
マリオはエルガンダーZの顔をみてニヤッと笑った。
「おい、ダッさいロボット野朗、こんどは僕から攻撃してやるよ!」

マリオはエルガンダーZとの間合いをつめる。
マリオの挑発的なセリフに何も返さず、
エルガンダーZは右のストレートをくりだした。

マリオはそのストレートをかわし、カウンター気味に掌底を放った。

だが、次の展開はマリオの全く予想外の展開だった。

何と、エルガンダーZは体をひねることで、マリオの掌底をいなしたのである。

「なっ!?」
相手の思いがけない回避にマリオは驚き、たたらをふむ。
それと同時にエルガンダーZはマリオの背後に回る。

(そうはいくか!)
背後からの攻撃をさせないとばかりに、
マリオはローリングソバットを放つ。

だが、マリオの蹴りはむなしく空をきった。
エルガンダーZがバックステップでローリングソバットを回避したのである。

(コイツ、防御も巧いのか!)
マリオ、ルイージ、戦いをみているギャラリー達が同様に思った。

「クククッ、やっと、最後の最後で、この俺にも運がむいてきたらしい」
エルガンダーZは笑った(といっても、ロボットなので、
表情は変化しないが)

「今のお前の動きは、完璧に手に取る様にわかることができる。
すなわち、我が鋼鉄の兄弟と我が憎悪が完璧に融合した今、
鈍感で傲慢なお前など、もはや我が攻撃で沈むのみだ。」
エルガンダーZは勝ち誇ったようにいった。

「な、なにぃ~!?」
マリオは青筋をたてたが、すぐに、気持ちを落ち着かせた。

「へっ、ダサいロボットのくせに、ハッタリかましちゃって
お前なんかに、20数年、ヒーローと国王と玩具会社社長やっている
僕がまけるわけがないのにさ」
マリオはダッシュした。

「へああああ!!」
気合一閃、マリオは掌底の連打をくりだした。

だが、こんなロボットのどこに、こんな器用さと俊敏さがあるのかと思えるぐらい、
エルガンダーZはマリオの掌底の連打を回避していく。

むろん、エルガンダーZも防戦一方ではなく、
パンチ攻撃をくりだしているが、これもマリオに回避されている。

(くそっ、こんなデカブツなのに僕の攻撃が、全くあたらない。
でも、これらの攻撃があたらなくても、全く関係ない。
とにかく、奴の操縦系統を破壊さえすれば、僕の勝ちなのだ)
連打をことごとくよけられていたが、マリオは強く思った。

だが、マリオ以外の人間は違った。

(すごい、マリオ兄さんの攻撃をことごとく、避けている。
しかも、ただ避けているだけじゃない。 きちんと冷静に避けている)
ルイージは驚嘆した。

(以前みた時は全然大したことのないロボットだろうと思っていたが・・・
あの動きをみるかぎり、もはや、あのエルガンダーZ、
マリオの動きを完全に掌握しているとみて間違いない。)
ギャラリーの一人も驚いていた。

マリオとエルガンダーZの攻防が数分続いた。
そして、エルガンダーZの左フックがマリオに放たれた。

とっさにマリオはダッキングで相手のパンチをかわそうとするが、
左フックはマリオの頭上を通過せず、途中で停止していたのである。

そして、ダッキングしたマリオの鼻先までに
エルガンダーZのアッパーがせまってきたのである。

(くそっ、さっきの左フックはダッキングさせる為のフェイントか!)
思考がマリオの中で電流の如く走る。

「ぬああ!」
それと同時にマリオはスウェーバックの体勢にはいっていた。

流石は、20数年、ヒーローと国王と玩具会社社長を兼任している男というべきか。
何とか、スウェーバックで
マリオは間一髪、エルガンダーZの右アッパーをかわしたのである。

(ピンチの後にチャンスあり。 左フックと右アッパーを放った今、
奴はがら空きの状態! ここで決める!)
マリオは、体勢を立て直し、一気にエルガンダーZの懐に飛び込み、
持ち前のダッシュ力とジャンプ力で、
エルガンダーZの体をかけあがり、エルガンダーZの頭上をとったのである。

そして、コクピットめがけ、
マリオファイナルをうつ体勢にはいろうとする。

「なるほど、そこからマリオファイナルで俺のコクピットを破壊するって寸法か」
突然、エルガンダーZは体を頭上のマリオの方向へ向けた。

(なっ!? ば、馬鹿な!? 僕の作戦が読まれていた!?)
マリオは相手からの思いがけない言葉に、ほんの一瞬動きがとまってしまった。

「俺のまいた餌はひとつだけじゃないぞ!」

エルガンダーZの口と思われる部分がカプセルの様に上下に開き、
中から何だか多数の羽根がついた巨大な扇風機みたいなものがでてきた。

「いくぞ!」
エルガンダーZの扇風機みたいなものについている
多数の羽根が急激に回転した。

「ぐああ!? す、吸い込まれる!?」
扇風機みたいなものから発する強大な吸引エネルギーがマリオをとらえ、
マリオの体は扇風機みたいものへ向かって吸い込まれる。

(や、やばい、このままでは!?)
マリオは内心焦る。

だが、次の瞬間、マリオの体は上空に打ち上げられたのである。

エルガンダーZが扇風機みたいなものの回転を途中でとめて、
両手でマリオの体をボールの様に上空へ打ち上げたのである。

「マリオよ! これで、お前は終わりだー!!」
エルガンダーZは、ブースターを噴射させ、
飛び上がりマリオの腰のあたりをつかんだ。

「くらえー!! バックドロップ!!」
半径の短い弧を描きながら、マリオとエルガンダーZの体の
上下は逆となりマリオはかなりの高度で地面へ向かって、
頭から落下する。

そして、マリオはバックドロップで叩きつけられた。


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だが、マリオの叩きつけられた音は、地面に叩きつけられた音ではなかった。

「なにっ!? こ、これは!?」
エルガンダーZは、驚愕した。

なぜなら、エルガンダーZのバックドロップは、
マリオを地面ではなく、仰向けに倒れているルイージの腹筋に、
叩きつけていたのである。

-(7)〔マリオVSエルガンダーZ〕後編へ続く-

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