『ドラえもん 友情伝説 ザ・ドラえもんズ 番外編』 その14

2月18日

(14)ドラえもん、最大の危機!?

「それは、どうかな。」

ビッグ・ザ・ドラは、ひらりマントを拾い上げる
エル・マタドーラの背中をみる。

「どうせ、懸命に闘った相手を讃える自分を自分で
称賛するという意味でも込めて、あの技を披露するつもりだろうが、
あの様な敵をみているようで、全くみていない様な闘い方では、
風前の灯火の相手でも、決して油断がならない」

エル・マタドーラの
ひらりマントが、キラキラと光り始める。

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「何度も言うが、この闘いは、本当に、久々に有意義だった。
この僕に、闘牛士としても未熟だと思わせる程のダメージをあたえた。
いやはや、よくやったよ。 タヌキに敬意を評して、
このエル・マタドーラのひらりマントの技術の最高技
名付けてパワーチャージアタックを披露してあげよう」
エル・マタドーラは、闘牛士として構える。

「パワーチャージアタック?」

「タヌキよ お前でも知っていると思うが、
闘いにおける
ひらりマントの主な使用方法は、相手の攻撃をかわすことだ。

このマントが使えば、ありとあらゆる攻撃はかわせるだろう。
さらに、このマントを上手く応用すれば、

先程、僕が貴様にバックハンドブローをヒットさせた様に、
相手の攻撃を捌き、カウンター攻撃をくらわせるチャンスも
作り出せることも、いとも簡単に行えるだろう。
ただし、上手く応用できた場合だが」

エル・マタドーラのひらりマントは、
より一層、キラキラと輝きだす。

ドラえもんも、ひらりマントは、
何度も使用したことがあるが、みたこともない現象だった。

「だが、いくら上手く使用できても、ひらりマントは、
防御の道具であって、自分から攻撃する道具ではない 

相手が、フェイントを使って攻撃する
あるいは、背後等、死角から攻撃されれば、せっかくの
ひらりマントも十分に活かせずに、攻撃をくらってしまうだろう。

さらに、闘牛の場合、獰猛な猛牛を相手にするわけだから
そのプレッシャーに、気づかぬうちに、のまれてしまって、
ひらりマントを上手く使えぬまま、窮地に追い込まれて
命を落とすこともある。 

それは、この僕とて例外ではない そんな緊急事態を回避する為に、
僕は、ひらりマントに改良に改良を加え、修練に修練を重ねた。 
ひらりマントを防御だけでなく攻撃の道具ともする為に」

エル・マタドーラのひらりマントが、まるで、ライティングで
輝く宝石のごとく輝きだす。

「ま、まさか!?」

「これぞパワーチャージアタックだ!」

エル・マタドーラは、ひらりマントをフルスイングで、振ると同時に、
ひらりマントから、
直径2メートルはあろうかという
巨大なエネルギー弾(※1)がでてきたのである

(※1)PSソフト『ドラえもん のび太と復活の星』で、
しずかちゃんは、パワーチャージで、
ひらりマントのゲージを最大のレベルまで溜めて、ひらりマントを振って
大きな弾をだすという意表をつく技をだしていた。 
どういう仕組みかはわからないが、しずかちゃんにもできるのなら
エル・マタドーラなら全く造作ないだろう。



予想していなかった攻撃に、ドラえもんは、意表をつかれてしまった。

その際の、気の動転によるものなのか、

それとも、エル・マタドーラの攻撃のプレッシャーが、
本能的に、とりあえずは
何か行動しないと危険だと察知させたのか。

ドラえもんには、理由を問われても答えられないだろう。

「投げ飛ばしてやる!!」
何と、ドラえもんは、気力を振り絞って、
巨大なエネルギー弾に向かった。

(フッ、ロボット特有の職業病
頼るのが下手ゆえの弊害か)
ビッグ・ザ・ドラは、自分のヒゲをさわる。

「ブラックベルトで投げ飛ばそうという気なのだろうが、無謀なことよ
いくら柔道の達人でも、固体でないものを投げ飛ばせるわけがなかろうが!!」

エル・マタドーラの言う通りだった。

「ぐがああああぁぁぁ!!」
ドラえもんは、まともにエネルギー弾をくらってしまったのである。

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その衝撃に、ドラえもんの各パーツが裂け、ヒビがはいる。
ドラえもんのコンピューターが、ショート寸前になることで、
意識がとんでしまいそうになる。

エネルギー弾の勢いは、全く止まらない。

ドラえもんごと、時速100km以上はあるのではないかと
思えるようなスピードで闘技場の壁に向かって、飛んでいく。

(このままでは、壁に激突して、終わってしまう)
途切れそうになる意識でドラえもんは確信するが、
もはや、対抗する術がない。

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(くそ、友情を取り戻せないまま、終わるのか)

誰かが、駆ける様な音が聞こえた様な気がした。

(無念だ 親友も救えず、
親友達を、いい様に操っていた奴も倒す事もできないのか)

何かが、自分の背中にぶつかった音と、やわらかい風が
自分の身を包んだと感じた瞬間、ドラえもんの意識は途切れた。

凄まじい轟音と共に、巨大なエネルギー弾は、闘技場の壁に激突した。

観客達の大いに驚く声は聞こえたが、怪我はしている者はいなかった。

壁の一部が崩れ、
数メートルにわたり、闘技場の壁に亀裂がはいり、
その分、勢いよく埃がまった。

観客達はざわつきはじめ、中には、ドラえもんの事を
使えない奴だの、所詮はタヌキかと小声で罵る者がではじめた。

観客達は、
勝負は、エル・マタドーラの勝利におわったと思っていた。

だが、エル・マタドーラとビッグ・ザ・ドラは、
まだ勝負はついていないことを感じ取っていた。

自然現象では発生などしようがない
風が、埃を、そっと押しのけたからだ。

その風の中心に、ドラえもんが、浮いていた。

いや、正確には、誰かが、後ろ手でドラえもんを抱えていた。

風は、その者から吹いていた。

「こ、これは、ボクは、生きているのか」

満身創痍の状態でありながらも、意識を取り戻し、
助かったことに、ドラえもんは、涙する。

「そうか、神様が、のび太くんの様なダメ人間の世話にあけくれながらも、
親友達の友情を健気に取り戻そうとするボクに奇跡を」

「あのさ、そんなボロ雑巾の状態でも、そんなセリフは
やめてくれない?」

ドラえもんを後ろ手に抱える者が、体の向きをかえて、
正面を向く

「の、のび太くん!?」

「お、お前は、あの時のメガネザル!?」

エル・マタドーラは、その姿に、
ドラえもんは、その声に驚く

「メガネザルじゃないよ! 野比のび太だ!」

3日前、エル・マタドーラの経絡突きに、
倒れたはずの野比のび太だった。

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「お前は、あの時、僕の経絡突きをまともにくらった。
少なくとも3日では、回復できないはずだ。
何をしたのだ?」

「フフフ、確かに、通常では回復はできない。
でも、入院先の看護師さんに聞いたところによると、
経絡というのは、相手を攻撃するだけじゃない。
相手を回復させる経絡もあるらしいからね

ドラえもんが置いていったひみつ道具を使って、
ラオチュウさんに連絡をとって、ラオチュウさんの指導のもと、

回復させる経絡を
お医者さんに、突いてもらい、回復させることができたのさ

それで、早速、僕は、この闘技場へ駆け付けた。」

のび太は、得意になっている。

「駆け付けたものの、ドラえもんが
パワーチャージアタックをくらったのをみた時は、
めちゃくちゃヤバいと思ったよ

でも、一か八かで、
この能力いただきリングで得たドラメッドⅢ世の魔法で風を作って
自分の身にまとって」

「エネルギー弾の大きさで、僕からはみることはできなかったが、
お前は、その状態で、
背中からタヌキの背中にぶつかり、その魔法の風でタヌキも
包み込んで、魔法の風をクッション兼ヨロイ代わりにして、
壁にまともに激突する事態を避けたわけか」

「僕の言おうとすることを途中から言うのは、あれだけど
まぁ、そういうことだよ」

のび太は、少し苦い顔をした。

「ドラえもん、ここは、僕にまかせて、
今は、とにかく体を回復させることに専念してくれ」

「で、でも」

「わかっているよ、皆まで言わなくていいよ。
あれだろう 今、エル・マタドーラと闘っているのはキミだから、
エル・マタドーラが、認めないだろうと
でも、そこは、あれだよ ほら、プロレスのタッグマッチ形式で、
闘うってことにしてもらおうじゃないか」

のび太はエル・マタドーラに、提案する。

「なぁ、エル・マタドーラ
ここは、タッグマッチ形式で変更しようじゃないか
何だったら、キミも、スタントとタッグを組んで闘ってもいいよ」

「フンッ! 格下の小賢しい提案を
呑んでやるのも、王者の貫禄だからな 

もっとも、お前如きに
僕がタッグを組む必要性など微塵もない!
この僕一人で、メガネザルも退治してやろう」

エル・マタドーラは、傲岸に、のび太の提案を呑んだ。

「偉そうだな。 でも、エル・マタドーラは、
認めてくれたよ ドラえもん」

「のび太くん、誰を相手にするのか
わかっているの?」

ドラえもんは不安な表情になる。

「もちろん、知っているよ」
のび太は、一旦、腰を屈めて、後ろ手にしている右手で、
ドラえもんの左手をタッチした。

タッグマッチで言うところの交替の合図である。

「エル・マタドーラ、
とりあえず、闘技場で闘う権限は、
ドラえもんから僕に移った。

闘う権限のないドラえもんが、グラウンドの外なら、どこにいて
何をしていようが、問題はないから、
控え室で寝かせてから闘いをはじめようじゃないか」

エル・マタドーラは、何も言わなかった。

つまりは、了承したということである。

「のび太くん 君は理解しているのか?
エル・マタドーラの強さを 
君一人で決して勝てる相手じゃないぞ」

「僕だって、病院で君とエル・マタドーラの闘いをみていたから
エル・マタドーラの強さは十分わかっているよ 
でも、僕には必勝の策がある
大丈夫だよ」

「必勝の策? ぐうたらの君が?」
ドラえもんの声には、この上ない不安と不信があった。

「まぁまぁ、君が何を言いたいのかは想像つくけど、」

のび太は、控え室のドアを開ける。

控え室には、メカニックが2人いた。

「入院先の病院の先生に頼んで、ネコ型ロボット専門ではないけど
ロボットのメカニックも手配してもらったよ
ドラえもん、まずは、応急処置をうけといてね」

のび太は、ドラえもんを控え室のベッドの上に寝かせた。

「それでは、ドラえもんを頼みます」

「ち、ちょっと!?」

ドラえもんが何かを言おうとする前に、
のび太は、メカニック2人に一礼してから控え室を出た。

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