『ルイージに歴史あり 外伝』その14

4月15日

第3章 〔スーパーマリオランド編〕

(9)無茶と暴勇

「余計な雑音だなんて、コイツもお前さんの命令に従って
俺と闘ったのだから、酷なことを言うなよ。
まぁ、それよりも、どうする? お姫様
とっとと国を差し出すか? まだ、その気がないのなら、
そこにいるお前さんの部下を全員相手してあげようか?」

俺は、倒れたまま、動けないでいるヒョイホイを
(宇宙催眠で倒れた後は動くなと命じているだけにすぎないのだが)
一瞥した後、デイジー姫を見上げながら言った。

全く想像すらしていなかった展開に
デイジー姫は、言葉が止まっていたが、
それは、一瞬だった。

「キング・トドメス!」

「かしこまりました。 姫様、
ここは、私におまかせを あの無礼者の
へらず口をたたけなくしてやりましょう」

厳かな声と共に、バルコニーから巨大な生物が、
俺の前に降り立った。

「今度は、このキング・トドメス(※1)が相手をしてやろう」
妙な被り物をつけたライオンみたいな巨大な生物が吠える。

(※1)サラサ・ランドのピラフト王国のボス
攻撃方法として、上下にジャンプしながら炎を吐く。


「どうせ、何らかの奇跡みたいな偶然で
勝ったのでしょうけど、
まぐれは、2度も続かないわよ」

相も変わらず姫様は傲岸だった。

そんな傲岸な女に対して、
思わず、不敵に笑って、何か言い返したい衝動にかられそうになるが、
俺は、目の前の敵に視線をむける。

一見すると、先程のヒョイホイよりかは、背が低そうだが、
全長では、ヒョイホイよりも巨大だろう。

しかも、厳かな声に比例でもするかの様な厳つい顔つきである。

普通の人間ならば、その迫力に、
ビビってしまって、闘いどころではないだろう。

だが、今の俺は、闘志が湧き上がっていた。
いかなる敵が相手でも負けない気がした。

画像


「キング・トドメスさんよ、
厳かに、ご登場してもらって痛み入るが、
さっそく、決着をつけさせもらおう」

「木っ端が! 身の程を知れ! 私の炎で消し去ってくれる!」

キング・トドメスの口から炎が作りだされる。

口から炎を吐き出す。
それは、魔法という文明が生みだしたスキルの一つだとわかったのは
後年になってからのことだ。

しかし、当時の俺には、そんなことなど理解できなかった。
当然と言えば当然だ。 この時の俺の認識のカテゴリーには、
魔法というものは、存在しなかったからだ。

(おやおや、偉そうな割には、口に火炎放射器でも仕込んで、
火をはくわけか なんとも、芸がないよな)
ニヤリと笑うと同時に、俺は宇宙催眠をかけた。

結果は、キング・トドメスも、ヒョイホイと同じく
派手に、ぶっ倒れた。

実際に、デイジー姫は、一瞬で、
自分の部下がぶっ倒れたのをみたからだろう。
先程よりも大きく驚きが顔に表れていた。

「さぁて、どうするかね? 大人しく降伏して
国を差し出すかね?」

宇宙催眠の副作用で、決して軽視できない疲労感はあるが、
なぜか気分が高揚していて、減らず口を叩かざるを得ない。

だが、さすがは、大国の姫様
みごとな胆力とでもいえばいいのか。

内心では、多少は、うろたえのかもしれないが、
デイジー姫は、まだまだ負けていなかった。

「…フ、フンッ!
クッパ軍団の兵士にすらなれないチビボー(※2)
同じ臭いしかしない奴が、偉そうに!  こうっ…!?」

(※2)スーパーランドにでてくるクリボーによく似た敵
気が弱いらしい。


デイジー姫は、柳眉を思いっきり逆立てつつ、
こうなれば、何かの対抗手段を講じてやるといった意味合いの
セリフでも言おうとしたのだろうが言えなかった。

デイジー姫達
サラサ・ランドの住人、

闘っている俺個人も全く気付かなかったが、

いつの間にか
戦闘ロボ パゴスの八機の護衛機の内の一機の照準が
デイジー姫に合わせられていたからである。

「お前の遊びにつきあっている程、我らの主人は、暇ではない
大人しくしてもらおうか」

さらに、二機の護衛機から、
ロケトン達が、バルコニーへ降り立ち、
デイジー姫に、銃口をむける。

「お前達、余計なマネを 
別に、こいつ等如き、俺一人でも倒せるだろう」

自分の耳に仕込んである通信装置をとおして、
ロケトン達の差し出がましさを窘めた。

「タタンガ様、無茶をしないでください。
連戦で宇宙催眠を使えば、疲労度も決して軽くないでしょう」

ロケトン1号は、とっくに、俺の疲労度は、お見通しだ。
ちなみに、通信装置をとおしての会話は、ひそひそ声でも十二分に
聞きとれるので、デイジー姫達には、聞こえない

「確かに疲労度は軽くはない… だが、あんな科学力の低い奴らに
無茶はしているつもりは全くないが」

「タタンガ様、 
ライオンはウサギを倒すのにも全力は尽くします。

ライオンは糧を得る為、ただただ全力を尽くしますが、
暴勇、無茶、過信、見栄の類でウサギを倒すことはしません」

一瞬だが、頭の上に、冷たい水滴が落ちた様な気分になった。

ライオンと言われて、思わず、俺は
ぶっ倒れたキング・トドメスをみた。

回復させることを優先するべきだと思った。


「フッ、そうだな 俺としたことが
わかったよ、ある程度、時間をおいてから
戦闘ロボ パゴスで、奴らとのケリをつけようか」

「緻密な作戦を要しないとはいえ、その方が確実に勝利できましょう」

ロケトン1号との通信を終えた後、
俺は、大きく息を吸い込んだ。

「ご苦労様だったな!! ロケトン達よ
見事だったぞ!!」

自分の疲労を、さとられたくなかったので、
わざとらしいぐらい大きな声で言った。

「オイッ! お姫様の部下達よ お前さんたちの姫様は、
俺達が押さえた。 だが、俺達は、姫様を人質にしているから
降伏して国を差し出せなんて、野暮なマネはしない!
サービスだ! 今から6時間後、このサラサ・ランドの全軍を
引き連れてこい! そこで、一番強い奴と戦って勝ってから、
この国を俺のものとしてくれる!!」

俺は、大声で啖呵をきった。

「だから、今すぐに行動してもらおう
もし、行動しなければ、その時はわかるよな」
俺は、静かに言った。

ロケトン達がデイジー姫との距離を縮める。

「ひ、姫様! 今すぐに、全軍を連れて
必ず、救出します!」

部下達が走って部屋から出ていく音がきこえた。

「この部屋にいる部下達は全員出ていきました」
ロケトン1号が確認する。

「さてと…」
俺は、戦闘ロボ パゴスに乗った。
コクピットのハッチは開けたままにして、
操縦席に座らなかった。

戦闘ロボ パゴスの外部スピーカーを使用すればいいものを
大声で啖呵をきったものだから、
疲労度が増している。

戦闘ロボ パゴスをデイジー姫の前まで上昇させる。

できることなら、今すぐに座り込みたいが、
腕を組み、わざとらしすぎるぐらい、
俺は不敵に笑ってやる。

いくら、傲岸且つ勝気で、胆力のある姫様でも、
こんな四面楚歌の状態では、怯えが顔にでるらしい。

「な、何をいやらしい笑いをうかべているの!?
言っておきますけど、
アンタみたいな低俗なケダモノのものになんかならないわよ!」

但し、しおらしくはならないが

正直、体の疲労を回復はさせたい
しかし、自分の不敵な笑みを下卑た笑いと勘違いしている
この女に、一言いってやらねば、気が済まなかった。

「自惚れないでいただこうか  
お前さんの様な
まともな講釈とアホな自慢の区別もつかぬアホ女を
モノにせねばならぬ程
俺は、女には、困っていないのでね」

俺は、鼻で笑ってやった。

画像


「ア、アホな女ですって…!!?」

また柳眉を思いっきり逆立てるのかと思いきや、
今度は違っていた。

デイジー姫は、青筋をたてて、目に涙をためていた。

(コイツは、どれだけ俺を見下してやがるのか)
俺は、何も言わずに、ため息をついた。

「オイ、ロケトン達よ 今から6時間
護衛も兼ねて、姫様が、部屋で
静かに待ってあげられる様に、
おもてなしでもしてあげなさい」

戦闘ロボ パゴスをゆっくりと下降させながら
操縦席に腰を下ろして、コクピットのハッチを閉める。

(…俺は無茶をしているのか)

先程のロケトンの言葉を思い出す。

(…俺の行動は、暴勇なのか)

ロケトン達は、単なる護衛ロボットではない。
俺の性格及び行動パターンを把握して、俺のサポートを
してくれるように、俺が一所懸命に作り上げたロボット達だ。

そんなロケトンが、俺の行動に無茶や暴勇がみられるから、
あんなことを言ったのだ。

先程のヒョイホイとキング・トドメスの闘いを思い出した。

戦闘ロボ パゴスで決着をつけることもできたはずだ。

一瞬で決着はつけられなかったろうが、
その方が、リスクは低かった。

実際、キング・トドメスが炎を口から吐ききる前に、
宇宙催眠をかけることができたが、
一歩間違えれば、奴の言う通り、炎で消し去られただろう。

戦闘ロボ パゴスの拡散波動砲でも使用した方が、
連中を効果的にビビらせることもできた可能性が高い。

あの高慢ちきな姫様にも、まぐれは続かないだの
クッパ軍団の兵士にすらなれないチビボーなどと
言わせることはなかったはずだ。

行動の選択を誤っていた。

それならば、なぜ、俺は、あんな行動をとった

何度か自問したが、この時、
その答えはでなかった。

ふと、外の景色をみると、
草むらで何かが動いた様な気がしたが、
気にもとめなかった。

いつの間にか
俺は、眠りについていた。

-(10)侵略の理由(前編)に続く-

"『ルイージに歴史あり 外伝』その14" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント