『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』その8

3月6日

(8)スーパーウルフ

ドラニコフのとび蹴りが、ドラ・ザ・キッドの顔面にヒット

一瞬だが、ドラ・ザ・キッドの意識がとぶ
さらに、ドラニコフの二の矢が放たれる。

打撃音と共に、ドラ・ザ・キッドは、後方にふっとび、倒れた。

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しかし、ドラニコフは追撃をしない。
観察でもするかの様に、倒れたドラ・ザ・キッドの様子をみている。

闘う両者は気づいていないが、上空を偵察用の小型ロボットが飛んでいた。
小型ロボットは、ドラ・ザ・キッドとドラニコフの闘いをモニタリングしていた。

そんなロボットから送られてくる映像を、
フローズン・スポットから、はるか離れた地の上空にうかぶアジトで、
今回の騒動の首謀者であるビッグ・ザ・ドラはみている。

「地面に一度も着地することなく、とび蹴りとひざ蹴り
本当に、これが格闘技を知らぬ俳優の動きなのでしょうか」
ビッグ・ザ・ドラの傍らで、闘いの映像をみている側近は、驚いている。

「俳優といっても、ドラニコフは根っからの俳優じゃない
格闘技の世界でも通用するような特殊能力をかわれて、
俳優になった奴だ 別に驚くほどでもない」
ビッグ・ザ・ドラは、何でもなさそうに答えながらも、
映像を見続けている。

「まだ、決着はついてはいないのですな」


ビッグ・ザ・ドラの様子から側近は察した。

「ドラ・ザ・キッドめ とっさに後方にとぶことで、
致命的なダメージだけはさけたようだ
そのことは、ドラニコフもわかっている。
だから、様子をみている
ドラ・ザ・キッドは立ち上がるぞ」

ドラ・ザ・キッドは立ち上がる。

(くそ、王ドラとは、全く違うタイプの蹴りだが、
想像以上の攻撃力だ。 とっさに、後方にとばなければ、
あのひざ蹴りで、完全に勝負はついていた)

致命的なダメージではないとはいえ、決して軽視できるようなダメージではない。
なぜなら、ダメージはドラ・ザ・キッドの頭だけではなく、足にもきていた。

(この状態で、ダッシュなどすれば、3歩も歩けぬうちに転んでしまう。
それならば、牽制として空気砲の連射でもするか
だが、連射といっても、マシンガンの連射には、遠く及ばないからな
ドラニコフの攻撃の牽制にはならないだろう。 どうすればいい)

ドラ・ザ・キッドに打開策がおもいうかばない。

ドラニコフは、ドラ・ザ・キッドの様子を分析していた。

敵は先ほどの攻撃で、かなりのダメージをうけたことは確実
しかも、その表情から察するに、何の策も思い浮かんでいない。
このまま、止めの一撃をはなっても、問題はない。

ドラニコフは、ダッシュする。
止めの一撃をはなち、勝負をつけるために

(当たり前のことだが、休む暇はあたえてくれない。
おまけに、かわすこともできないのか)

まさに、最大のピンチだと思った瞬間、
ドラ・ザ・キッドの頭の中で、ひらめきが起こる


(いや、このまま勝負は捨てることなどしない 
男は、いかなる時でも、前進はあきらめない)

ドラ・ザ・キッドは、倒れ込むようにうつぶせになった。

その様子を、ドラニコフは、思った。
敵はダメージによって倒れ込んだのだと

ドラニコフはジャンプした。
ジャンプして、ドラ・ザ・キッドの頭を踏んづけてやるつもりだった。

(ひきつけろ! 最大出力の空気砲をはなってやる!!)
ドラ・ザ・キッドは、空気方を地面につきたてる。

あと数センチで、ドラニコフの止めの一撃が、
ドラ・ザ・キッドの頭にとどこうとしていた時、

ドラ・ザ・キッドとドラニコフを、まるで、特撮映画の爆破シーンのごとく
地面から、大量の雪と小さな氷が覆った。

ドラニコフの視界は、一瞬で真っ白にかわったが、ひるまない。
敵は動けないのだ。 勝利はゆるぎないはずだった。

だが、ドラニコフの足には、
動けないはずのドラ・ザ・キッドの頭の感触はなかった。
それどころか、闘っている舞台である氷塊の感触もない。

突如、自分の組んでいる腕が、何かにひっかかる様な感触があったと同時に、
体が空中で静止している様な感触におちいった。

突然の出来事に、ドラニコフは、一瞬パニックになりかけたが、
数秒後、視界が、もと通りになったとき、何が起こったのを悟った。

ドラ・ザ・キッドの最大出力の空気砲により、氷塊に、
ネコ型ロボットが、はまる程度の穴があいた。
その穴に、ドラニコフがまんまとはまってしまい、
胸の辺りまで、うまってしまう様なかたちになってしまったのである。

ドラニコフは、すぐに穴からぬけだそうとするが、
自分の体が、穴にピッタリとはまっているらしく、ぬけだせない。

「余計な動きはしないほうがいいな」
ドラニコフの真正面に、立ち上がった状態で、
空気砲を構えるドラ・ザ・キッドがいた。

「さすがのお前でも、そこから一瞬でぬけだせない
それならば、お前が、その穴から抜け出すよりも、はやく
空気砲が命中する事は、明白だ。 
つまり、これで勝負ありということだ」

ドラニコフは、何かを言う代わりに、ドラ・ザ・キッドをにらみつける。
このままでは、空気砲の的になるだけだと理解したからである。

「勝負はついた いや、お前は、悪のチップに操られている状態だ。
勝負がどうこういう以前に、この闘い自体は無意味だ。
俺が、お前を極端な無口だけど、優しいお前に戻してやるからな」

ドラ・ザ・キッドの言葉に、ドラニコフは、追い詰められても、
闘う事をやめない野獣の如く唸るだけである。

「もはや、勝負はありましたな まさか、こんなにはやく決着がついてしまうとは」
偵察用のロボットをとおして、闘いの様子をみる側近はがっかりした。

「フッ、がっかりしなくとも、まだ勝負はついていない。
勝負の状況は、ほんの少し、ドラ・ザ・キッドに有利なだけだ」

「それはどういうことです?」

「大量の雪と氷で、一瞬だが、視界が真っ白になったドラニコフには、
わからなかっただろう。
また、この映像だけでも、かなりわかりづらいだろうが、
ドラ・ザ・キッドは最大出力の空気砲の反動を利用して、
穴をあけるだけでなく、ドラニコフの攻撃を回避した。
だが、まともに歩けぬ状態で、最大出力の空気砲をはなったのだ。

その反動に対して、まともな体勢もとれずに、
まるで、キャッチャーフライのボールのごとく、
飛距離は数cmだが、高さ数メートルほどの放物線をえがき、
まともに、奴は体を強くうった。

つまり、ダメージにダメージを重ねたのだ。

ドラ・ザ・キッドは、勝負はついただの
元に戻してやるだのといっているが、それらのダメージを察するに、
奴は、立っているのもやっとの状態 空気砲も構えてはいるが、
照準もさだめることもできまい。 また、元に戻してやるというからには、
その為のアイテムを用意しているのだろうが、それも使うことすらもできまい
だが、すぐにドラニコフは動きがとれないから、ダメージの回復を
待ってから、攻撃をしかけるということもできるな」

「なるほど、では、勝負は、
ドラ・ザ・キッドがダメージを回復させるのがはやいか、
ドラニコフが、穴から抜け出すのがはやいかにかかっていると」

「まぁ、面白味がないが、そういうことだな」

ビッグ・ザ・ドラの言うとおり、
ドラ・ザ・キッドは、空気砲を構えて、
立っているだけでも精一杯の状態だった。
その状態では、先にドラニコフが穴から抜け出せれば、
負けるのは、確実だった。

「もはや、勝負はついた。
別に、これはボクシングの試合じゃないから、

レフェリーが止めてくれるわけでもない。
また、積極的に攻撃をしなくても、
誰にも文句を言われないから、お前が降参するまで待ってやってもいいが、
はやく降参したほうがいいのではないかな」

自分の状態を悟られまいとして、体力回復の時間稼ぎもかねて、
強がりも同然の軽口を叩く。

無論、ドラニコフには、
それが、ドラ・ザ・キッドの芝居だとみぬいている。
穴から抜け出せば、勝利は確実であるが、
このままでは、すぐには、ぬけ出せない。

あの力を使えば、すぐにでも、この穴から抜け出せることは確実だが、
ドラニコフにとって、あの力は、諸刃の剣なのであるから
使うには、ためらいがあった。

(ドラニコフよ、躊躇する必要はなかろう)

ドラニコフに埋め込まれた悪のチップを介して、
ビッグ・ザ・ドラが直接話しかけてきたのである。

(敵は強者なのだ 俺がみたところ、ドラ・ザ・キッドの実力は、
お前の力、スーパーウルフの力を使うに値するものだ
奴の言うとおり、これはボクシングの試合ではないが、
スーパーウルフの力を使う価値を確かなものとするために、
奴に3分間のインターバルをくれてやるがよい。
3分間もあれば、奴のダメージの9割がたは回復するだろう)

ドラニコフは、ドラ・ザ・キッドに視線をむけつつ唸る。
まだ、スーパーウルフの力を使うのに、ためらいがある。

(ドラニコフよ、スーパーウルフの力は、この様な闘いの場でこそ
使うべきであって、お前の力の価値も理解できないうえに、
ちょっとしたことで、不必要にうつろいやすい
人間達の為に使うものではない。 今から3分後、偵察用のロボットをとおして
俺が、お前に、アレをくれてやろう。 存分に、暴れてやるがよい)

ドラニコフは、小さく唸る。
ビッグ・ザ・ドラの言う事に賛同したのである。

両者が動けない状態にはいり、時間が経過していく。

ドラ・ザ・キッドのダメージは回復していく。

ドラニコフは、ドラ・ザ・キッドを倒すという気持ちを
高めようとする。

スーパーウルフの力を、使いこなすには必要不可欠なことだからである。

両者が動けない状態にはいり、3分が経過した。

(ダメージが、ほとんど回復した! 
これならば、あのアイテムが、使える!
ドラニコフをもとに戻せる!)

ドラ・ザ・キッドが、確信した瞬間、
その視界に、何かが落ちてくるのがみえた。

それは、ドラドラ7の大好物であるどら焼きだった。

(なぜ、どら焼きが? ああっ!?)

ドラ・ザ・キッドは、ドラニコフをみた。

ドラニコフの顔つきが、ネコ型ロボットの顔から
オオカミの顔へと変わっていく。

ぶ厚い氷を破壊しつつ、いとも簡単に穴からぬけ出す。

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どら焼き等の丸いものをみることで、ドラニコフは
伝家の宝刀というべきスーパーウルフに変身したのである。

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