『ルイージに歴史あり 外伝』その17

1月17日

第3章 〔スーパーマリオランド編〕

(12)侵略の理由(後編)

「ドラゴンザマスさんよ! 敗北と同時に、
今から言うことを覚えておけ!
戦いとは、消耗戦だ!」

俺は、コクピットの脇のキーボードを叩く
ロケトン達に、俺の命令を送信する。

送信した内容は、
「相手を驕らせろ」である。

「そんな消耗戦を戦うのは、兵士だ!」

俺は、波動砲の攻撃パターンを
出力を抑えた自動操縦に切り替える。

機体の回避運動に集中する

「まかり間違っても、
スポーツマンなんかじゃない!」

戦闘ロボ パゴスのタービンアームより、
自動で波動砲が放たれる。

「また、馬鹿の一つ覚えが!」
ドラゴンザマスの護衛である
不死身の生命体 タマオー2匹が、
案の定、波動砲を防御する。

自動操縦なのだから、
馬鹿の一つ覚えと言われても、関係ない。

タービンアームより、波動砲が自動で連射される。

「フッ、こんなもの!」
不死身の生命体 タマオーは、波動砲の連射を
次々と容易く防御する。

単調な自動連射なのだから、
容易く防御はできる。

いや、防御してもらわねばこまる。

いやいや、防御してもらわなくてもこまらないか…

とにかく、自動操縦なので、
相手が防御しようとしまいと関係ない

タービンアームより波動砲の自動連射が続く。

単調な攻撃なので、すぐにみきったのだろう。

ドラゴンザマスの護衛は、簡単に防御し続ける。

波動砲の自動連射の合間を狙って、
ドラゴンザマスが炎を吐く。

奴の炎とスピードと威力は、
先程、被弾した際に、大体は把握している。
普通に、かわすことも可能だが、
タマオーの不死身という牙城をくずす為には、
そういうわけにはいかない。

ドラゴンザマスの炎を、ギリギリまでひきつけて、
紙一重で、何とかかわす。

コクピットの空調は、常時適温であるのに、
汗が頬をつたう。

「ギリギリかわされたが、だが勝利は確実だ」

自動連射の波動砲をタマオーに防御させつつ、
ドラゴンザマスが炎を吐く。

再度、炎をギリギリでかわす機体のモニターに、
デイジー姫達の攻撃をギリギリでかわす
ロケトン達の姿がみえる。

「これでもくらいなさい!!」
デイジー姫が、例のギラーの階段を利用した
スマッシュ攻撃をくりだす。

「うひゃあ!」
ロケトン達は、余程なヘタレな男でも、
あげなさそうな悲鳴をあげつつも、
デイジー姫のボールをギリギリかわす。

「男のくせに、情けない声をださないで!!」
デイジー姫が、さらに、スマッシュ攻撃をくりだす。

みためは、男の様なみためとも言えなくないとはいえ、
ロボットなのだから、厳密に言えば、男も女もないのだ

デイジー姫のセリフが的外れだと思う。

そんな思いが、少しだが余裕をもたせる。

もっともっと驕れ、15分もすれば、
戦いとは、消耗戦だとわかるだろうさ

ドラゴンザマスの炎をひきつけて、
ギリギリかわす。

波動砲の自動連射をタマオーがガードする。
自動連射の合間を狙いドラゴンザマスが炎を吐く。

デイジー姫と、
その軍勢が、攻撃をしかける。
情けない悲鳴をあげながら、ロケトン達が
攻撃をギリギリかわす。

そんな繰り返しが、30分続いた。

肩で息をしながら、
ドラゴンザマスが炎を吐いた。

その炎をコンピューターで分析する。

炎の大きさはかわらないにせよ、
あきらかに、30分前とくらべて、
著しくエネルギーが減少してスピードも遅い。

俺は、余裕でギリギリかわす。
波動砲の自動連射をタマオーがガードする。

その動きをコンピューターで分析する。

30分前と比べて、あきらかに動きが鈍い。

半ばこうであってほしいという願望がはいっている様な
予測だったことは否めないが、
不死身イコール疲れないということではないらしい。

その思いが、完全に、俺に余裕を取り戻せさせた。

「こ、この雑魚臭い侵略者が、雑魚の分際で粘りおって…」
ドラゴンザマスが、息が荒くなりつつも炎を吐いた。

俺は、余裕でもって、モニターをみる。

デイジー姫達も、30分前に比べて、
著しく動きが鈍っていた。

「あ、あと、もう少しで…た、た、倒せるのよ」
デイジー姫も肩で息をしながら、ギラーを階段代わりにして
スマッシュ攻撃をくりだす。

「ひ、ひ、姫様に…つ、続け!!」
デイジー姫の軍勢も、肩で息をしながら、
矢などをロケトン達に投げつける。

ロケトン達は、スマッシュ攻撃を
情けない悲鳴をあげながらも、
余裕でギリギリかわしていた。

尚、軍勢の攻撃は、ほとんどが、かわすまでもなかった。
全くロケトン達に届いてさえなかった。

もともとロケトン達には、
相手の上空にいるというアドバンテージがある。

そのうえ、異星人でも、ロボットの様に、
長時間戦い続けられるわけじゃない。

完全に、戦いのペースを、こちらに取り戻せた。

「こ、こんな…な、なん、軟弱男どもに…」
お姫様の気概がさせる行動とでも言えばいいのか。

デイジー姫は、ギラーをジャンプ台がわりにして、飛び上がる。

ドラゴンザマスの炎が、機体の胴体に直撃した。
それと同時に、デイジー姫のスマッシュ攻撃が、
ロケトン3号の頭にヒットした。

「ど、ど、どうだ、か、下等な雑魚!」

「わ、私の一撃、お、思い知ったか!」

主従ともども、同じニュアンスのセリフが、

同時にでてきたことに、
腹をかかえて笑い転げたい衝動が起きそうだった。

だが、今は、俺は戦闘中だ。
勝利は確実とはいえ、
戦闘中に笑い転げる様なことは慎みたい

「オイオイ、これがどうかしたのか」

「一体、何の攻撃なのか これは…」

奴らの意趣返しも含めて、俺とロケトン達は
同時に平然と言ってやった。

実際、炎が直撃した機体の胴体は、全くの無傷だ。

スマッシュがヒットしたロケトン3号の頭も、
全くの無傷だ。

ドラゴンザマスとデイジー姫が、同時に言葉を失う
肩で大きく息をするだけで何も言えない

「こんなチンケな攻撃では、反応しようがないが、
ダメもとで、もう一度、いや、何度でも、
ご自慢の炎攻撃をしてみるか?」

「お姫様、この様な攻撃では、軟弱な悲鳴すらも、
あげさせていただくわけにも参りません。
ダメもとで、もう一度、いや、何度でも、
スマッシュ攻撃をしてみます?」

俺達は、同時に、煽ってやった。


案の定、この主従達は、一時的にだが、
自分達の疲労を忘れて、
頭に血がのぼって、攻撃をくりだす。

疲労がたまりにたまった末の攻撃など、
俺達に、通用するわけがなかった。

ドラゴンザマスの炎は、機体の胴体を直撃したが、
やはり、無傷だった。

デイジー姫のスマッシュは、

もともと、スマッシュのフォームが、なっていない。
そのうえ、とても疲労もしているので、
ロケトン達に命中すらしなかった。

先程の逆上した一撃が、打ち止めなのだろう。

デイジー姫は、どうにか、ギラーを利用して、
地面に降りることはできたものの、

肩で大きく息をするだけで、次の攻撃もできず、
おそらく、動くこともできないのだろう

上空にいるロケトン達を
睨みつけるだけだった。

ドラゴンザマスは炎を吐きだすことすらできず、
肩で大きく息をするだけだった。

ちなみに、サラサ・ランドの軍勢は、
すでに、ばてていた。

「ハハハ、何だ、もうおしまいかな
だから言っただろう。 戦いとは消耗戦だと
いくら、優れた兵器をもっていようが、
そいつらを稼働させる物資を生み出す
国力が枯渇してしまえば、意味はないのと同様、
疲弊してしまえば、いかなる技でも、
威力もなくなるのは当然!」

30分も避けることに我慢した
鬱憤も晴らす為にも、俺は、ビシッと言ってやった。


「く、くそっ、言ったな…
だ、だが、お前の攻撃など、タマオーで
簡単に防御できるのだ…
このドラゴンザマスを倒せるわけがないのだ」

「それは、ただの負け惜しみだな」
俺は、波動砲の自動操縦を手動にきりかえる。

「何度でも言ってやるが、戦いとは、消耗戦だ 
そんな消耗戦を確実に、生きのこることこそが
兵士のモットーだ!」

右のタービンアームより、波動砲をくりだす。

自動連射より、スピードを少しあげている。

2匹のタマオーは、主人をガードしようとするが、
主人同様、疲弊しているので、
少し上げたスピードにも、ついていけなかった。

波動砲は、2匹のタマオーの間をすり抜けた。

「く、くそっ、このドラゴンザマスたる者が、
こんな奴に、負けてなるものか!!」

疲弊して、護衛が役に立たなくても、
気力と誇りで闘ってやるつもりなのだろう。

ドラゴンザマスは、体を上昇させることで、
波動砲を避ける。

だが、何たる気力と執念などと
驚いてやるつもりはない。

ドラゴンザマスが、体を上昇させたことで、
護衛であるタマオーとの距離が、大きくひらいた。
絶好の攻撃のチャンスを自分から提供してくれた

「待っていた! この時を!」
俺は、左のタービンアームの波動砲の出力を
最大出力まであげる。

上昇するドラゴンザマスに照準をあわせて、
最大出力の波動砲を放った。

「ぐわああああああああ!!」
波動砲がドラゴンザマスの腹部に
命中して、炸裂した。

画像


波動砲が炸裂した際の衝撃波が、
この水路と中庭をつなぐ噴水から
100メートル近くはある水柱をあげながら
ドラゴンザマスを上空へ放り出した。

くずれゆく水柱に沿うように、
機体を上昇させていた俺は、

機体を、ドラゴンザマスの背後の
斜め上に停止させた。

先程の波動砲によるダメージと衝撃で、
ドラゴンザマスが気絶していることは
わかっている。

既に、気絶して、戦意なんぞも、あるわけがない奴に、
俺は、追い打ちの一撃を
波動砲で、ドラゴンザマスを地面にたたきつける。

格闘技の試合ならば、
非道な行為にあたるだろう。

だが、

叩いておくべきものを叩けるときは、
確実に叩いておくべきであることも
兵士のモットーであると

俺は、(厳密に言えば、当時の俺だが)
信じて疑わない。

「タタンガ様、このまま、
波動砲で、地面にたたきつければ、あの女も
その衝撃で、巻きこまれますが」
ロケトン1号の通信がはいる。

確かに、ロケトン1号の言う通り、
波動砲で、地面にたたきつける際の、
ドラゴンザマスの落下地点から
半径3mの範囲内に、
疲労で動けないデイジー姫がいる。

直撃はしなくても、その衝撃で、
デイジー姫は、吹っ飛ぶことは確実だ。

だが、ロケトン1号のセリフは、
男子たる者が、
か弱いとは程遠いとはいえ、女性を
攻撃の巻き添えなどにしてもいいのかといった

騎士道精神によるセリフなどではない。

デイジー姫を生かしておかないと、
効率よく支配できなくなる可能性を
懸念しているからでたセリフだ。

「心配するな、ロケトン1号よ
お前達を軟弱だとおっしゃるお姫様だ
こんなおどしの一撃による衝撃程度で、くたばる程
ヤワじゃないだろうよ!」

俺は、出力をおどし程度に抑えつつ、
波動砲をドラゴンザマスの背中めがけ放った。

「それに、お前の懸念事項はわかっている。
俺だって、無駄に逆上しながら、侵略などはしない
普通に生きて、自分が認められて、
おだやかに、くらす為に、
効率よく侵略することは、きちんと心得ているさ」

背中に波動砲があたった状態で、
まるで、急降下で地面へ落下する隕石のごとく
ドラゴンザマスが落下する。

ドラゴンザマスが落下するだろう地点から、
半径数メートル以内にいるデイジー姫及び
サラサ・ランドの軍勢の兵士達は、
逃げようとするが、
ほとんどが、疲労で、全く動けない。
(おそらくは、あの生意気で勝気な
デイジー姫の顔も、すっかりビビっているだろう。)

画像


落下地点から半径
約10メートル以内にいる
デイジー姫及び兵士達全員が、
波動砲とドラゴンザマスが地面にたたきつけられた際の
衝撃に巻き込まれ、吹っ飛んだ。

画像


出力をおさえているのだから、
ドラゴンザマス及び吹っ飛ばされた
全員は、死んでなどいない。
気絶しているだけだ。

デイジー姫は、吹っ飛んで、地面の
拳程度の大きさの石にでも、
頭をぶつけたのだろう。

軽傷だが、
頭に、現実でも、めったにできない
みごとなたんこぶができていた。

-(13)サラサ・ランドに降り立つ救世主に続く-

"『ルイージに歴史あり 外伝』その17" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント